柳谷智宣のAIトレンドインサイト 第12回 ZapierとChatGPTを連携させて“なんちゃってAIエージェント”を自分で構築する
2025年5月23日(金)13時0分 マイナビニュース
ノーコードツール「Zapier」を活用する
今年は、AIエージェントの話題がもちきりですが、なかなか自分が使いたい便利かつ安いものがない、と言う人も多いのではないでしょうか。→過去の「柳谷智宣のAIトレンドインサイト」の回はこちらを参照。
いつまでも、チャットだけでAIを使い続けるのももったいないので、ぜひAIエージェントで今までやっていた業務を自動化してみましょう。そこで、今回おすすめしたいのが「Zapier」(ザピアー)です。
Zapierは、プログラミングの知識なしでさまざまなWebサービスやアプリを連携させ、日々の反復作業を自動化できるノーコードツールです。
GmailやSlack、Googleスプレッドシート、ChatGPTなど8000以上ものアプリに対応しており、「トリガー(あるアプリでのできごと)」をきっかけに「アクション(別のアプリでの処理)」を自動実行する「Zap」というワークフローを作成できます。
例えば「Dropboxの特定のフォルダに新しいファイルがアップロードされたら(トリガー)、そのファイルを自動でGoogle Driveの指定フォルダにコピー(バックアップ)し、さらにチームのSlackチャンネルに「新しいファイルが追加されました:[ファイル名]」と通知する(アクション)」や「WordPressやnoteで新しいブログ記事を公開したら(トリガー)、その記事のタイトルとURLを自動的に取得し、X(旧Twitter)とFacebookページに投稿フォーマットに合わせて自動投稿する(アクション)」などを実現できるのです。
異なるサービスをつなぐことで、今まで手動で行っていた作業を自動化し、業務効率化や時間短縮、ヒューマンエラーの削減が期待できます。無料プランから始められ、直感的な操作で誰でも簡単に自動化の仕組みを構築できるのが大きな魅力です。
このワークフローの中に生成AIを組み込むと、さらにできることが広がります。「特定のキーワードを含むニュース記事がRSSフィードで更新されたら(トリガー)、その記事のURLと概要をChatGPTに渡し、要点をまとめたレポートを生成。
完成したレポートをGoogleドキュメントに自動で保存し、Dropboxにバックアップする(アクション)」といった従来は人間が介在しないと行えなかった作業を自動化できるのです。
そこで、今回はホームページなどから寄せられた「問い合わせメール」をChatGPTに分析させ、その結果に応じて適した部門やスタッフに連絡する、といったなんちゃってAIエージェントを作ってみましょう。
「なんちゃって」としたのは、AIエージェントの定義である「環境を知覚し、その知覚に基づいて意思決定を行い、目標を達成するために自律的に行動するシステムやプログラム」をクリアしていると言いづらかったためです。
AIエージェントはAIが自分で行動を選択するという自律性がポイントなのですが、Zapierでは定義されたアクションを実行します。人の手を介さないという意味では自律的ですが、AIが行動を決定しているとは言いづらいところがあるのです。とは言え、AIを活用した自動化が便利であることには変わりません。
Zapの作成には慣れが必要。手順もChatGPTに聞くべし
Zapierで作る自動化ワークフローののことをZapと呼びます。それぞれのトリガーやアクションをノーコードで繋いでいくので、プログラミングの知識は不要です。しかし、UIは英語ですし、流れるデータをZapierが処理できるようにするためにコツが必要なところもあります。
.