カシオ2024年3月期決算は増収減益 - 時計は欧州などで堅調、電子レジスター事業は終息へ

2024年5月14日(火)17時20分 マイナビニュース

カシオ計算機は5月14日、2024年3月期の決算を発表した。第4四半期(1〜3月)の実績は、売上高が675億円で前年同期比108%、営業利益が24億円で前年同期比143%だった。通期実績は売上高2,688億円(前年比102%)、営業利益142億円(前年比78%)の増収減益となった。
○時計事業は欧州市場が堅調、インドなどで売上拡大の兆しも
時計事業の売上高は1,670億円で、前年比106%と微増している。日本市場では内需の戻りは低調なもののインバウンド需要が戻りつつあり、コロナ禍以前は国内売上の最大15%ほどを海外観光客などが占めていたところ、直近で8%ほどまで戻ってきているという。
海外市場については、北米は実店舗減少の影響が続いており、中国も消費マインドの低下により低調な状況。一方で欧州は堅調に推移しており、地域別売上高は国内16%、北米14%、欧州19%、中国10%、その他41%(うちインド・アセアン16%)となった。
2024年3月期は中期経営計画(3カ年)の初年度でもあり、時計事業の中核を担う「G-SHOCK」の40周年を機に、「SHOCK THE WORLD」を世界7カ国で開催するなど、大規模なブランド投資を行った。すでにブランドを確立している北米市場などでは限定的な効果に留まったものの、未開拓のインド市場では販売拡大につながった。この結果を踏まえ、今期はエリア横断型から各市場に密着したブランド投資にシフトしていく。
各市場におけるブランドの成熟度に応じて注力する価格帯は異なるが、日本を含む大枠ではメタルラインなどプレミアム製品の強化を継続する。
プロダクト別の実績としては、フルメタルスクエアモデル「GMW-B500D」や2100シリーズといった定番モデルの好調が続いたほか、干支の龍をモチーフにしたゴールドカラーの「MTG-B3000CXD」がアジア圏の旧正月需要をとらえた。グローバルではトレーニング機能を盛り込んだ「GBD-200」が堅調で、国内ではOCEANUS Manta初の3針モデル「OCW-S400」や復刻版カシオトロンが注目を集めた。
○教育事業は「電子辞書離れ」が影響
EdTech(教育)事業の通期実績は売上高618億円で利益率9.3%。関数電卓のペントアップ需要が上期までに一巡し、通期利益は計画通りの着地となった。
電子辞書の学校販売が再開されたが期待には届かず、その理由としては教育現場におけるPC・タブレットの普及による辞書ハードの需要縮小が想定以上のペースで進んでいるという。今後、早期に事業の方向性を見極め収益性の改善を図っていく。
一方で、ICT教育アプリ「ClassPad.net」の導入校数は402校まで増え、形は変わっても教育事業そのものには活路を見出せており、転換期の最中にある。
サウンド(電子楽器)事業は売上高228億円で営業利益が−38億円。電子ピアノ市場の低迷が長期化しているなかではあるが、欧州では回復の兆しが見えているほか、高付加価値製品のラインナップ強化や原価率・固定費の見直しによる収益構造の適正化に取り組んでいる。
○ハンディターミナル/電子レジスター事業は終息へ
システム事業の通期実績は売上高125億円で営業利益が−26億円。インボイス制度と電子帳簿保存法という2大法改正に後押しされた分野がある一方で、PA(ハンディターミナル)事業とSA(電子レジスター)事業は苦しい結果となった。
PA事業については新規開発および新規顧客への販売活動を停止し、SA事業についても終息の方向。ただし、いずれも保守対応など供給責任を果たすための活動は継続する。

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