買った星を探せない人が星の数ほどいるようです

8月5日(日)22時0分 GIZMODO


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Illustration: Sam Woolley (Gizmodo)

星を売る。

いや、長野県阿智村ではないですよ。夜空に輝く名もなき星たちを売ってる会社が十数社以上あり、買ったはいいけど自分の星がどれかわからない人たちが世界中の天文台に問い合わせて、天文学博士たちが「自分たちはテックサポートじゃないわい」と思ったりすることもあるんだそうですよ。

自分の星がわからない客、問い合わせを受ける専門家星を売っているのは「International Star Registry」や「Name a Star」などで、気になるお値段は一番安い星で20ドル(約2,200円)ほどです。「買う」と言っても別に命名権や土地が買えるわけではありません。正式な命名権を管理するのは国際天文学連合(IAU)ただひとつですからね。各社の星登録データベースに名前が割り付けられて、紙っぺら1枚の自称「星命名証書」が届くだけ。データベースは政府や学会に使われることもありません。

それでも「愛する人に星の名前をプレゼントしたら、一生夜空を見上げるたびに出会える」と思うと、ロマンをくすぐるんでしょう。ハバフォード大学のKaren Masters天文物理学准教授などのもとにも月に1本は問い合わせがあるんだそうで、同業の天文学者はほぼ全員、置かれた状況は同じだと言います。サン人でもない限り、肉眼で確認できる星は2,500個なのに、何百万個も星を売りまくってますからね〜はい〜。

ベロイト大学のBritt Scharringhausen天文学准教授がこれまでに受けた問い合わせは十数件です。一度は亡くなった親族の星を探して欲しいと頼まれたこともあるのだけど、座標データがアバウト過ぎて、結局よくわからなかったのだとか。これは本当に、よくある問題だと言ってました。「しょうがないので、きれいな星空の写真を探して、一番きれいな写真を丸で囲んであげました。夢をぶち壊しにしたくて学者になったわけではないですからね」と心やさしい准教授は語っています。

仮に見つかっていたとしても、「みんなが期待するようなキラキラ星ではなく、ちいさくて、なんの変哲もない、ただの点だろう」と夢も希望もないことを言っているのは、ニューヨークアマチュア天文学者協会のRori Baldari副会長です。「座標データが正しくても一般の人は探せませんしね。コンピュータ内蔵の天体望遠鏡があって、使いこなせる人じゃないとダメです。それなりのスキルと忍耐(とお金)が要求されます」と言ってましたよ。なるほどなぁ…。

肉眼では見えない星の可能性もスターネーミングビジネスのサイトの中には、そんなことは書いていないところもあります。たとえばドイツの「Starling Star Registry」もそうです。トップページには、サラという名の星を見上げるカップルの写真が載っているんですが、月が明るいのに星も負けないぐらい明るくて、そこからしておかしかったりします。Star-registration.comの場合、「望遠鏡が要らない星」がセールスポイント。でも「こんな風にふたりで星を見上げる状況はまず考えられないし、肉眼で見える星を割り当てられている人がいるかどうかさえ疑わしいところだ」と、ニューヨークBaldari副会長はあくまでも懐疑的でした。

念のため、International Star Registryの広報に取材したら、肉眼で見えるとは約束してないと言っていました。「登録する星はすべて、コンピュータ内蔵天体望遠鏡と経験値がなくてもWorldwide Telescopeで確認できます。みんな天体観測に最適な暗い空の場所にいるわけではないし、プロのスキルがあるわけでもないですからね」とのことでした。

Name a Starの広報は、「肉眼で観測できる等級の星もたくさん命名しましたが、等級数が低い星でも本当に暗い空でないと見えないとお客様には説明していますね。星を探すプログラムを搭載した天体望遠鏡を使うか、Google Skyで探すよう推奨しています」と教えてくれました。

Starling Star Registryの広報からは、「命名した星は全部肉眼で見えますが、探した経験がないと簡単に見つからないのも事実です。特に季節によっては見えない星もあるし、空は晴れ渡っていなければなりません。さらに大都市は”光害”があるので郊外より難しいですね」とのお返事。

Star-registration.comからは返答がありませんでした。

業者に頼まなくたっていいじゃない値段が高くないなら、「それで宇宙に思いを馳せるきっかけになれば元はとれるかも」とScharringhausen准教授は前向きですけど、Masters准教授の方は、業者さんに頼らなくても星を楽しむ方法はいくらでもあると言っています。大好きな星座から星をひとつ選んで、その写真を買うのもひとつの方法だとすすめてますよ。「業者さんにお金を払わなくたって、勝手に自分のものにしちゃえばいいんです」(Masters准教授)。確かに、広い夜空の中に自分だけの特別な星をつくるのは今すぐにでもできそうですよね!

近くの天体イベントに好きな人を誘ってみるのもロマンティックですよ、とニューヨーク市内のハイラインパークで天体観測ナイトを主催するBaldariさんは言ってますし、Scharringhausen准教授も宇宙を感じるならプラネタリウムが一番だと言ってます。猛暑の夏、椅子に体を沈めて星の美しさに圧倒されるのもいいですね〜。

なお、日本国立天文台はFAQでこう書いていますよ。

Q:自分で星に名前をつけることはできるの?

A: 最近、天体に名前をつける権利を商品化して対価を請求したり、地球以外の天体の土地を販売したりしている企業もあるようです。これに対して、天体の命名をおこなっているIAU(国際天文学連合)は、「そうした手順で付けられた星の名は正式なものではなく、公式にはなんの効力もない。夜空の美しさは、すべての人が無料で享受すべきものである」という主旨の声明を出しています。(太字は訳者)

IAUの声明の最新ページはこちら(英文)。

Source: スタービレッジ阿智

GIZMODO

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