コロナ禍でビジネスモデルの再考を行ったシダスジャパンの取組

7月16日(金)11時0分 マイナビニュース

1975年にフランスで生まれたグローバルなインソール(中敷き)ブランドの「シダス」。その日本法人として、スポーツ用品、スポーツ機器、ソックス、靴並びにそれらに関連する物品の輸入、販売を行うのがシダスジャパンだ。
主力製品は、スポーツシューズ向けのインソールで、Jリーガー、なでしこ、プロゴルファー、プロバスケットボール選手、プロ野球選手など、トップアスリートの愛用者も多い。
顧客のメインターゲットは日常的にスポーツをする人だが、最近はコロナ太り対策でランニングを始めた人や、ウォーキングをする年配者など、裾野は広がっているという。シューズのフィット感が増すことで、けがの防止や疲れにくいといった効果があるという。
これまで、これらの商品は主にスポーツ量販店や専門店が主要な販売先となっていたが、コロナ禍で実店舗を中心に販売するビジネスモデルの再考が必要になった。メーカーとして、改めて顧客に提供する価値は何か、他社との差別化要素は何かを再検討し、同社は今まで積極的に行ってこなかった顧客向けのEC強化など、全社で“ブランディングPR”にも取り組んでいる。
○ECの売上は全体の一割
新型コロナウィルスが蔓延する以前、同社の売上の9割は、リアル店舗からのものだったという。
「インソールは、販売員の方がお薦めして、シューズと一緒に買うという商品ですので、どうしても接客して販売するというのが基本になっています。場合によっては、カスタムインソールという、足形を採って、オリジナル製品を作成するケースもあります。これまでもネット販売はしていましたが、あくまで、リピート購入というのが基本でした」と語るのは、シダスジャパン 代表取締役の杉山浩章氏だ。
同社の商品を扱っている店舗は、全国に800店ほどあり、6人ほどの営業担当者で対応していた。営業は注文を受け納品する業務も行うが、販売員に対する商品説明も重要な業務で、販売店向けのセミナーも頻繁に開催していた。
しかし、コロナ禍で都道府県を跨ぐ営業活動が制約されたほか、ショップ自体も休業するケースが多くなった。また、部活自粛や気軽にスポーツを楽しむ環境ではなくなったため、2020年度の売上は前年度比で約3割減になったという。
とくに、昨年の4月5月は、緊急事態宣言により店舗自体が休業になったことで、大きな影響を受けたという。
「そのときは、このままだとまずいと思いました。6月以降、売上は戻ってきましたが、2019年レベルには戻らないと感じました」と杉山社長は語る。
そのため、同社はオンライン販売に注力することを決断した。量販店の中には、リアル店舗とオンラインショップを並行して運営しているところもあるが、実店舗に比べ、オンラインショップの売上がそれほどダウンしていなかったことが理由だという。
間接販売が主体の同社が実際に行ったのは、ECサイトに誘導するためのSNSによる情報発信だ。
同社はそれまでもSNSによる情報発信は行っていたが、定期的なものではなく、仕事が忙しいと後回しになったり、投稿するネタに煮詰まったりするなど、更新頻度は月に数回程度だったという。それを、昨年の年末から1日あたり1-2回アップするように情報発信の頻度を上げた。
またそれまでは一人であったSNS担当も、現在は営業、製品担当など5人程度に増やし、運用している。とくに当番を決めているわけではなく、個人の趣味や担当する業務領域でテーマを分け、それぞれが記事をアップしている状態だという。
投稿する内容については、ファンとの交流や入学式や運動会など、季節や行事に合わせて投稿することも多いという。
たとえば、専門という立場から靴紐の結び方となど足に関する知識を投稿したり、入学シーズンには上履きの話題といった具合だ。
こうった投稿は、営業が店舗を訪問した際に話題になることも多く、タッチポイントづくりに役立っている。
「新たなタッチポイントを増やす中で、一般の人のニーズも高いことが分かってきました。足をケアするのはスポーツ選手だけではないので、どんどんタッチポイントを増やしていこうと思っています」と語るのは、マーケティング&シューズプロダクトチーフの中沢(スペックブレイク)友香理氏だ。
「これまでは公式なコメントが多かったですが、ユーザーが興味を引くことは何かに重きを置いて、靴や足回りにどうしたら興味をもってもらえるかということで、靴ひもの結び方という豆知識的なものを投稿したところ、結構、反応がありました
」と、同じくSNSを運用している中の一人、セールス担当の斉藤晋一郎氏は述べる。
シダスが好きでも、これまでは店舗からしか情報を得られなかったが、ユーザーが新情報をSNSでも得ることができるようになり、今年4月に自社として初挑戦したMakuakeでは55時間で商品が完売したという。SNSで直接、使った人の感想が得られることで、担当者のやりがいやモチベーションアップにもつながっているという。
また、以前は月1回程度だったメルマガの配信も、毎週行うようにしている。
「新商品の紹介など、特別な情報をアップしていこうとしています。週末に時間があるときに読んでもらえるような内容にすることを意識しています。また、注力商品はPRの動きとともにSNS広告も掛け合わせるなど、様々なメディア・タッチポイントを活用しながら効率的に進めていきたいと思います」(斉藤氏)
これらの施策により、効果も徐々に出ているという。
「全体の売上はコロナ以前には戻っていませんが、ECの売上は2割程度になってきています。売れる商品の内容も変わってきています。(ワクチン接種が進んでも)いままでの世界には戻らないと思います。インソール販売におけるリアル店舗の重要性は変わりませんが、ECの売上もそれなりにあると思いますので、うまくアジャストしていきたいと思います」(杉山氏)
そして、今後は動画の活用も行い、さらにコンテンツを充実されていく計画だ。
「これまでは店舗内に展示する販促物を中心につくっていましたが、ECの伸びに伴い動画の作成を積極的に進めています。毎年販売しているリカバリーサンダルでは初めてアウトドアシーンでの動画を作成したところ、スタイリングやブランドの世界観がイメージしやすくなるなど、販売促進に一役買っています。今後は、自社の強みである機能面の訴求ができる動画も増やし、インソールがあらゆる人の足を快適に、より豊かな生活を送るためのポジティブ商材であることを伝えていきたいと考えています」(マーケティング担当の飯塚愛氏)
また、これまでアスリート中心だった商品を、今後はより裾野を広げ、一般の人にも訴求していく考えだ。
「リカバリーサンダルは履くインソールとして、プロスポーツ選手が、試合が終わったあとにクラブハウス内などで履いていましたが、最近はラフなアスリートの方や、足が楽なサンダルとして街中で履いたり、家の中やオフィスの室内履として利用するようになるなど、ターゲットが広がって一般化してきました。元はアスリート向けに開発されたものですが、家の中で使えるサンダルとしてもっと、用途を広げていきたいと思います。コロナ禍でも、ジョギングやウォーキング、ゴルフ向けなど伸びている商品もあるので、より売れている商品の情報発信を強化していきたいと思います」(中沢氏)
今後同社は、東京五輪により、スポーツ熱も高まっていくことが予想されるため、その時流に合わせて情報発信を行っていくという。

マイナビニュース

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