膝・腰のための減量に「階段昇降」はNG!では良い方法とは……?

8月26日(月)17時0分 おたくま経済新聞


 肥満は、筋肉量が伴っていないと内臓だけではなく膝や腰を痛める原因になります。重量級の力士が俊敏な動きで取り組みできるのも、筋肉が出来上がっているから。では、肥満のある一般人が膝や腰を傷めないようにするためには……?整形外科医が警鐘を鳴らしています。

 「膝が悪くなった患者に『体重減らしてあげたほうが膝の負担は減ります、運動してますか?』ときくと、『駅なんかでも全部階段にしました』なんて言う場合がある。仮に階段を1日に5分使ったとしても消費カロリーは50kcalもいかないし、階段は時に体重の5倍程度の負荷を膝に加える。いいことないぞ!」とツイッターに投稿しているのは、整形外科医のおるとさん。このツイートに続き、「膝悪い人は自転車、水中での運動なんかから始めようね」とも。

 このツイートに対し、「分かって入るんだけどなかなか運動できない」「減量したいけどできない」といった、筆者的にもよく分かるコメントから「水泳や水中ウォークが一番ですね」といったコメント、「エアロバイクを漕いで、(膝に)負荷がかからない筋トレやっています」といった声も。



■ 減量にはまず食事の見直しから
 人間、つい楽な方へ走ってしまいがちですが、ダイエットにはまず食事の見直しが必要です。健康診断でBMIが高い、肥満と診断されてしまった人は、まず食事と間食で一日当たりどのくらいのカロリーを摂取しているか計算してみる必要があります。

 普段の運動量によって、適切なカロリー量は変わってきます。一番確実に自分の食生活と見直すべきカロリー量を把握し、どう改善していけばよいのかは、内科外来で栄養指導について相談してみるのが最適でしょう。肥満外来や総合病院など、管理栄養士や専門知識を持った看護師などが、個別に指導をしてくれます。

 いくら運動を行っても、「運動してお腹がすいたから」と運動して消費した以上のカロリーを摂取してしまっては意味がありません。おなかがすいた時用に、低カロリーでお腹が膨れるこんにゃく製品や海藻類など、また筋肉の元となるタンパク質を豊富に含む豆腐や鶏肉、低脂肪の肉類など、低カロリーな食品を摂る、などの工夫も大切です。

■ 膝や腰を痛めたときの運動によいのは?
 おると医師が推奨している、自転車漕ぎや水中運動が膝に負担がかかりにくく、かつ取り入れやすい運動法です。どちらも長時間に高頻度で行うことは、腰には負担が掛かってしまいがちになりますが、膝に対する負荷は軽くて済みます。

 しかも、水中での運動は、泳いでも歩くだけでも、浮力によって負荷が軽減され、水圧により全身の筋肉を使う事で効果的に運動量を増やすことができます。少しずつ水中での運動を増やすことで、心肺機能の向上にも役立ちます。

 とはいえ、なかなかスイミングやプールに通えない環境の人も多いかと思います。そんな人には、プランクなど体幹を鍛える運動からまず始めてみることをお勧めします。自宅で簡単にできる筋トレ方法には、膝や腰に負荷をかけない方法がいくつもあります。横になりながらできる運動を続けることも効果があります。

 体幹の筋肉を鍛えることで、他の部位の筋肉を補助することができ、結果的に膝や腰を筋肉で支えることができるようになります。体幹の筋肉を付けながら、全身運動となる速足ウォーキングを行うとさらに効果が上がります。やや速足で歩くことなら、自転車がなくてもできますし、費用もかかりません。

■ 食事と運動のバランスが何より大事
 「今まで書かれてることとか分かってるんだけどそれができないんだよ!」という声が聞こえてきそうですが、結局は、肥満による膝や腰の負荷は肥満を解消しなければどうにもならないのが現実です。特に、夏場は暑くて日中の外出は熱中症の危険もあります。かといって、涼しい早朝に歩きに出るのが難しい生活サイクルの人、気温の下がる夜に歩きに出たくてもクタクタでそれどころではないという人もいるでしょう。

 なので、まずは食事の見直しから。そして、自宅でできる運動や、自治体のスポーツセンターの活用なども考えてみてください。

■ 好きなものを食べまくって極度の肥満になった人が迎えたのは……
 以前、筆者は整形外科病棟で重度の椎間板ヘルニアの患者さんをみたことがあります。その人の体重は、約120Kg、食事もジャンクフードや高カロリーな外食が中心といった生活が続いていたのだそう。体幹に付いた脂肪の重さに腰が悲鳴を上げ、自己崩壊状態となって、結局手術となることに。「好きなもの食べてばかりいるインドアな人間って、こんな事になるんですね……」というその患者さんの言葉は今でも覚えていますが、インドアな人間だからではなく、それはただの自堕落です!という言葉をすんでのところで飲み込んだことも覚えていたりします……。もう15年くらい前の話ですが。

 その患者さんは、長い入院生活となり、入院中のリハビリ・栄養指導など結構キツイ(本人談)入院生活を余儀なくされ、若干スリムになって帰っていきました。車の運転が主な仕事で、座りっぱなしというのも腰に負荷がかかった要因でもあったようですが、極端な例だとこんな事にもなりかねないという話。

 整形外科の外来でも、膝の軟骨が加齢によりすり減ってしまって膝が痛い、という年配の方が多く来院します。様々な要因がありますが、多くは長年の筋力のなさを膝の関節で支えていたため、関節のクッション的な役割を果たす軟骨がすり減ってしまったのが痛みの原因。こうなると、定期的な膝関節への潤滑剤となる薬の注射が必要となってきます。それでも治療が追い付かない場合は、手術ということに。しかし、この場合でも、全身の筋肉を増やすことで、膝関節への負担が軽減されるので、加齢による現象と諦めないで、膝に負荷がかからない運動と全身運動を行いましょう。毎日でなくてもいいのです。週に2〜3回程度、軽く疲れる程度から始めてみてください。

 そういった意味では、「筋肉は裏切らない」のです。高齢になっても筋肉は鍛えることができます。小児の無理な筋トレは、時に体を壊すことにつながりかねませんが、全年代を通じて、適度な運動が膝や腰だけでなく、全身の健康に繋がります。できる事から、少しずつ取り組んでみてくださいね。

<記事化協力>

おると・整形外科医さん(@Ortho_FL)

(梓川みいな/正看護師)

おたくま経済新聞

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