PCケースらしくない見た目と高い機能性を両立! HYTEの新作PCケース「X50」シリーズを見てきた
2025年5月26日(月)12時5分 ITmedia PC USER
今回の目玉となる新型PCケース「HYTE X50」
今回は、そこで展示されていたHYTEの新製品をレポートする。
●全てがラウンドした新発想PCケース「X50」 困難を乗り越えて実現
プライベート展示場の“目玉”は、既存のPCケースの概念を打ち破る新型PCケース「HYTE X50」シリーズだ。独創的な外観と、PCケースとしての優れた機能性を兼ね備えていることが特徴だ。例えるなら「現代アート」のようなケース、というところだろうか。
X50の最も目を引くポイントは丸みを帯びたラウンド形状だ。ケースのどこにも角がなく、これまでの一般的なPCケースとは一線を画するデザインとなっている。
このラウンドパネルやラウンドガラスの製造は非常に困難であり、開発過程では数えきれないほどの失敗を重ねたという。しかし、その困難を乗り越え、この独創的な外観を手に入れた。
X50の前面には、大きなHYTEロゴを配置していない。これはケース自体のデザインがHYTE製品であることを示すというブランド戦略に基づいている。そのデザインは単なるPCパーツとしてではなく、PCケースを1つのアートとして捉えるユーザー、特に女性をターゲットとした取り組みとのことだ。
前面および右側面のパネルは、メッシュ構造となっている(一部構成は左側面のサイドパネルもメッシュ構造の金属パネル)。ケース全体で使用されるプラスチックパーツも、本体色にマッチしたカラーが採用されている。
ラウンド形状へのこだわりは、ケースの足にまで至っている。とにかく“ラウンド”することへのこだわりが強い。
「静音性」と「冷却性能」にもこだわる
X50は見た目の美しさだけでなく、PCケースとしての機能性も追求している。
特に注目すべきは、サイドパネルへの「アコースティックラミネートガラス」の採用だ。これにより、高いノイズキャンセリング効果が得られ、高性能なグラフィックスカードを搭載しても静音性を保つことができるという。ただし、先述の通り一部構成はサイドパネルもメッシュ構造となっている。
冷却性能にも抜かりはない。新しい「ルーバーブレードデザイン」は、大量のエアフローを生み出すために採用された。ルーバーブレードによって、ケースファンからの新鮮な空気がグラフィックスカードへと豊富に供給されるという。
電源ユニット(PSU)の設置箇所はケース上部となっており、熱がケース底部にこもるのを防ぐ設計となっている。
豊富なカラーバリエーション
X50シリーズは、サイドパネルがガラスの「HYTE X50」と、メッシュ構造の金属パネルの「HYTE X50 Air」の2モデルが用意される。
X50は6色のバリエーションで展開される。定番の「ブラック」と「ホワイト」に加え、「ストロベリーミルク」「抹茶ミルク」「タロ」そして「チェリー」という、HYTEらしい個性的なカラーがそろっている。想定価格は150ドル(約2万1300円)だ。
X50 Airについては、ブラックとホワイトの2色展開となる。想定価格はX50よりも少し手頃な120ドル(約1万7000円)となる。
X50シリーズは2025年第3〜4四半期の発売を見込んでおり、担当者によると「おそらく9月頃になるだろう」とのことだ。
●ライティングとファンをコントロールする「Nexus」アプリ
今回HYTEがX50と並んでが力を入れていた展示が、ARGBとファンの制御を行うアプリ「HYTE Nexus」だ。
Nexusは、部屋全体のライティングを制御できる機能を持っている。これにはキーボードはもちろん、キャンバスやシステム全体が含まれる。単色に設定する機能の他、画面に表示されているものを参考に、ピクセルをサンプリングして没入感のある体験を実現できる「ミラーリング機能」も用意する。また、音楽に反応するモードもあり、さながらミニDJのように機能する。
ライティングシステムだけでもNexusは多機能だが、ファン(冷却)制御機能も備わっている。現在は一部ケースに備わるタッチスクリーン上でライティングコントロールが可能だが、数週間後をめどに「HYTE Q60」「HYTE Q80」(Q80は2025年夏に発売予定)などファン制御にも対応する見通しだ。
Nexusアプリのエコシステムは拡充予定
Nexusアプリの大きな目標の1つは、 可能な限り多くのメーカーや互換性のあるハードウェアにオープンであることだという。「OpenRGB」がサポートするハードウェアについては、Nexusでもサポートする見通しだという。他メーカーとも協力関係を持ち、サポートも得ているようだ。
現時点では主にHYTE製デバイスへの対応にとどまるが、将来的には多くメーカーと互換性を持つエコシステム、プラットフォームを構築することを目指している。例えば、現時点ではASUSTeK Computerの「ROG(Republic of Gamers)」ブランドのグラフィックスカードなどのライティング制御も可能だ。「Powered by Nexus」のロゴは、今後さらに多く見られるようになる予定という。
Nexusアプリは完全無料で利用でき、現時点では2週間ごとにメジャーアップデートがリリースされている。サードパーティーにもSDKを提供することでさらに機能を拡張していく予定だ。
●まとめ
HYTEの新型PCケース「X50」「X50 Air」は、丸みを帯びた独創的なデザインが魅力のアートのような製品だ。製造の難しさを克服した美しい外観は、静音性を高めるアコースティックガラスや優れたエアフロー設計といった実用性も兼ね備えている。
「Nexusソフトウェア」は、ライティングやファンを簡単に制御でき、部屋全体の雰囲気を演出する。音楽に反応するモードや他社製品との互換性も目指しており、同社製のタッチスクリーン付きケース「Y70 Touch Infinite」などと組み合わせれば魅力を最大限に引き出すことができるだろう。
秋葉原ではVTuberとのコラボケースなどで認知度がどんどん上がっているHYTEだが、今回展示されていた新しいデザインのケースはもちろんのこと、ソフトウェアにも力を入れていく姿勢が感じ取れる展示だった。HYTEの次の一手に期待したい。