金属3Dプリントは「小さな鋳造」 - GE、アディティブ事業を日本で展開

6月15日(金)7時30分 マイナビニュース

GEは6月14日、日本におけるアディティブ・マニュファクチャリング事業(以下、アディティブ事業)を、6月から本格始動することを発表した。同日に記者会見を開催し、GEアディティブ 日本総括責任者のトーマス・パン氏が、同社のアディティブ事業の内容と、日本における展開について語った。

冒頭、パン氏はGE全体の事業方針において列挙されている「成功要素」の中でも、アディティブが最初に挙げられていることから、非常に重要視されているものと強調。GEアディティブはグローバルにおいてもまだ始まったばかりの事業であり、これから急速に成長させていきたいと述べた。

また、GEアディティブの位置づけとして、同社が2015年に全社横断的に存在していたデジタル部門を集約し設立した「GEデジタル」と同様、GE各部門に横串を通すような存在であるとし、すべての事業に対して、アディティブによるものづくりを提案するものと説明した。

また、アディティブという手法の最大の利点は、既存手法では実現不可能な形状の出力にあるとした。そして、同社が注力している金属による3Dプリントによって、大きなパフォーマンス向上をもたらす部品を、試作ではなく実際に使える部品として生産可能になるのだと繰り返し言及。そのためにはまず、金属を用いた3Dプリントのメリットを、多くの顧客に伝えていきたいと語った。

同社が実施した調査によれば、3Dプリンティングが「ビジネスにプラスの影響を与える」と考える経営層は、欧米諸国が63%となった一方、日本の回答者では36%とかなり数値が落ち込む。そのため、パン氏は何よりもまず、3Dプリント活用のメリットを最大限訴求していきたいと熱弁。そして、据え置きが主流だった電話も、今やiPhoneのようなスマートフォンを当たり前に使うようになっている状況になぞらえ、多くの人が使い始めることで、3Dプリンティングも普及にしたがって進化していくだろうとコメントした。
○金属3Dプリントは「小さな鋳造」

3Dプリンティングは長らく製造業において試作のために使われてきており、2014年〜2015年頃には日本国内で、一般層にまで認知が拡大した「3Dプリンタブーム」も起こった。パン氏は金属3Dプリンティングに関して言えば「箱の中で小さな鋳造を行っている」ものだと例示し、一時のブームで蔓延した「魔法の箱」であるかのようなイメージではなく、設計データを必要とし、部品を製造するための「マイクロ鋳造技術」であると周知していきたい意向を示した。

同社が販売するのは、2016年に買収したARCAMとConceptの金属3Dプリンタ。中でも、部品製造にも対応する大型金属3Dプリンタ「X Line 2000R」や、将来的に展開予定の超大型金属3Dプリンタ開発プロジェクト「Project A.T.L.A.S.」などを紹介した。すでに両社の日本代理店は存在するが、今回のGEアディティブ立ち上げに際して整理などの方針はなく、パン氏いわく、GEアディティブ直販と各代理店からの販売を併存させる「ハイブリッド式」で販売展開を進めていく。

そして、GEがアディティブ事業のベンダーであると同時に、ユーザーとしての経験を持つことが最大の強みして、航空機エンジン「LEAP-X」の燃料ノズルのパフォーマンスを、アディティブ技術で製造することで目標値に到達させることができたエピソードを語った。これまでは20点存在した部品を1点に統合、重量を25%削減、耐久性を5倍以上強化したという。

加えて、こうしたユーザーとしての知見を生かすアディティブ・コンサルティングサービス「AddWorks」を展開する。GE社内で用いている方法論を、そのままコンサルティングサービスとして提供するもので、導入開始から量産認証までサポートする。

終会間際、グローバルにおけるミッションを明かしたパン氏。2020年までの年間売り上げ10億ドル、2026年までには累積販売台数1万台に加え、GE内部のコスト削減効果を50億ドルに到達させるというものだ。現状、販売台数に関しては約1300台(2018年4月段階)ということで、「まだまだ先は長いが、エコシステムと共に大きく成長していきたい」と抱負を述べた。

プレゼンテーション中、何度も「アディティブのユーザーを増やしたい」と言及したパン氏。切削加工の歴史を例に出し、黎明期にはCAMツールでパスを作成できる人材がほとんどいなかったことを語った。「使える人がいなければ機械は普及しないというのは、(切削加工も)アディティブも同じ。まずは自社で機械と素材、コンサル、ソフトウェアまで必要なものをすべて用意していく。テクニカルセンターも今後増設し、顧客の方が実際に金属3Dプリンティングに触れる機会を創出し、エコシステムの形成を目指したい」と、今後の展望を示した。

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