今どきの音声翻訳機「TL01」でシェークスピアを読みこなした

7月12日(金)12時5分 ITmedia PC USER

マウスコンピューターの音声翻訳機「TL01」

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 食べるだけで、他言語を話す人だけでなく、動物とまで意思疎通できてしまう、という『ほんやくコンニャク』が現実のものになればいいのに、と考えたことのある人は多いのではないでしょうか。
 海外旅行に行ったときはもちろん、増えつつあるインバウンドへの対応や、海外支店とのやり取りなどで「あちらの言語が理解できれば……!」と思うものです。また、困っている人の助けになりたいという人間の欲求を満たすのに、言語が障壁となって立ちはだかる、ということもあるでしょう。
●漫画で夢見た自動翻訳機が今ここに
 とはいえ、そのようなときには「英語(または他の言語)の勉強、頑張ろう!」と思っても、なかなか続かないもの。そのため、簡単に他言語を理解できるアイテムが欲しくなるというわけです。
 自分で理解できなくても、テクノロジーの力を使って意思疎通できるようにしてくれるのが、声を翻訳してくれる音声翻訳機です。
 最近では、データの蓄積と機械学習をクラウドに任せるオンライン翻訳エンジンの登場により小型化。さらに、語彙数や扱える言語数も飛躍的に増加してきました。
 今回はその中から、持ち運びやすいサイズと求めやすい価格を両立させた、マウスコンピューターの「TL01」を紹介します。同社はBTO(Build To Order)対応のPCを数多く出しているイメージでしたが、翻訳機やスマートホームなどIoT製品も取りそろえています。
●シンプルな見た目と携帯しやすいサイズ感
 翻訳機の中には、通信用ネットワーク確保のため、SIMカード内蔵タイプもありますが、TL01は、スマートフォンのテザリング機能を利用するタイプです。英語を始めとした次の15カ国語に対応しています。
【TL01の対応言語】
・日本語
・英語
・中国語
・韓国語
・フランス語
・ドイツ語
・スペイン語
・ロシア語、
・ポルトガル語
・イタリア語
・オランダ語、
・デンマーク語
・フィンランド語
・スウェーデン語
・タイ語(beta)
 ボディーサイズは約38.6(幅)×100(奥行き)×11(厚さ)mmで、重さは約63g。ポケットに忍ばせておいても気にならないコンパクトさです。
 内蔵のリチウムイオンバッテリーは、Micro USBケーブル経由で満充電まで約2時間、連続動作時間は約8時間となっています。無操作時間が30分続くと、自動的に電源オフになります。
 見た目はICレコーダーのようですが、ディスプレイは備えていません。4つのコントロールを受け持つリング状のボタンと、言語切り替え用のボタン、そして状態を表すLEDランプとスピーカーが前面にあるだけといたってシンプルです。
 ボディー底面に、Micro USBポートとヘッドフォン出力用の3.5mmのミニジャックを搭載しています。
●アプリを使った分かりやすいセットアップ
 本体を充電している間に、連携させるスマートフォンにアプリケーションの「MoYu」(iOS 8.0以降、Android 5.1以降対応)をインストールしておきます。
 インストールとTL01の充電が終わったら、スマホ側でアプリを立ち上げ、指示に従ってWi-Fiネットワーク(IEEE 802.11bgnの2.4GHz帯)またはテザリング経由でスマホと接続します。
 利用したいスマホのSSIDとパスワードを入力して接続すると、アプリ内に「MoYu翻訳機とスマートフォンを音で接続します」という表示が出るのでタップし、指示に従ってスマホとTL01を近づけます。ここでスマホから出る音をTL01が拾い、接続されるというわけです。
 TL01単体でも、他言語を英語、中国語、フランス語、韓国語へと切り替えられますが、タイ語やロシア語、スウェーデン語といった他の10言語に切り替えるには、スマホアプリが必要です。また、ファームウェアアップデートを行ったり、翻訳履歴を見たりするためにもTL01とスマホをひもづけておきたいところです。
 ひもづけ(バインド)設定はアプリ内上部にある「バインドを開始します」から行います。画面の指示に従い、操作するとTL01から4桁の認証コードが音声で流れるので、それを入力。スマホアプリとの連携が済めば、セットアップは完了です。
●聞き取り精度はピカイチだが——
 TL01の使い方は、見た目同様シンプルです。日本語を相手の言語に翻訳したいときは「Me」ボタンを、逆に相手の言語から日本語に翻訳したいときは「マイク」ボタンを押しながら話す(または話してもらう)だけです。
 ボタンから手を離すと、「ピポパッ」という軽快な電子音が鳴り、翻訳後の音声を聞くことができます。音声が流れるまでの時間があまりに短いので、「本当にクラウドサーバとやり取りしているのだろうか?」と疑問に思うほどです。でも、インターネットに接続していないと、そもそも自分の声を聞き取らせること自体ができないので、やり取りをしているのでしょう。
 日本語から英語への翻訳は試せても、あいにく、他言語を話す知り合いが近くにおらず、「相手にしゃべってもらうモード」が試せません。
 それではというわけで、Google先生に英文を読み上げてもらいました。あまり長い文章だと「もう一度、話しかけてください」とエラーメッセージが流れてしまうので、シェークスピア「夏の夜の夢」から以下のワンセンテンスを流してみました。
・There was a law in the city of Athens which gave to its citizens the power of compelling their daughters to marry whomsover they pleased
 読み取り結果と翻訳は、以下のようになりました。
 「law」を「lot」と聞き違えていますが、その他は完璧です。翻訳も「ものがたくさん」の部分を本来の「law(法律)」に修正すれば、だいたい意味が通じるレベルではないでしょうか。「説得する」という箇所も、もともとが「law」だったことを考えれば「強制する」なんだろうな、と推測できるでしょう。
 人名など固有名詞が入っている場合はどうでしょうか。
・Demetrius had formerly professed love for her dear friend Helena, and that Helena loved Demetrius to distraction
 1回目は「ディメトリオス」の「D」の発音を聞き逃してしまったようですが、2回目は正しく認識しています。その代わり、1回目で聞き取れていた「ヘレナ」で失敗してしまいました。
 また、「心が乱れるほど」と訳してほしかった「distraction」が「気晴らし」になってしまい、ディメトリオス一筋のはずだったヘレナの株が下がってしまったのも残念です。
 とはいえ、実際の利用シーンでは、翻訳機を前に早口でまくしたてる人は少ないと考えられます。であれば、聞き取りに関しては充分実用レベルなのではないでしょうか。
 ちなみに、日本人による発音でもある程度聞き取れており、出身国によって生じるなまりにも対応できるのではないかと思います。
 もっとも、TL01の精度は機種に依存していません。オンライン翻訳エンジン(Microsoft Azure Cognitive Services)を採用しているため、利用者が増え、機械学習が進めば進むほど翻訳精度は増していくでしょう。今後にも期待できる音声翻訳機といえるのです。
 ここまで読んできて、「スマホアプリの翻訳機で問題ないのでは?」と考える人もいるかもしれません。しかし残念ながら、国外では自分の手から離れてしまったものが手元に戻らない可能性があります。そのような状態でスマホを手渡して相手の制御下に置くのは多少、不安がありますが、翻訳専用機であれば悪用されにくいので、万が一、持ち去られてしまっても傷は浅いと言えるでしょう(ストラップ用の穴も用意されていますし)。しかも、TL01は1万円以下(税別8980円)と、音声翻訳機にしてはかなり安価な部類に入ります。気軽に持ち歩ける価格帯の製品なのです。
 夏休み中に海外へ出かける人も、国内を観光する人も、TL01をとりあえずポケットに忍ばせておいて、積極的にコミュニケーションを取りにいってみるのはいかがでしょうか。思わぬところで、友好の輪が広がるかもしれませんよ。

ITmedia PC USER

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