宇宙空間で“電気サッカーボール”発見 生命誕生の謎に迫る ハッブル宇宙望遠鏡

6月28日(金)7時25分 財経新聞

宇宙空間に浮遊するであろうサッカーボール状の分子 (c) NASA/JPL-Caltech

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 人間をはじめ生物は、炭素を含む分子から成り立っている。このような複雑な分子が宇宙空間で誕生可能かは、生命誕生の謎を解くうえで重要なカギとなる。米航空宇宙局(NASA)は26日、同局が運営するハッブル宇宙望遠鏡が電荷を帯びたC60フラーレンを宇宙空間で検出したと発表した。その形状から「電気サッカーボール」とも呼ぶべき複雑な分子は、星間物質の正体を解くうえでのヒントにもなるという。

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■初めて確認された電荷を帯びたC60フラーレン
 C60フラーレン(バックミンスターフラーレン)は、20の六角形と12の五角形から構成され、ちょうどサッカーボールのような形状をしている。地球上でも岩や鉱石などから稀に発見される分子だが、宇宙空間でも幾度か発見されている。

 今回発見された分子はイオン化しており、宇宙空間では初の検出となる。C60フローレンがイオン化したのは、恒星が放つ紫外線が分子から電子を分解させたためである。

 イオン化したC60フラーレンが発見されたのは、宇宙空間に浮遊する星間物質内だ。塵やガス等の星間物質から構成される雲は、恒星や惑星といった天体を誕生させる「素」である。われわれ人類を含めた生命もまた、これらの星間物質から誕生することになる。そのため、星間物質の正体を知ることは生命誕生の謎を解くうえで重要な情報となる。

 今回発見されたバックミンスターフラーレンは、星間物質に存在するイオン化したものとしては、史上初めてである。星が放出する紫外線が分子から電子をもぎ取ることで、イオン化する。

■星間物質の正体の謎
 星間物質の正体に関しては謎が多い。星間物質の大半は水素やヘリウムだが、鉄やマグネシウム等の微粒子も存在する。

 地球から離れた星間物質の正体を知るには、恒星から放射された光を調べる必要がある。恒星と地球とのあいだに星間物質が存在すれば、恒星からの光から星間物質による吸収線が検出される。そのため吸収線を分析することで、星間物質の正体が突き止められる。

 ところが、吸収線から星間物質の正体が判明しないケースが存在する。幅の広い「DIB(Diffused Interstellar Bands)」と呼ばれる吸収線は、どの物質が原因で生じたのか謎である。現在、約400のDIBが存在する。どの分子によって、宇宙空間から検出されたDIBと同様の吸収線を実験室で作っても、何百万もの異なる分子で調べる必要があるため、分子の特定には時間がかかるという。

 今回、イオン化したC60フラーレンによる吸収線と星間物質によるDIBとが一致することが発見された。そのため、宇宙空間でこの分子が存在することが判明した。DIBから明らかにされていない星間物質はなお存在するため、これらの正体を突き止めることで生命誕生の謎解明に近づくことが期待される。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journal Lettersにて4月22日に掲載されている。

財経新聞

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