ノックアウトウニの成体を世界で初めて作成 広島大学の研究

8月2日(金)22時0分 財経新聞

ノックアウト成体ウニ。スケールバーは2mm。(画像:広島大学発表資料より)

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 ノックアウト動物というのは、研究のために特定の遺伝子を破壊した動物のことである。今回、広島大学の坂本尚昭准教授と同大学大学院博士課程後期学生劉大明氏らの研究グループは、ノックアウトされたウニの成体の作成に成功した。

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 ノックアウト動物の中で最もよく知られており、またおそらくは最も広く用いられているものはノックアウトマウスである。一つには、マウスの生理機能が人間に近いからである。余談であるがこれがラットだとマウスよりもずっと難しく、2003年までノックアウトラットの開発は成功しなかった(ノックアウトマウスは1989年に初めて作られた)。

 さて、ウニというのは、あまり直感的ではないかもしれないが分類学的位置付けとしてはヒトに近いのだという。そのため、ウニの発生機序は高校の生物学の教科書でも紹介される生物学においては基礎的な情報となっており、ウニは発生学の研究においてはモデル生物として扱われている。

 広島大学の研究に用いられているのは、バフンウニである。高級な食材として有名なあのバフンウニであるが、発生学の研究素材としても重宝されているのだ。

 ウニの発生であるが、受精卵が16の細胞まで分割したあと、原腸胚という状態を経て、プルテウス幼生という幼体になる。この状態のウニは我々が知るあのトゲトゲしたウニにはまったく似ていない。

 そのあといわゆる成体の状態になるのだが、ウニを胚から成体まで飼育するのは容易ではないため、これまでの研究では後期発生から変態後の成体までの遺伝子解析はできなかった。

 今回の研究では、CRISPR-Cas9システムというゲノム編集方法が用いられた。これにより、色素を持たないいわゆるアルビノのウニの成体を作ることができ、1年間生存させることに成功した。

 なお、今回の研究の成功の秘訣は、稚ウニの飼育において牡蠣の殻の表面で付着珪藻を培養し、これを餌にすることであったという。

 研究の詳細は、Development Growrh and Differentiationに掲載されている。

財経新聞

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