宇宙が舞台のソニーPCL短編「リテイク」ティザー公開、バーチャルプロダクション活用
2024年8月1日(木)21時5分 マイナビニュース
「リテイク」のストーリーは、日本人初の有人月面着陸を達成したある宇宙飛行士の姿を追うもの。月へ降り立ったはいいが、彼は記録用カメラの録画ボタン押し忘れというささいなミスを世間から責められ、精神的に追い詰められてしまう。ミッションから数年後、宇宙開発の前線から離れていた彼は、組織の上官からとある映画の宇宙シーン撮影の監修を命じられ、撮影現場へと足を運ぶことに……。
同作は、ソニーPCLのクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」でVP技術を駆使して撮影。映像に映っている背景にはPixomondo(PXO)のVADチームが手がけた高品質3DCGを使っている。
特に、主人公が宇宙船から月に向かい宇宙空間へ飛び出すシーンはワンシーンワンカットでVP撮影されており、ティザー映像には本番に向けて積み重ねられる事前準備の様子や、撮影当日の緊張感あふれるメイキング映像が盛り込まれている。
PXOは、アカデミー賞やエミー賞、“VFX業界のアカデミー賞”と呼ばれるVESアワードの受賞歴を持つ、米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント傘下のVFXカンパニーとして知られる。LEDを活用して制作した作品としては、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』、『スター・トレック:ディスカバリー』、『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』、Netflix『アバター:伝説の少年アン』などがある。
ソニーPCLは、今回のプロジェクトでの経験をもとに、独自のワークフローをさらに発展させて映像業界の発展に努めるとしている。
○バーチャルプロダクションとは
大型LEDディスプレイと3DCGリアルタイムエンジン、カメラトラッキングシステムを組み合わせた撮影手法のひとつ。
主に3DCGで作成した背景(バーチャル背景)を大画面に表示し、その手前で実際の演者やオブジェクトを配してカメラで撮ることで、実在する風景だけでなく現実には存在しない空間であっても、あたかもその場で撮影したかのような映像を制作できるのが特徴だ。
ソニーPCLは2020年から、VP技術の開発と国内での事業推進をスタート。新しい映像表現を開発するクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」を2022年に開設し、VPだけでなくボリュメトリックキャプチャ技術(実在する空間を立体的なデジタルデータとして取り込み、画面上で高品位に再現する技術)など、先端テクノロジーをいち早く実際の映像制作で活用できる環境を提供している。
同社が東京・品川のソニーグループ本社で開催している「Creative Summit 2024」(会期:8月1日〜2日)の模様は追ってお伝えする。