カーボンコアガード構造・G-SHOCK MUDMASTER「GG-B100」秘話 - 開発陣が泥だらけの栄光に挑む!(第一夜)

8月16日(金)16時33分 マイナビニュース

陸海空、それぞれのプロフェッショナルが求める極限の機能と性能、そしてタフネスを想定して開発されるG-SHOCK「MASTER OF G」(マスター オブ ジー)シリーズ。「空」の「GRAVITYMASTER」(グラビティマスター)、「海」の「GULFMASTER」(ガルフマスター)とともに、「陸」で卓越した性能を発揮するのが「MUDMASTER」(マッドマスター)だ。

2019年7月、その最新作「GG-B100」が登場した。となれば、当然、その開発秘話を聞きに行かねばなるまい。我々取材班は意気揚々と青梅線に乗り込み、一路、カシオ計算機 羽村技術センターへと向かった。

○これだけの機能、そしてカーボンコアガード構造モデルがこの価格

本題に入る前に、例によって当該製品について簡単に触れておこう。

MUDMASTER「GG-B100」は、G-SHOCK最新の耐衝撃構造「カーボンコアガード構造」を採用。炭素繊維を練り込んだ特殊強化樹脂(以下、カーボン樹脂)で作られたセンターケースと、これに最適化、刷新した防泥構造「マッドレジスト」が大きな特徴だ。また、方位、気圧・高度、温度を計測できるトリプルセンサーにステップトラッカー(歩数計)を加えた「クワッドセンサー」を搭載している。

電源は非ソーラーの電池式ながら、スマートフォンとBluetoothでつながるモバイルリンク機能を搭載。スマートフォン用アプリ「G-SHOCK Connected」(ジーショック・コネクテッド)を使って自動的に正確な時刻を取得できるほか、使い勝手を大きく向上させる新機能もあるのだが、これについては後述する。メインモデルのカラーはカーキで、ほかにブラックとオレンジの計3色がラインナップされ、価格は4万5,000円(税別)となっている。

以上を踏まえて、さっそくお話を伺っていこう。今回ご対応いただいたのは、GG-B100の商品企画を担当された牛山和人氏、デザインを担当された橋本威一郎氏、そして設計を担当された安田巧(たくみ)氏だ。

「GG-B100は、カーボンコアガード構造のG-SHOCKを世界中でより多くの方に使っていただきたい、という思いで開発した製品なのです」と、商品企画担当の牛山氏は語る。「ですから、開発にはかなり力を入れました」とも。

牛山氏「カーボンコアガード構造の先駆けとしてリリースしたGRAVITYMASTER GWR-B1000は、電波ソーラーにモバイルリンクを搭載して、価格も9万円(税別)。これは、日本国内を中心に、G-SHOCKのブランドが醸成しているエリアに向けた商品でした。

じゃあ次はどうしようかと考えたとき、やはりカーボンコアガード構造をグローバルで、より多くの方に使っていただきたい。そこで、MASTER OF Gシリーズの中で、海外でも人気の高いMUDMASTERを手に取りやすい価格で展開しようということになったのです」

GWR-B1000は、ボタンや液晶を保護するバンパーがない(G-SHOCKとしては)斬新なデザインで、カーボンコアガードの剛性をわかりやすくアピールしていた。が、今回のGG-B100はG-SHOCK伝統のラギッド(無骨な・丈夫な)デザイン。その理由を、デザイナーの橋本氏は次のように語る。

橋本氏「これは非常に判断の難しいところでした。やはりカーボンコアガードという新技術が見えるデザインにしたいと。その一方で、従来のMUDMASTERのデザインをどこまで変えるか、どこまで変えていいのかという悩みもありました」
○デザインは「姿で語れるメッセージ」

橋本氏「今まで、カシオで電卓から電子楽器、デジタルカメラなどをデザインしてきましたが、色々やってきてわかったことのひとつに、“デザインを変えられない部分って意外に多い”というのがあるんです。特に、プロフェッショナルが使うツールになるほど、その傾向が強い。

たとえば電卓。本当に実務で使われるモデルは、キーのレイアウトをちょっと変えただけで、使い勝手がまったく変わってしまいます。プロフェッショナルのユーザーは道具へのこだわりが強いし、ボタンの傾斜や表面の凹みが身体に染み込んでいるんですね。MUDMASTERもこれに近い。“MUDMASTERらしさ”を引き継ぎながら、カーボンコアガードのDNAをどう入れていくか。それが課題でした。

GWR-B1000のようなG-SHOCKらしからぬ驚きのあるデザインも大切。でも、特にまだG-SHOCKがまだ浸透していない国では、どんな時計かを見た目で伝えられるモデルも大切です。説明に言葉を必要としない、姿で語れるメッセージですね。THE G-SHOCK! っていう感じの(笑)」

確かに、MUDMASTER GG-B100は時計のキャラクターがひと目で理解できる。実際の土木機器なども、デザインの参考にしているのだろうか。

橋本氏「パーツ分割やカッティングの角度などの参考にしています。僕はバイクに乗るんですが、その周辺にあるツール、たとえばインパクトドライバーとか、そういったものからヒントを得たりもしますね。

こういう道具って、実際に使ってこそわかる部分があるじゃないですか。あぁ、だからここは凹んでいるのか! とか。握った瞬間、手に染み込んでくるような感覚。それは特に大切にしています」

実は、GWR-B1000も橋本氏のデザインだ。が、一見正反対の印象さえ受けるこの2本が、同じデザイナーの手によると気付く人がどれだけいるだろうか。

牛山「それに、G-SHOCKはこれ(タフネスを強調したデザイン)でなきゃ、というお客さまもいますから、その声にも応えたい。低価格から高価格まで、デザインはシンプルからゴツゴツまで。素材はウレタンからメタル、カーボンまで。選択肢の幅が広いのが、G-SHOCKの強みでもあるんです」

GG-B100のデザインのポイントは、最大の特長であるマッドレジスト(防泥)に、カーボン繊維で強化されたケースをどう活用するかだったと、橋本氏は語る。MASTER OF G史上屈指のヒット作であるMUDMASTER「GWG-1000」(これも橋本氏のデザイン)は、金属パイプ(シリンダー構造)を使って泥を漉(こ)すような構造を採っていた。その信頼性は非常に高いが、組み立ては想像以上に複雑らしい。

橋本氏「金属パイプを切削して、パッキンをはめて取り付けて、Eリングで固定して……と、かなりの手間がかかるんです。ところが、カーボン樹脂のケースならこれらを一体化した状態で成形できます。

複数のパーツで組み立てていた部分が1パーツで済むということは、組み立てを省力化できるだけでなく、防泥能力、剛性、耐久性すべての面で性能向上が見込めます。しかも、金属パーツを使わないので軽量化にも貢献する。これは大きな効果です」

ということは、橋本氏はデザイナーでありながら、マッドレジストの理論もしっかり把握した上でデザインをしなければならないのだろうか?

橋本氏「そうですね。マッドレジストにどの程度のボリュームが必要か、あらかじめ意識しておかないと、デザインを始められないのは事実です。専門家ではありませんが、意識は重要。このくらいは必要かなという感覚は持っています」

次回は引き続き、カーボンコアガードに最適化された新しいマッドレジストについて掘り下げよう。

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