Googleの育ての親が語る投資の秘訣は3番手狙い!?

5月28日(月)8時43分 マイナビニュース

グローバルのITサービスプロバイダやアナリスト、関連のメーカーといった団体が集うテクノロジー・カンファレンス「NetEvents Global Press & Analyst Summit 'Innovation Cloud,IoT,AI&Cybersecurity'」が日本時間の5月24日、25日に米国サンノゼで開催された。

同イベントでは、クラウドやIoT、人工知能といったテーマを軸に、各団体のキーマンが登壇した。その中で、注目を集めていたのが基調講演を担当した米スタンフォード大学計算機科学教授のデヴィッド・チェリトン氏である。

チェリトン氏は、1951年バンクーバー生まれ。両親ともにエンジニアで、工学関係のビジネスをしている。5人兄弟。アルバータ州エドモントンの公立高校を卒業後、アルバータ大学の音楽科に一時在籍するが、ブリティッシュコロンビア大学に転校し、1973年卒業。

1974年と1978年にウォータールー大学で数学の修士号と計算機科学の博士号をそれぞれ取得している。スタンフォード大学に移る前はブリティッシュコロンビア大学の助教授を3年間務めており、スタンフォード大学では研究グループ Distributed Systems Group(分散システムグループ)を率い、1980年代に分散OSのVを開発した。

1995年にアンディ・ベクトルシャイムとともに Granite Systems社を共同設立し、ギガビットイーサネット技術製品の開発を進める。翌1996年にはシスコシステムズ社に買収される。2001年に再びベクトルシャイムとともに Kealia社を共同設立。2004年にサン・マイクロシステムズ社に買収される。

チェリトン氏はGoogleの共同設立者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンに、エンジェル投資家としてベクトルシャイムを紹介した人物でもあった。

2003年にAssociation for Computing Machineryの SIGCOMM Lifetime Achievement賞を受賞し、2005年11月にウォータールー大学は、チェリトンがコンピュータサイエンス学部(School of Computer Science)へ2500万ドルを寄付したと発表した。彼の貢献を認め、学部名は "David R. Cheriton School of Computer Science"と改められている。

また、GoogleとVMwareの最初の投資家の一人であり、投資家としても著名な人物。また実業家としての側面も持ち合わせており、アリスタネットワークスやアプストラといった企業の共同設立のサポート活動を行っている。チェリトン氏は一般的な大学教授よりも多くのシリコンバレーの発展に貢献しており、現在は投資家として、20以上の会社に資金提供し、現在スタンフォード大学で自分が設立したDistributed Systems Groupを率いており、アカデミアンの顔だけでなく多くの顔を持っている。

そんなチェリトン氏は、現在米Apstra(日本市場では、東京エレクトロンデバイスと代理店契約)でチーフサイエンティストとして活動している。そのApstraが持っている優位性について、「なぜ今Apstraなのかというと、ネットワークを稼働するための業務費や運営費といったコストや、ネットワークの機敏性(アジリティ)と信頼性の向上、APIのスイッチ(プログラムがスイッチと対話する)、マルチベンダーのネットワーク、例えばGoogleネットワーク自動化といった業界トレンドを統一しているため」と語った。さらに「ApstraはMansour KaramとSasha Ratkovicという素晴らしいチームにより設立されている。この会社のバックボーンは私の専門であるDistributed Network Operating Systemと合致している」と説明した。

また、さまざまな顔を持つチェリトン氏と一般的なベンチャーキャピタルとの違いについて「私はベンチャーキャピタリストではない。彼らは投資機会をうかがい、効率の最適化を目指している。彼らは多くの会社に投資し、どれが成功するかを見ている」と強調。さらに、「私のアプローチは、まず投資する会社がどの程度社会に貢献するかを見極める。加えて、どの程度私が技術的に貢献できるかも見極める。それからチームを構成する人材のインテリジェンスと品位を重視する。そして大事なのは、競馬馬のように賭けるような投資ではなく、自分が親のように育てられるような会社を選びことだ。そのような会社が開発する製品は自ずと売れるものだ。」と自身の経験を紹介した。

さらに「1つのバスケットにすべての卵をいれないこと。(Don’t put all your eggs in one basket.)そして、卵をいくつかの小さなバスケットに分けて、それらを育て上げること。(Put your eggs in a small number of baskets and take very good care of those baskets.)」と2つのポイントを示した。

加えて自身のこれまでの経歴について触れ、「ご存知の方もいるだろうが、改めて私の経歴を紹介すると、私は1981年にスタンフォードにCSの助教授となり、そこでAndy Bechtolsheimに会い、Sunのワークステーションを見せてもらった。そのワークステーション上で最初のソフトウェアを書き、ハードウェアバグを修正し、Sunに投資することにした。1994年にはAndyにイーサネットの会社を設立するのに投資した。なぜかというと、我々はATMを嫌っていたからである。彼はハードウェアに強く、私はネットワーキングとソフトウェアに強かった。この会社は1996年に220ミリオンドルでCiscoに買収され、Catalyst 4Kという製品で販売された。これはCiscoの一番成功した買収だった」

またGoogleの創業者である教え子であるセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジの二人との出会いについても触れ、「Sergey Brinとは、1996年に彼がスタンフォード博士コースの在学中に校舎の屋上でローラーブレード中に会った。彼はLarry Pageとともに、彼らが思い描くサーチエンジン技術のライセンシングについてのアドバイスを求められました。そこで彼らの「赤ちゃん」を大事に育て上げるようにアドバイスした。金がなかったので資金も提供した。サーチの機能は人間の最も本能的な機能だと思う。そしてDavid Sarnovがビジネスモデルを提供してくれました」

「それから私はAristaに就職後、また大学に戻った。しばらくしてからMonsour KaramとSasha Ratkovik (後のApstraの創立者たち)がネットワーキングのシステム化についてアドバイスを求めてきたので、彼らの人格、技術に惚れたのでアドバイスを与え、投資することにした。」と、Googleの育ての親になるきっかけ等を紹介した。

またチェリトン氏はスタンフォード大学で教鞭をとることについて、「私はスタンフォード大学で教えることを非常に幸運に思う。なぜかというと素晴しい学生と会えて、ともに仕事ができたからだ。私の研究課題は常に実世界の問題を解決しようという姿勢で挑んでいる、例えばソフトェアデザイン、分散システム、ネットワーキングの問題などだ。また、私より高い知能をもった学生と働き、彼らと共に会社を設立することが成功の秘訣であると思う。それにより歴史的に正道を行くことができるのだ。ただし実際の価値(real value)を与えないものには投資しない。何故なら失敗してしまうから。また、一番手にも手を付けてはいけない。それも失敗の元だ。天に運をまかせ、常に準備し、友達を選ぶことが大事だと思う。ちなみに私のマジックナンバーは3だ」と強調した。

「一番手には手を付けない」といった意外にも思えるチェリトン氏の言葉は、検索エンジンの主流が、ディレクトリ型からサーチ型へと変遷した時代を、育ての親として見てきたからこその言葉であり、現在のサーチエンジンがもたらした情報化の波は、AIや機械学習といった新しいテクノロジーによって進化を遂げ、私たちを未来へ誘うだろう。

マイナビニュース

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