ロケットの軽量化に向けたマグネシウム合金の積層造形技術をJAXAなどが開発

2024年6月14日(金)18時40分 マイナビニュース

三菱電機、熊本大学先進マグネシウム国際研究センター(熊本大学MRC)、東邦金属、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の4者は6月13日、ワイヤー・レーザーDED(指向性エネルギー堆積方式)方式によるマグネシウム合金の高精度な積層造形技術を確立したことを発表した。
これまで4者は、ロケットの軽量化による抜本的な低コスト化に向けて、JAXAの「革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラム」の枠組みのもと、2022年9月から「マグネシウム合金ワイヤーを材料に用いたレーザーワイヤーDED方式AM(Additive Manufacturing)造形技術の研究」を進めてきた。従来、マグネシウム合金は、高温で溶かした金属を金型に流し込み、圧力をかけて成形する鋳造方法である、「ダイカスト法」という手法での加工が一般的であるため、内部に空洞を持つような造形が不可能という課題があったほか、複雑な形状を高精度に加工できる金属3Dプリンターにおいては、金属の粉末を熱で溶融させて積層造形する「PBF方式」が主流であるが、燃焼しやすいマグネシウム合金を粉末材料として用いた場合、酸化による劣化や粉塵爆発を引き起こす可能性があり、安全に運用できない課題があったという。
そこでこうした課題を解決するべく今回、金属粉末ではなく、金属ワイヤーを材料として使用するワイヤー・レーザーDED方式を採用した三菱電機の金属3Dプリンターと、熊本大学MRCが開発した高い不燃性を有する「KUMADAI 耐熱マグネシウム合金」を組み合わせる手法を考案。研究開発は、マグネシウム合金用積層造形技術の開発、造形物の材料特性検証を三菱電機が、マグネシウム合金の組成検討を熊本大学 MRCが、マグネシウム合金ワイヤーの製造プロセス開発を東邦金属が、マグネシウム合金積層造形物の性能評価によるロケット軽量化効果の試算・評価をJAXAが行う形で進められた。
KUMADAI耐熱マグネシウム合金製ワイヤーを用いた試験造形を繰り返した結果、マグネシウム合金粉末よりも高い加工性と強度を両立した取り扱い容易なマグネシウム合金ワイヤーを、精密な温度制御により燃焼させずに積層造形することができたとのこと。
また、同技術による積層造形物について、ロケット用材料としての性能評価をJAXAにて行ったところ、ロケットの部位によっては従来のアルミ合金構造と比較して最大で約20%の軽量化効果が得られる可能性が試算されたという。
さらに、従来手法ではマグネシウム合金の鋳造加工時にカバーガスとして用いられる、地球温暖化係数の高い温室効果ガスであるSF6を使わない加工方法のため、従来の加工方法と比べてエネルギー効率の向上や温室効果ガス排出量の削減が期待でき、カーボンニュートラルの実現にも貢献できるともしている。
なお、4者は今後、今回開発した手法を活用する形で、軽量化による燃費向上とロケットのコスト削減へつなげていきたいとしているほか、鉄やアルミニウムよりも軽量で高強度なマグネシウム合金を、より複雑で自由な形状に加工できるようになることから、宇宙輸送に限らず、軽量化が要求される自動車、航空機など各種輸送機器やロボット部材にも幅広く利用される可能性があるとしており、そうした各種産業分野への波及および実用化に向けた研究開発も進めていきたいとしている。加えて、三菱電機では2029年をめどにワイヤー・レーザーDED方式金属3Dプリンターとして製品化することを目指すとしている。

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