「楽天モバイル」がプラン改定 MNOへの移行はどうする? 楽天モバイルはどうなる?

6月14日(木)20時40分 ITmedia Mobile

Y!mobileやUQ mobileに対する「スーパーホーダイ」の優位性を訴える大尾嘉宏人執行役員

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 既報の通り楽天は6月14日、「楽天モバイル」の主力プランである「スーパーホーダイ」のサービス内容をリニューアルした。「2年・3年契約時の優待方法の変更(キャッシュバック→月額料金割引)」「より大容量なプランの提供」「国内通話準定額の時間制限の緩和」がその内容だ。
 一方、楽天は子会社「楽天モバイルネットワーク(RMN)」を通して、自ら無線通信設備を持つ移動体通信事業者(MNO)となるべく準備を進めている。計画では、2019年10月にサービスを開始する予定となっている。
 計画通りに進めば、1年半以内にはMNOサービスが始まる。それにも関わらず、今回MVNOサービスを“強化”した。なぜなのか。サービス発表会の質疑応答と、その後の囲み取材の様子からひもといてみよう。
●楽天モバイルの契約者を“ゴッソリ”とMNOに?
 今回のサービス発表会における最大の疑問は「MNOサービスの開始を(予定では)間近に控えているのに、なぜMVNOサービスを強化するのか?」という点。
 このことに関連して、記者と楽天の大尾嘉宏人執行役員(楽天モバイル事業担当)との間でこのようなやりとりがあった。
—— 今回の新しい「スーパーホーダイ」について尋ねる。なぜこのタイミングでサービス改定を行ったのか。これをやることで、2019年の(MNO)参入時に300万契約を獲得できる見通しが立つのか。
大尾嘉執行役員 なんででしょうねぇ(笑)。
 「(通話定額は1通話あたり)10分ほしい」「大容量プランがほしい」といったお客様からの要望やスーパーホーダイの加入状況を踏まえつつ、検討を続けてきた。(プラン改定に伴う)システム開発も必要で、一番早く出せるタイミングを狙った結果、今日(6月14日)になった。
 「このプランを使って(MNOとしてサービスを始める際に)300万契約を達成可能か?」という話だが、数字的には野心的な目標だとは思うが、達成したいと思っている。頑張りたい。
 楽天は、楽天モバイルのユーザーを原則としてMNOサービスに移行させる方針。移行するベースとなるユーザーをなるべく多く確保するために、このタイミングで2〜3年継続して契約することにメリットのあるプランを用意したともいえそうだ。
●MVNOとしての「楽天モバイル」はどうする?
 ただし、楽天モバイルは「ドコモ回線を利用する」旨をアピールポイントの1つとしてきた。そこに魅力を感じて契約した人もいるはずで、全員がMNOサービスへの移行を「承知」するとは限らない。
 「どうしてもドコモ回線で使いたい」という人にはどういう選択肢を示すつもりなのか。この点についても、記者と大尾嘉執行役員とのやりとりで触れられた。
—— MNOサービスの開設計画では、楽天モバイルのユーザーを(MNOに)マイグレーション(移行)することになっていたと思う。その観点に立つと、今のタイミングでスーパーホーダイをリニューアルする意図が分かりづらい。
 マイグレーションを前提とすると、3年縛りがあることで不安を覚えるユーザーもいると思うが、今後楽天モバイルをどうしていくのか。
大尾嘉執行役員 MNO開始(移行)後もこのプランをお使いいただけるし、MVNOとしての楽天モバイルも(引き続き)お使いいただける。
 楽天としてはMNOとして良質なネットワークを構築していくつもりで、現在MVNO(楽天モバイル)を使っているユーザーにはMNOに移っていただきたいと考えている。現在の楽天モバイルのお客さまが不利になるようなことは、絶対にしない。
 なので、安心して3年プランに入っていただければ、と思っている。
—— 先ほどの質問と関連して確認したいことがある。MNOサービスが開始した後も、当面はMVNOサービスも併存させるという理解で良いか。
大尾嘉執行役員 現在の楽天モバイルはNTTドコモの回線を使って提供している。
 先ほども言った通り、基本的にはMVNOサービスも継続するつもりである。ただ、良質なネットワークを作って行く中で、お客さまに選択していただくことを前提として、最終的には独自のネットワーク(MNOサービス)に移行していただきたいと考えている。
 「来年(2019年)はどうするのか?」という話もあるが、今回は(現行の楽天モバイルにおける)2年・3年プランを発表しているので、それはそれとして使っていただけるようにする。「(MNOサービスに移行したら)こういう特典やメリットがあるけれど、どう?」ということを示して「いいね!」ということで移っていただけたら、それはそれでベターなのかなと。
 また、タイミングが来たら(MNOサービスについては)詳しくご案内できると思う。
 基本的には優遇策などを提示しつつMNOサービスへの移行を推進する一方、MVNOとしての楽天モバイルも併存させる戦略を取るようだ。
●「楽天モバイル」、本当に続けられる……?
 しかし、楽天に回線を提供しているNTTドコモは、RMNによるMNOサービス開始後の回線貸し出しに否定的だ。「子会社がLTE通信サービスを提供しているのに、親会社がグループ外企業からLTE通信サービスの提供を受ける」という状況は確かに違和感を覚える。
 過去の事例をひもとくと、ウィルコム(現・ソフトバンク)の「WILLCOM CORE 3G」が思い浮かぶ。ウィルコムは自前でW-CDMA(3G)通信設備を持っていなかったため、MVNOとしてNTTドコモからFOMA回線を借りてサービスを提供していた。
 しかし、同社が会社更生法適用を申請し、その後ソフトバンク(現・ソフトバンクグループ)の下で再建を開始することになった際、WILLCOM CORE 3Gはソフトバンクモバイル(現・ソフトバンク)回線を使うサービスに衣替え。ドコモ回線を使う旧サービスはインターネットイニシアティブ(IIJ)に事業譲渡し、ユーザーサポートや料金関連業務をウィルコムが再受託するという形でサービスを継続した。この旧サービスも、2017年11月30日をもって終息している。
 話がわき道にそれたが、この事例を参考にすると、MNO(のグループ会社)がグループ外のMNOから回線を調達してMVNOサービスを提供することは困難であると思われる。
 質疑応答や囲み取材でも、この点に関する疑問がぶつけられている。
—— 今回「2年」「3年」という長期契約(を優遇する)プランを提示した。契約期間を拘束するに当たって、3年後も(ユーザーの契約期間が満了するまで)NTTドコモからネットワークを借り続けることを担保できているのか。
大尾嘉執行役員 そうだ。
—— 間違いなく、大丈夫か。NTTグループ(NTTドコモやNTT)には(引き続き楽天に対して回線を貸すことに)否定的な声もあるが。
大尾嘉執行役員 はい。
 RMNがMNOサービスを開始した後も、楽天はMVNOとしてNTTドコモから回線を借りられると考えているようだ。
 万が一、楽天がNTTドコモからの回線提供を受けられなくなった場合、楽天がRMNから回線を借りて(=元回線を変更して)サービスを継続するという「ウルトラC」も考えられる。この点についても、記者と大尾嘉執行役員とのやりとりがあった。
—— (MVNOサービスとしての)楽天モバイルの回線について、NTTドコモ回線を継続して使うのか、タイミングはさておき、ゆくゆくはグループ(RMN)の回線に切り替えるのか。
大尾嘉執行役員 先々の話はできないが、現状の楽天モバイルのユーザーはドコモ(回線)のまま提供する。
 MVNOとしての楽天モバイルを継続利用したいユーザーに対しては、あくまでもドコモ回線のままサービスを提供する意向のようだが、MNOとしてのRMNが回線を貸し出す条件の詳細が出てこないことには分からない点もある。なお、RMNはMVNOへの回線提供を2020年4月から開始する計画となっている。
 先述の通り、RMNのMNOサービスは、楽天モバイルの現行料金プランと同じプランを用意する予定。そうなると、同じ料金プランのMNOサービスとMVNOサービスがグループ内で“競合”することになってしまう。この問題はどうするのだろうか。
—— 2019年時点ではMNOサービスとMVNOサービスが併存することになると思うが、どうすみ分けるのか。
大尾嘉執行役員 今はお答えできない。
 MNOサービスの詳細を公表する際の「お楽しみ」となるようだ。
 あくまでも“MVNOサービス”の楽天モバイルの発表会だったこともあり、MNOサービスについての新たな情報はほとんど出なかった。
 今後、楽天は「MVNO」「MNO」をどうするのか。“答え”が見えてくるのは少し先になりそうだ。

ITmedia Mobile

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