スシネタを3Dプリント、山形大の“未来食”を見てきた 味は……?

2025年5月13日(火)7時40分 ITmedia NEWS

 日本人の国民食・すし。冷蔵技術など、テクノロジーの発展とともに種類や提供形態をさまざまに変えてきた食べ物だが、ついにネタを3Dプリントする時代が到来しつつあるようだ。
 東京都や経団連からなる実行委員会が、5月8日から10日にかけて東京ビッグサイトで開催した、スタートアップカンファレンス「SusHi Tech Tokyo 2025」では、山形大学古川研究室が、食べ物を3Dプリントする「3Dフードプリンタ」を展示。すしネタの海老(のようなもの)をプリントする様子などを実演していた。
 現地では(1)「FP3000」、(2)「LASER COOK」、(3)「JET COOK」──という3種類のフードプリンタをそれぞれ展示。FP3000は、ペースト状の食品をノズルからスクリューで押し出しながら積層するフードプリンタだ。後述の2方式に比べ、素材となる食材の自由度の高さが特長という。デモでは米粉のペーストを使い、“海老”を印刷する様子を実演していた。
 LASER COOKは、卵液など熱で固まる液体を、レーザーの熱で固めながら形を整えるプリンタ。人間による調理に比べ複雑な形状にすることができ、例えば素材を中空状の立方体に固めることも可能という。現地ではプリンタの実機を展示していた。
 JET COOKは、食品を液体窒素で凍結したあと粉砕した「ゲル粉末」に増粘剤などを混ぜて作った“インク”を、インクジェットで噴射して成形するプリンタ。特長は、他2つと違い無重力下でも使える点だ。現地では実機の動作デモに加えて、鶏のレバー、ごま、コーヒー、長芋、かぼちゃ、セロリなどから作ったゲル粉末を展示。さらに、ゲル粉末を組み合わせたインクでプリントした“雲丹”も展示していた。
 会場での試食はできなかったものの、山形大の担当者によれば、味はどの方式でも素材となる食品に左右されるといい「(今回展示したものの中では)雲丹がおいしい」とした。
 今回展示したうち、スクリュー式とレーザー式は、介護食や食物アレルギーを持つ人向けの代替食といった分野で活用を見込む。一方インクジェット式は、無重力下でも使える点に加え、素材を体積の少ない形で輸送し、別の場所で成形できる点から、宇宙食などでの活用を見込んでいるという。
 ただ、コストに加えプリントにかかる時間が長い点が課題で、現在は改善に向け研究を進めている段階だ。例えばスクリュー式で“海老”を作る場合、1個につき10分から15分程度かかるため、短縮して実用性を高めたいという。ゲル粉末のバリエーションも増やす方針だ。

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