転換点を迎えている「Xperia 1 VI」、体験会で見えたソニーが訴求したいポイント

2024年5月17日(金)23時17分 マイナビニュース

ソニーは5月17日、発表されたばかりのハイエンドスマートフォン「Xperia 1 VI」の体験会を開催しました。筆者はレビュー記事でも本機をご紹介していますが、この体験会に参加して新モデルでアピールされるカメラ機能/音楽機能を中心に担当者の話を聞き、体験することができたので、あらためて「Xperia 1 VI」のポイントをご紹介します。
○ディスプレイは明るく、サウンドはよりクリアに
「クリエーターと一緒に作り上げてきた」。同社のモバイルコミュニケーションズ事業部事業部長でイメージングエンタテインメント事業部事業部長も兼任する大島正昭氏は、「Xperia 1」シリーズについてこう話します。
クリエーターの声を聞き、ニーズを捉えながら開発をしてきたという「Xperia 1」シリーズですが、昨今のSNSの縦動画など、クリエーターの新しいニーズを踏まえて、「Xperia 1」の象徴的な特徴であったディスプレイにおける21:9のアスペクト比を変更。解像度も4KからフルHD+になりました。
コスト面では有利になる変更であるはずですが、大島氏は「(コストは)高くはなっていない」と言いつつも、コスト面からの変更ではなく、クリエーターの要望に応じた変更だとしています。
ディスプレイパネルの変更によって50%の明るさ向上に加え、テレビの「BRAVIA」の画質を再現するためにAIを活用した画質調整技術を投入しています。実際、ディスプレイを見てみると明るさが向上していて、強い照明下でも明るさが異なります。画面内の一部分を個別に調整することで、明るい被写体がより明るく表示され、見栄えもよくなっていました。
サウンド面でもさらに性能が向上しました。これまでも従来比で音圧を上げるなどの改良をしてきた「Xperia 1」シリーズですが、今回はフルステージステレオスピーカーのユニットを刷新。低音域のレスポンスが向上し、大振幅時のひずみを低減したことでよりクリアになったそうです。
「Xperia 1」シリーズのフルステージステレオスピーカーは、横持ちしたときに本体左右から流れるサウンドを左右均等にして、本体のみでも十分な音圧と音質を実現するよう開発されています。
実際、正面に立つとスピーカーから広がるサウンドが心地よく体を包むように流れます。説明員が、外出先では外部スピーカーは不要と断言するように、単体でヘタなBluetoothスピーカーを使うぐらいなら、単体の方が高音質でサウンドを楽しめそうです。
従来通り、3.5mmイヤホンジャックも搭載しており、Audio ICを刷新して性能が向上しています。基板回路を見直して配線を変更したことで、左右チャンネルの音声信号が干渉して音質が劣化する現象を抑制。ヘッドホンから戻ってくる信号のグラウンド(GND)の抵抗も低減させました。これによって左右の信号間の干渉が約50%と半減したそうです。結果として、有線接続におけるサウンドの音質がよりクリアに改善されたそうです。
今回はスピーカーのサウンドを体験しましたが、音数が多い最近の曲の方が明確に違いが分かる印象で、高音から低音まで明瞭でクリアなサウンドになっていたように感じました。
○テレマクロが楽しいカメラ
大きな変更となったのがカメラです。これまで「Photography Pro」「Videography Pro」「Cinematography Pro」という3アプリに分かれていたカメラアプリですが、それが「カメラ」アプリにまとめられました。
業務用シネカメラ「VENICE」のUIを採用するなど、本格的なシネカメラのように使える「Cinematography Pro」のUIなどは、さすがにクリエーターからも難しいという声が多かったそうです。
写真撮影に関しても、ミラーレスカメラ「α」に近いUIを採用していたのが、より一般的なUIとなりました。その代わり、画面上にタッチしてAF/AEをセットした時に、画面上に露出とホワイトバランスを調整するバーが表示されるUIになっています。
これは、Googleの「Pixel」シリーズで採用されていたものと似たUIで、ソニーでもUIをテストする中で評価の高かったこのUIを採用したそうです。ちなみに、これと反対に「Pixel」は最新モデルではこのUIが変更され、画面をタッチしてから撮影設定ボタンを押して露出などを調整する、というUIになっています。
個人的には、元の「Pixel」のUI、つまり新しい「Xperia 1 VI」のUIが使いやすいと感じます。なぜGoogleがそれを廃止したのかは不明です。
ズーム倍率の表記も一般的なスマホカメラと同じになりました。このあたりはやはり一般ユーザー向けの変更でもありますが、クリエーターでも倍率表記に慣れている人もいるとのこと。
従来の「Photography Pro」で使われていた「α」に似たUIは、「プロ」モードとして搭載されました。ズーム倍率が焦点距離で表示されたり、P/S/Mのマニュアルモードがあったり、画面下部に露出補正バーが表示されるなど、「Photography Pro」の良さを残したUIになっています。
さらに、今後「プロ動画」モードも追加する予定だそうです。これはOSアップデートでの追加となり、UIとしては「α」のUIに似たものになるそうです。業務用シネカメラとは異なり、「α」のUIには慣れている人が多いというのがその理由のようです。
ちなみに、「Cinematography Pro」のようなProアプリをダウンロード提供するかどうかは、今後の検討だとしています。
もう1つのカメラの特徴は「テレマクロ」機能の搭載。望遠カメラのワイド端(85mm)を使い、デジタルズームを使うことで120〜360mmの範囲でズームが可能。最短4cmまで近寄ってマクロ撮影ができます。
テレマクロの撮影は、手ブレ/被写体ブレ/カメラを構えた体の前後のブレなどがあり、とにかく撮影が難しいのですが、うまく撮影できれば人間の目を超えた撮影ができるため、色々とチャレンジしたくなる楽しい機能です。動画が撮影できるのも面白い点です。
また、食事などを撮影するテーブルフォトでは、撮影時に影が入りやすいところをテレマクロだとそれが回避できるのも便利な使い道です。
この望遠カメラは、新たなレンズユニットとなっており、35mm判換算焦点距離で85〜120mmだったのが85〜170mmと、より望遠に強くなりました。画質は多少落ちているようですが、スマホ画面で見てもデジタルズームよりは高画質を維持できるので、使い勝手のよいレンズです。
今回はポートレート撮影を体験できましたが、自然な描写の「Xperia」だけあって、過剰な補正もなく撮影できて楽しい体験でした。
「α」にも搭載された姿勢推定技術も新たに搭載。人の体のパーツを検出して人物を追尾することで、被写体が何かに遮られても継続して追尾し続けられるようになりました。もともと一部の「α」シリーズに搭載された技術で、これをベースにセンサーやレンズなど「Xperia」にあわせてチューニングして搭載したそうです。
精度や検出速度は「α」と同程度とのことで、同じシーンで「α」と「Xperia 1 VI」の比較をして検証しているそう。こうした技術は、「α」チームと共同で開発しているとのことで、このあたりは、過去のインタビューにもあるとおり、事業部トップである大島氏がカメラと「Xperia」の双方を担当していることもあって、これまでよりも両部隊の融合が進むことも期待できそうです。
「『Xperia 1』シリーズと言えば細長高解像度ディスプレイ」という特徴が失われて、Proアプリに搭載された独自のUIも変化した「Xperia 1 VI」ですが、「Xperia 1」に求められている機能は維持しながら、より幅広いニーズに応えようとしているようにも見えます。
「まずクリエターに訴求し、さらに派生して(一般ユーザーに広げることで)昨年度以上の売上が達成できると考えている」と同社では話しており、新しいXperia 1 VIが市場で受け入れられるか注目されます。

マイナビニュース

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