国際宇宙ステーション、第60次長期滞在チームが始動 最新の研究内容は

8月21日(水)18時32分 財経新聞

 国際宇宙ステーションでは第60次長期滞在チームによるミッションが、2019年7月20日からスタートした。8月前半には新メンバー加入により、新しい研究が開始された。

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 欧州宇宙機関所属の宇宙飛行士ルカ・パルタミーノは第60次長期滞在チームの一員として、国際宇宙ステーションに7月20日に着任して早々、マルチスケール沸騰試験機を導入した。

 マルチスケール沸騰試験機では、沸騰現象の解明が試みられる。無重力状態では沸騰の速度が緩やかで、沸騰によって形成される泡は非常に大きなものとなる。そのため沸騰現象の観察が容易となり、データ収集が進めば、コンパクトなノートパソコンでも沸騰現象のシミュレーションが可能となるだろう。

 またこのミッションでは、宇宙船内特有の24時間連続で発生する機械音が、宇宙飛行士の聴力に悪影響を及ぼす可能性があるため、これによる聴力損失の測定も行われる。これは長期間に及ぶミッションにおける宇宙飛行士の健康管理に役立つであろう。もちろんNASAで将来計画されている火星有人探査ミッションにもこの成果が活用されるに違いない。

 老化に連れて脳にアミロイドというタンパク質が蓄積していく現象と、アルツハイマー病には相関性があることがわかっている。宇宙に長期滞在する宇宙飛行士の脳で、タンパク質の蓄積が促進されるのかどうかを確かめるために、今回のミッションではタンパク質の凝集時間を複数の条件で変動させたサンプルを作成した。このサンプルは地球帰還までの間、マイナス80度で保管され、地球での分析を待つことになる。

 このほか第60次長期滞在チームは、宇宙船内でのバクテリアの挙動を観察し、宇宙での長期滞在時のバクテリア活用の可能性を探ろうとしている。

 一般人の我々は宇宙空間での糞尿の処理はどうしているのか疑問に思ってしまう。尿はリサイクルして飲み水に変えるシステムがすでに開発されているが、多くは宇宙にそのまま捨てていたのが従来の実態であった。

 だが、火星有人探査ミッションでは、往復で2年以上の長期宇宙滞在を強いられるため、糞尿と言えども粗末に扱える状況にない。バクテリアの力を借りて、これらを宇宙船内の植物育成の肥料に変えたり、バクテリアそのものを食料の一部にしたりということが可能になれば、宇宙滞在の自由度が飛躍的に高まる。

 また火星でバクテリアを繁殖させ、地球のような環境に変えてゆくなどの可能性を探るのにも役立つだろう。

財経新聞

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