航空会社の権利は乗客よりずっと強い

6月20日(火)9時0分 lifehacker

最近は航空会社を軽蔑したくなることが色々とありますが、それも致し方ないことです。ユナイテッド航空の職員が、飛行機から乗客男性を文字通り引きずり下ろしたのは、自社の従業員のために座席が“必要だった”からだそうです。レギンスを履いた少女をつまみだしたりもしていました。

デルタ航空が4人家族を追い出したのは、弟がお兄ちゃんの席を使っていたからでした。スピリット航空は、労働争議のために大量のフライトをキャンセルし、大量の旅行者を途方に暮れさせました。ユナイテッド航空は最近、従業員のやりとりを電話で録音した人のチケットをキャンセルしたという、別のニュースもありました。言うまでもなく、乗客や利用者たちは激怒しており、ユナイテッドのような航空会社は大打撃を受けました。

しかし、ちょっと待ってください。このようなエピソードで、誰もが腹を立て、お金を払っている客としての権利を声高に主張していますが、どこまでが乗客や利用者の権利なのか知っていますか?

不満を言い過ぎたり、不買運動をする前に、航空券を買う場合に知っておいた方がいいことがあるはずです。飛行機の乗客にも権利は存在しますが(米国の場合は運輸省の管轄)、かなり頼りない最低限のものです。おそらく、予想しているようなものではないと思います。今回は、飛行機の乗客の権利について見ていきましょう。

飛行機の乗客には権利がほとんどない
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Image via gettyimages.
まず最初に、航空会社はいつでもどんな乗客でも、乗客が席を譲りたくない場合でも、搭乗を取りやめさせる法的な権利を有している、ということは知っておかなければなりません。これは、お金を支払っている乗客に対する権利です。

酔っ払っている、泣いている赤ちゃんと一緒、臭いにおいをさせている、靴を履いていない、オーバーブッキングという理由ですら、あなた以上に重要だとみなされた人に席が必要な場合は、飛行機から出される可能性があります。残念ですが、米運輸省はこのように言っています。

オーバーブッキングは違法ではありません。ほとんどの航空会社が、予約をすっぽかした人の穴埋めをするために、ある程度多く予約を取ります。その結果、予約を取り消されたり、置いていかれたりする乗客もいます。オーバーブッキングが発生した場合は、航空会社は急いでいない乗客に、補償と引き換えに自発的に席を譲ってくれるよう頼むよう、米運輸省は求めています。わずかな例外を除き、意思に反して予約を取り消された乗客は、補償を受け取る権利があります。

不本意ながら、飛行機から出されたり、搭乗を拒否されたりした場合は、(法を犯していない限り)無料で別の飛行機のチケットを受け取る権利があります。米運輸省は、予定していたフライトの到着時間から1〜2時間(国際線の場合は1〜4時間)で目的地に到着する別の交通手段がある場合は、チケットの払い戻し金額は、その日の最終目的地までの片道航空券と同額〜2倍(最高で650米ドルまで)と説明しています。到着予定時間が2時間以上遅れる場合は、払戻金額は4倍まで上がります。

基本的に、どこに行くにしても別の航空券はもらえますが、予定より遅れることになります。しかし、同じ航空会社の別のフライトを使うことができる場合は、その航空券は取っておき、別の航空券ではなくお金を要求することもできます。すでに支払い済みの機内サービスがある場合は、航空会社はそれも同様に返金しなければなりません。

不当に飛行機から降ろされたと感じた場合は、米運輸省に正式に訴えることもできます。それでも十分でなければ、金銭的な損失のようなものが証明できる場合は、少額裁判所で争うこともできます。ただし、勝ち目はほとんどありません。

しかし、フライトが遅延したり、キャンセルされた場合は、少し事情が異なります。権利はさらに小さくなります。米運輸省はこのように言っています。

一般的な見解とは逆に、国内線の場合は、フライトが遅延やキャンセルした乗客に対して、航空会社は補償をする必要はありません。オーバーブッキングに関する部分で説明したように、国内線ではオーバーブッキングで飛行機から降ろされた場合のみ、法的に補償を請求することができます。

つまり、フライトがキャンセルされた場合、航空会社は乗客に対して何もする必要がないのです。フライトのキャンセルのせいで乗客をどこかに置いていったとしても、何か特典を提供する必要すらありません。ほとんどの航空会社は別のフライトや、何かしらのカスタマーサービスを提供しますが、それは義務ではありません。

えーと…以上です。これが飛行機の乗客の権利です。

信じられないことが起こり続けている理由では、最近のいくつかの事例について、なぜそのようなことが起こったのかを見ていきましょう。誤解のないように言うと、航空会社を弁護するための釈明ではありません。しかし、なぜあのようなことが起こったのかは理解できると思います。理由がわかったところで、航空会社の行動が正当化されるものではありませんが、飛行機に関する昨今起こっているような現実に直面した時に役に立つはずです。

例えば、医師のデヴィッド・ダオさんの件は、間違いなく本当にひどいもので、ユナイテッド航空は最低の扱いをしていました。しかし、ダオさんは何度か丁寧に飛行機から退出するように頼まれており、それを断ったのも事実です。おそらく直感的な反応としては、「当たり前だろ、彼はお金払った客だぞ、席を立つ必要はない」というようなものでしょう。しかし、航空会社や航空関係の法律から見たら、そんなことはどうでもいいのです。

覚えていると思いますが、先ほども言ったように、航空会社が降ろしたい場合は、法律に則った適切な補償をすれば、いつでも乗客を飛行機から降ろす可能性があります。「不本意な搭乗拒否」というような扱いになり、航空会社の職員の指示に従わなければ、あなたが巻き込まれる(最悪手荒な扱いを受ける)可能性もあります。航空会社の職員や警備員に飛行機を降りるように言われたら、降りてください。

連邦航空局の規則には、このことについて「運航中の航空機に搭乗している乗組員の職務遂行中は、何人たりとも乗組員を攻撃、脅迫、恫喝、干渉してはならない」と明確に記載してあります。ダオさんは、飛行機から降りるよう何度も頼まれていましたが(理由は最低です、わかります、でもそれでも)、翌朝患者を診察する予定だと言って、その指示に従いませんでした。航空会社はシカゴ警察を搭乗させましたが、それでも拒否をしたため、シカゴ警察と航空会社の職員が力づくで降ろしました。まさに権力を行使したのです。

こんなことは許せないと思うかもしれませんし、ユナイテッド航空の常軌を逸した行動は恐ろしいものでしたが、彼らは法律を犯してはいません。2016年だけで46,000人以上もの乗客が飛行機から降ろされており、これは信じられないほどよくあることなのです。他の件についても見ていきましょう。



レギンスを着用していたせいで、ユナイテッド航空の飛行機からつまみ出された少女たちも、規則を破っていました。彼女たちは通常の乗客ではなく、航空会社の厳密なドレスコードを守って搭乗することが求められている、無料の従業員用チケットを使っていたのです。レギンスはドレスコードの条件を満たしておらず、搭乗を拒否されました。わかりやすい理由です。通常の乗客はレギンス着用でも大丈夫でしょう。

子供が決められた席ではないところに座っていたせいで、デルタ航空から降ろされた家族もいました。その子供はお兄ちゃんの席に座っていたのですが、当のお兄ちゃんは別の飛行機ですでに家路についており、その航空券と席は、実際にその子供のものではなかったのです。これはどうしようもありません。子供だろうがそうでなかろうが、航空会社から見たら、他人の席に座っている乗客に他なりません。

スピリット航空は、好きな時にいつでもどのフライトでもキャンセルできます。間違いなくビジネスとしてはよくありませんが、そうすると決めたらそうできるのです。ほとんどの航空会社は、普通は別のフライトを用意しようとしますし、別の航空会社のチケットを買ってもいいという会社もありますが、これは完全に航空会社によります。正式な規則はなく、補償をする義務もありません。航空会社が別のフライトを用意したとしても、立ち往生している間は何のサービスも受けられない可能性が高いです。スピリット航空のような格安航空会社の場合は、特によくあることです。

最後に、ユナイテッド航空の乗組員が許可なく録音をしていた人の搭乗を拒否した件ですが、何度も言いますが、乗組員はいつでも誰の搭乗でも拒否することができます。全党で承認されている州では、許可なく音声を録音するのはとにかく違法です。これはルイジアナ州で起こったことで、全党承認されている州ではありませんが、それでも乗組員に最終決定権があります。乗組員を怒らせたり、苛つかせたりしたら、お金を払うことになります。

勘違いしないで欲しいのですが、この件がどれも“公平だ”とは言っていません。しかし、今のところ法的には間違っていません。乗客は、飛行機の規則と乗組員に常に従わなければなりません。これがアメリカ同時多発テロ以降の飛行機に関する現実です。失った時間やある程度の不便さに対する権利はありますし、米運輸省に正式な文書で訴える権利もありますが、それだけです。

権利を知り、現実を理解するほとんどの場合、上品さや人間味のかけらもなく、あらゆる状況をコントロールしてきているので、航空会社の評判が悪いのは当然です。しかし、狂ったように騒ぎ立てるメディア、飛行機の乗客の権利に対する一般的な誤解、自分の権利を声高に主張する人々などが、火に油を注いでいます。不当な扱いをされた人たち以上に、この問題は難解なので、飛行機に乗るのであれば、あらゆる事態を想定することが大事です。

できることなら、この手の事件が教えてくれる飛行機に関する教訓をすべてのメディアが報じて、規則を改善する方向に変えていけるといいのですが。しかしそれまでの間は、飛行機の乗組員に言われたことを拒否せず、「お金を払ったお客なんだから当然だろう」というような行動をせず、(どんなに馬鹿げてると思っても)規則を破らないようにしましょう。黙っている権利はあります。それから、飛行機に乗ってしまえば、シートの背もたれに寄りかかって、紙コップのコーヒーを飲みながら映画を見る権利もあります。航空会社の職員が何か言ってくるまでは、空の旅をお楽しみください。

Patrick Allan(The Myth of Flyer's Rights/訳:的野裕子)

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