自動車の高性能化を支える車載MEMSセンサ

8月22日(木)7時44分 マイナビニュース

MEMSは、高度な微細加工技術によって、単一のシリコン基板上に機械素子、センサ、電子部品を集積する技術です。その技術は、さまざまな自動車で使用されてきた感知装置に代わって採用されつつあります。MEMS技術は、システムコストの削減、固有の堅牢性による継続的な信頼性、コンパクトなサイズによるスペース効率、操作性能に関して、設計上のメリットをもたらします。

車載用のMEMSセンサは、一般的に次の4つのカテゴリに分類できます。

加速度計とジャイロスコープ
流量と圧力を測定するセンサ
内蔵アプリケーション用センサ:路面性状測定の改善およびモニタリング用IRセンサ、車内温度および空気質測定用センサ、ヘッドアップ ディスプレイ用マイクロ・スキャナなど。
車載レーダー用RFセンサ

車載システムにおいて、MEMSセンサを使用することで、車両の走行に影響する主要なパラメータをより多く制御し、広範な制御ソリューションを確立できます。MEMSセンサは、エアバッグやアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、横滑り防止プログラム(ESP)システム、さらに電子制御サスペンション・システムやさまざまな運転支援機能などに導入されています。

特に自動車用アプリケーションに関しては、増加し続ける安全関連のデバイスの統合、燃料消費と有害物質排出の抑制、そして同時に走行時の快適さの向上など、現在の車では複雑さが増大しています。

○加速度計とジャイロスコープ

加速度計には、力の測定単位(G)で加速度を測定する目的があります。MEMSデバイスは、高ノイズ源が存在するアプリケーションで高精度の検知が可能です。デバイスによっては、Gレベルの判定に圧電効果を使用します。そこでは、ミクロな結晶構造に加速力がかかることで、それに応じたAC/DC電圧が発生します。

アプリケーションに適した加速度計を選択するには、いくつかの重要な変数を考慮する必要があります。それにはセンサ構造、共振、信頼性、安定性、帯域幅、消費電力などが挙げられます。

加速度計とは異なり、ジャイロスコープ・センサは、毎秒温度(°/s)または回毎秒(rps)で示される角速度を測定します。角速度は回転速度の測定単位にすぎません。ジャイロスコープを選択する場合は、信頼性、許容される温度範囲、電磁干渉に対する感受性を考慮する必要があります。ノイズ源が原因で誤差が生ずれば測定精度が損なわれ、システムの設計に影響します。

自動車システムでは、ジャイロスコープは従来からエアバッグ制御用の衝突センサに導入されています。これは主にMEMS慣性センサ(加速度計とジャイロスコープ)で構成されます。加速度計は、自動車の加速度を継続的に測定します。このパラメータが所定のしきい値を超えると、マイクロコントローラ(MCU)が加速度の積分を計算し、速度変化が発生したかどうかを検証します。エアバッグでは一般に1軸/2軸加速度センサが使用されています。代わりに、角速度センサを設計に導入することも可能です。

STMicroelectronicsの3軸加速度計「AIS1120SX/AIS2120SX」は、高測定分解能と低ノイズ・レベルを実現し、エネルギー節減のための各種の動作モードや、ウェイクアップ機能などのインテリジェント機能を提供します。これら高G加速度センサは車両安全システムにエアバッグを正確に実装するのに適しており、広範囲の信号振幅検出と動作温度範囲が特徴です(図2)。STMicroelectronicsのポートフォリオには、加速度計とジャイロスコープ・センサを同じチップに搭載した6軸iNEMOシステムも含まれています。

Analog Devices(ADI)の「ADXRS910」は、自動車用ロールオーバー検出用途向けに設計された、MEMSベースのジャイロスコープです。ADXRS910はオフセットと性能感度を補償する内部温度センサを備えており、-40℃〜+105℃の温度範囲にわたって強固な安定性を実現しています。ジャイロスコープの測定範囲は±300°/秒であり、データ読み取り用として最大10MHzのSPI通信が可能になっています。ADXRS910は3.3Vおよび5V(消費電流20mA未満)で動作するSOICパッケージで提供されています(図4)。

○圧力および超音波

自動車システムではさまざまな種類の液体(燃料、エンジン・オイル、冷却液、ウォッシャー液など)が使用されています。液体については、非侵襲的で安全かつ信頼性に優れた方法で、現在の状態または消費レベルをモニタリングする必要があります。

MelexisのMEMS圧力センサ「MLX90819」ーは、標準の5V電源で動作し、多様なアプリケーションで流体圧力レベルを正確に判定できます。エンジン・オイル、トランスミッション・オイル、車両燃料レベル、さらにエアコン・システムの冷却液、大型車両のブレーキの空気圧などのモニタリングも可能です(図4参照)。

高周波数超音波は人間の耳の可聴域にはありません。レベル測定用途では、超音波を反射する成分が液体表面に浮遊しています。タンクの底部には、信号を連続的に発信するトランスデューサが取り付けられています。液面レベルは、音波が対象物に到達し、反射して戻るまでの時間を測定することで判定できます。この時間を「飛行時間(ToF)」という用語で表示します。

超音波センサの精度向上のために、通常は温度センサが導入されていて、温度変化に対応する超音波の速度を正確に測定できるようになっています。超音波は流体速度の正確な測定にも利用できます。車両用のSoCソリューションは、ディスクリートのソリューションに代わるソリューションとして、10mm〜1mの範囲で1mmレベルの検出精度を備えた内蔵アナログフロントエンド(AFE)を実現します。TIの「TDC1000」は、自動車市場の超音波レベル測定、液体/濃度識別および近接アプリケーション向けの、完全に統合されたAFEです。MCUと連動させることで、完全な超音波検出ソリューションが実現します。

○まとめ

MEMS技術は、かつてなく要求が増大している自動車業界に導入され、コスト削減と車両性能向上に貢献しています。MEMSベースの圧力センサ、加速度計、およびその他のデバイスは、車両の安全性向上にとって極めて重要な存在であり、また全自動運転への移行にあたっても大きな役割を果たすことは明らかです。

著者プロフィール
Mark Patrick
Mouser Electronics
テクニカル・マーケティング・マネージャ

Mouserでヨーロッパ地区向けの技術コンテンツ(ホワイトペーパー、ブログ)の作成を担当

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