スマホ充電レンタル、便利なのに大半の人が知らないワケ 「ChargeSPOT」の認知度向上に必要なこと

2024年6月21日(金)13時26分 ITmedia Mobile

INFORICHの「ChargeSPOT」。アプリでスタンドの場所を探し、モバイルバッテリーをレンタルできるサービスだ

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 モバイルバッテリーシェアリングサービス「ChargeSPOT」を手掛けるINFORICHは、6月20日にメディア向けの勉強会を開催し、市場の概況などを説明した。
 勉強会に登壇したのはINFORICH取締役兼執行役員CFOの橋本祐樹氏。キャッシュレスFinTech子会社である、メルペイへの入社経験があり、予算の管理や管理会計構築の立ち上げに携わった経験を持つ。INFORICHには2019年12月に入社。国内コーポレート部門を統括している。
●2018年4月開始のChargeSPOT、どのようなサービスか
 INFORICHは「どこでも借りられて、どこでも返せる」をコンセプトに2018年4月からChargeSPOTのサービスを提供している企業。利用者は専用アプリからバッテリースタンドの設置場所を確認し、スマートフォンやタブレットを充電可能なモバイルバッテリーをレンタルできる。スタンドは主要駅やコンビニ、携帯電話ショップなどに設置されている。決済はPayPay、d払い、au PAY、クレジットカードなどで行う。
 国内におけるスタンドの設置台数は約4万3000台となっている。専用アプリの累計ダウンロード数は全世界で1000万人となり、2023年10月にはレンタル数が月間150万となった。月間アクティブユーザー数は2023年と比べて40万人以上増えた。
●外出先でスマホ充電ニーズが増加 スマホの買い替えサイクル長期化も影響
 ChargeSPOTの概況について、橋本氏は「外出中にスマートフォンを充電する需要がある」と前置きした上で、2018年のサービス開始以来、利用者が順調に増えていることを明かす。この要因は何か。
 橋本氏いわく、スマホの充電が切れる人が約3950万人となっており、うち1600万人は外出中に2回以上の充電を必要としているそうだ。スマホ中心の生活環境の中で、いかに外出中の充電ニーズが膨大なのかが分かる。
 この背景にあるのが「スマートフォンの買い替えサイクルの長期化や、高価格化である」と橋本氏は分析する。
 スマホのリチウムイオンバッテリーは約600回の充電回数で最大容量が80%に低下し、それを境に充電効果の急激な減少につながる。一方、物価上昇による端末価格の高騰に加え、新品端末の値引き規制が進んだため、バッテリー容量の低下だけを理由に端末を買い替えるハードルは高い。
 「スマートフォンの価格が高価格化しているし、2年に1回のペースで買い替えたい人が少ない。ヘビーユーザーの人は5〜6年ほど前の端末を使い続ける傾向にあり、バッテリーの容量が少なくなるタイミングで充電するペースが増えた」(橋本氏)
●スマホのバッテリー技術がスマホの進化に全く追い付いていない
 さらに、橋本氏は「スマホのバッテリー技術がスマホの進化に全く追い付いていない」ことを指摘する。「スマホのバッテリー容量の大容量化が進む一方で、1日当たりの平均消費電力量は102倍に増えた」と話す橋本氏は、この要因には「ディスプレイやアプリ、通信規格の進化」が含まれると説明し、「パワーギャップ」だと言い表した。
 橋本氏はスマートフォンのトレンドとなっている「生成AI」も、バッテリーの消費に「影響を及ぼしている」と指摘し、生成AI搭載スマートフォンと非搭載スマートフォンとでバッテリーの消費量がどれほど異なるのかを調査した結果を示した。
 調査では従来型のスマートフォンとして生成AIを搭載しない「Xperia 1 V」を、生成AIを搭載した「Galaxy S24」「Pixel 8 Pro」を用意し、AIに関する機能を同じ条件下で使用し、消費電力量の差を検証した。リアルタイム翻訳では約30分の音声データとして記録された会話内容を翻訳し、画像生成は30回、音声消去は30回行った。
 この結果、生成AI搭載スマホの方が非搭載スマホよりも多くの消費量だと分かった。橋本氏は「今後さらに、AI搭載スマホが増えることから、スマホを充電するニーズも高まる」と予想している。
●モバイルバッテリーシェアリングサービスの存在を知らない人は85% 認知拡大に必要なこと 
 出先での充電ニーズが増えると考える橋本氏だが、モバイルバッテリーを既に所有している人は、そもそもモバイルバッテリーシェアリングサービスを使うのか? という疑問もわく。
 INFORICHがモバイルバッテリーの所有者にChargeSPOTの利用意向を聞いたところ、3分の2の人が利用する可能性を示した。理由に挙がるのは「荷物を減らせるから」「持ち歩くのが面倒だから」などだった。
 調査ではモバイルバッテリーを購入した人に対し、購入時にChargeSPOTの存在を知っているかどうか聞いたが、85%もの人が「知らない」と回答した。既にモバイルバッテリーを持っている人は3年に1度のペースで買い替えていることも分かったという。
 モバイルバッテリーシェアリングサービスの市場を見ると、バッテリースタンド設置シェア率はChargeSPOTが82.8%とトップを獲る。ChargeSPOTの利用者は10代が14%、20代が42%と全体で最も多く、以降は30代が19%、40代が15%、50代が8%、60代が2%と緩やかに減っている。
 若者が多く利用し、それ以外の年代に浸透していない要因は、キャッチコピーにあると考える。例えば、公式Webサイトの文言は「行き先で、スポッと返却」となっており、初見だと何のことかが分かりづらい。
 加えて、駅構内の改札付近という人目に触れる場所に設置された、広告付きのバッテリースタンドは、目線の先に巨大広告があり、ChargeSPOTの張り紙はその上のわずかなスペースにしかない。
 バッテリースタンドは、特にリテラシーの低い人からすれば、何に役立つかが分からないはずだ。そのため、キャッチコピーを「コンセント難民を助けるバッテリーレンタル」とし、バッテリースタンドの在り方の見直しも必要だと筆者は考える。
 INFORICHが今後、ターゲットとすべきは、既にバッテリーを所有している人ではなく、バッテリーを持ち歩きたくない人や、ACアダプターの所有者で電源の確保に困っている人だ。
 バッテリーは持ちたくないが、ACアダプターは持っている。でも、出先でわざわざコンセントを使うために、マクドナルドへ駆け込み席を確保、充電のためだけに数百円払ってコーヒーやハンバーガーを注文するくらいなら、1時間未満で330円(7月1日以降の料金)のChargeSPOTがうってつけではないか? そう思ってしまう。
 こんなストーリー仕立てで、困り感を解決してあげると、ChargeSPOTの認知がより広まり、「端末の長寿化やAIスマホ増加などで、モバイルバッテリーシェアリングの重要性が高まる」とするINFORICHの説得力も増すのではなかろうか。
 今後、スマホ充電の需要がますます拡大する見込みだけに、ChargeSPOTの利用者を街中で見かけるくらいにまで成長することを期待したい。

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