ピーナッツ、グルテンのアレルギー物質を検知。ポータブルテスター「Nima」レビュー

8月30日(金)23時0分 GIZMODO


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Photo: Victoria Song (Gizmodo)
Nimaには2つのアレルゲンセンサーがあります。グルテン用(ティールグリーン)とピーナッツ用(パープル)
食生活を楽しむために。

料理にアレルゲンが含まれているかどうかを調べてくれる、持ち運び型のセンサー「Nima(ニーマ)」。グルテン用、そしてピーナッツ用が展開されているこのセンサーを米GizmodoのVictoria Song記者が使ってみました。

食物アレルギーを持つ人との外食はちょっと厄介で、運が悪ければ命に関わるような自体になってしまうもしれません。ほとんどのレストランやテイクアウト店のメニューには主なアレルゲンが表示されていますが、同僚が作ったバナナブレッドとか外国旅行中のメニュー、あるいはヤバい姑がキノコアレルギーの嫁の食事にマッシュルームの粉末をこっそり仕込む場合なんかはなかなか避けられないかもしれません。

いいですか? たとえカレン叔母さんに「私ピーナッツを食べると世界の終わりの日までアナフィラキシーショックで苦しむの」と伝えても、カレン叔母さんが次にブラウニーを作る時にナッツ抜きにしてくれるとは限らないんです。

Nima Allergy Sensors


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Photo: Victoria Song (Gizmodo)

これは何?:食物にピーナッツやグルテンが入ってないかチェックしてくれるポータブルなセンサーとカプセル。

価格:センサーは230ドル(約2万4500円)。カプセル12個で60ドル(約6,400円)

好きなところ:ちゃんと機能する! アプリにはレストランとチェックした料理のマップあり。

嫌いなところ:音が大きい。カプセルは手だけでは閉めにくい

Nima Allergy Sensorsは他人が作った料理を食べる時に、勘でアレルギー成分を察知するようなことがないように助けてくれるアイテム。使うには調べたい食べ物を豆粒サイズほど採って、使い捨てのカプセルに突っ込んで、それを三角形のセンサーに差し込みます。センサーがその食べ物をすりつぶして化学薬品と混ぜ合わせるので5分ほど待機。ピーナッツまたはグルテンに対して陽性なら、ピーナッツ/小麦の穂のアイコンが表示されます。もし、検査した料理が陰性ならスマイリーの絵が出てきます。(センサーは各アレルゲン用に分かれていて、1つのセンサーで両方の検査はできません)

センサー1台で230ドル、カプセルは12個で60ドルとNimaはお手頃なシステムではありません。それでも、290ドルは救急外来やエピペンよりもずっと安いです。ゴミみたいな医療システムのせいで、注射器2本が保険なしだと600ドル(ジェネリック版だと平均しておよそ350ドル)かかりますからね。エピペンやジェネリック版を安く手に入れる方法はありますが、道徳的な怒りはおいといて、安心感を得るためにポータブルな家庭用センサーにお金を費やすほうが納得できるかもしれません。

リアルな食品でテストセンサーをテストするため、Keebler(キーブラー)のToast & Peanut Butterサンドウィッチクラッカー、グルテンフリーのレンズ豆チップス、ミルクチョコレートのM&M(「一部にピーナッツを含む」との注意書きあり)、そして原材料にピーナッツと記載していなかったタイ料理のテイクアウトを選びました。Keeblerのクラッカーの場合、どちらのセンサーもきちんとピーナッツとグルテンを検知。案の定、レンズ豆はグルテン陰性でした。グルテンフリーとしてマーケティングされていますからね。

センサーは、微量レベルのピーナッツは検知しませんでした。レンズ豆チップスの袋にはピーナッツを扱う施設で生産されたと注意書きがありましたが、その施設はFDA認可の方法で定期的に洗浄されているとも書かれていて、それを裏付けるかのようにピーナッツ陰性の結果に。センサーはM&M内のピーナッツも検知できませんでした(すべてのミルクチョコレートM&Mがピーナッツフリーだと断言できるわけではありません)。

タイ料理のテイクアウトは興味深い結果になりました。注文したのは、一般的にはピーナッツとライスヌードルが入っているパッタイ。このレストランではピーナッツはとても小さくて見えないほどです。一方、ライスヌードルはグルテンフリーのはずですが、こっそり小麦粉を入れているブランドもあります。さらに、フラットブレッドにカレー味のディップがついたロティチャナイも受け取りました。


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Photo: Victoria Song (Gizmodo)
Nimaはピーナッツバタートーストにグルテンとピーナッツが入っていると正確に検知。万歳!
パッタイのテストは予想通り、グルテン陰性、ピーナッツ陽性でした。肉眼でピーナッツを探すのが大変だったのを考えるとお見事です。しかしながら、ロティチャナイはグルテン陽性になると思っていたのに、メニューに掲載されてなかった原材料のピーナッツで陽性になったことに驚きました。おそらくレストランが調理器具を使いまわした結果だと思いますが、ウェイターに聞いてみたりメニュー表とにらめっこしたりしても、人為的なミスは把握できないってことです。

センサーの精度は?とはいえ、ここでデカデカと目立つように但し書きを載せておきます。私のテストは正確でしたが、精密な臨床状態の下でテストしたわけではなく、使えるカプセルの数には限られていました。つまり、どうか私の結果を受けてNimaのセンサーが常に100%正確だと思わないでほしいのです。精度に関して、Nimaはグルテンだと20ppm以上を検知できると主張。FDAのグルテンフリー表示の基準値は20ppm未満です。ピーナッツにおいては10ppm以上の微量を検知できると言います。Nimaは10ppmは臨床研究で観測された最も低い副作用レベルだと主張しています。

Nimaの科学的な信憑性に限って言えば、同社サイトの情報には説得力があります。これらのセンサーは食物アレルギーを持つMITの人々によって開発されましたからね。同社はセンサーの効能について、2本の論文をジャーナルに発表しています。さらにNimaは諮問委員会のメンバーにコロンビア大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ総合病院メイヨー・クリニックからの科学者らを入れています。理屈の上では見栄えがいいですが、私は科学者ではないので、ハッケンサック・メリディアン・スクール・オブ・メディスン・アット・シートン・ホール大学とトーマス・ジェファーソン大学のシドニー・キンメル医科大学で教鞭をとるアレルギー専門医で免疫学者のLeonard Bielory博士に話を聞いてみました。


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Photo: Victoria Song (Gizmodo)
カプセルをちゃんと閉めるのにクランクを使う必要がありました。
Bielory氏は電話越しに「これはどちらかというと予防策です」と言いました。「とても良さそうですが、現実の世界では見当もつきません。私はよく言うんですよ、薬物治療やこういうデバイスの研究はどれほど効果的なのか? それを現実の世界に導入したら、たとえば日に何回も使うようなケースに耐えられるのか?とね」

彼は、耐久性のある医療機器として検査されていない点を指摘、つまりNimaのセンサーが例えば預け入れ荷物に詰め込まれてフライト中に氷点下の温度を体験した後も、同じ精密さを保てるかは分からないのです。私みたいに不器用なせいでセンサーを落としてしまった場合にもです。

Bielory博士に、Nimaセンサーを患者に奨めるか聞いてみました。「現実的に役立つか分からないので個人的には奨めません。でもおもしろいデバイスですね」とのこと。結局、Nimaのようなデバイスは消費者次第だと後ほどはっきり言いました。「これでどれだけ多く予防できるんでしょう?」Nimaがまったく頼りにならないと言っているわけではありません。むしろ、Nimaをダブルチェックとして使うのが最も安全な方法だというようなもの。それでもウェイターには食物の感受性やアレルギーについて注意深く説明すべきだし、原材料に目を光らせるべきです。疑わしいなら、安全かどうか確信が持てないものは食べないこと。Nimaセンサーを買って、アレルゲンに対して陰性と出ても、完全に安全というわけではありません。でももしテストが陽性であれば、食べようとしていたものが何であろうと、やめたほうがよい…という風にね。


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Photo: Victoria Song (Gizmodo)
Nimaセンサーはしっかり機能するので、アレルゲンに対して陽性と出た料理は自信を持って遠慮できます
Bielory博士の懸念とともにNimaに取材しました。広報担当者はNimaが医療デバイスではないと認めましたが、同社は「第三者による製品の徹底した検査を優先した」んだとか。

同社は、第三者による検証研究を行ったFood Allergen Research and Resource Program(FARRP)の創始者であるStephen Taylor博士からの引用文を提供してくれました。「デバイスの検証は、完全にそのデバイスを流通する企業の責任です。FARRPはNimaが宣伝する主張の独立評価を、デバイスの開発中から我々の評価プロジェクト(発表済み)まで通して実施することになりました。良い報せは、この製品は機能するということです」

Taylor博士は続けて、「Nimaは医療デバイスではないので、医療デバイスへの規制や耐久性試験を受けない」という説明に続きました。一方で彼は非医療デバイスが厳密には求められていない検証テストの実施を選んだ点についてはNimaを評価しました 。

アレルギー情報を共有できるアプリ精度以外にセンサーを購入するメリットは、Nimaの連携アプリです。アプリでは、以前行なったテスト結果にアクセスでき、さらには他のNimaユーザーが食べ物をテストしたレストランのマップを探せます。結果はほぼニューヨークに限られていますが、これはおそらく大勢がこのセンサーを持っていたり、全員がアプリと連動させていたりするわけではないからでしょう。また一方では、24番通りにあるTacombiのアル・パストール・タコスがグルテンフリーだということが分かりました。残念なところといえば、情報網が限定的ということと、アプリがピーナッツとグルテンのセンサーを同時に同期できないこと。おそらくそれは、どちらのアレルギーに対しても敏感な数少ない不運な人だけの問題でしょう。

Nimaセンサーの限界は他にもありました。例えば、Nimaは醤油(グルテンが入っている)発酵食品や、純ウコン、ゴマ、ナス科やいくつかの食物はテストできません。Nimaをきちんと使うとなると、習得にてこずることにも気づきました。操作に慣れてフタを正しい方向に締められるようになったのは4回もテストを行なってからでした。

私の場合、手先の器用さというまた別の問題もありました。カプセルの仕組み上、フタをしっかりと閉じるにはある程度指の力が必要です。実際にやってみると、特にチップスやクラッカーといった硬い食べ物だと私の手だけで閉じるのは難しいなと感じました。Nimaには小さなクランクが付属されていて、役に立ちましたが、それでも体が不自由な人にとっては理想的とは言い難いです。


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Photo: Victoria Song (Gizmodo)
センサーは手のひらに収まるほど小型ですが、クランクとカプセルもいるので持ち運ぶにはポーチがいるかも。
テスト中にもう1つイラっとした点は、カプセル16個のうち2個が最終的な結果が表示されずにエラーになったこと。1個5ドルで使い捨てなのに、悔しいです。念のため、うまくいかなかった場合に備えてカプセルは少なくとも2個は持ち運びたいかも。その点も考えると、センサー、カプセル2個そしてクランクをカバンに入れて引きずりまわるのは、それほどポータブルではありません。

さらに言えば、レストランでセンサーをいきなり取り出して、料理を少量採って、カプセルに詰めるというのは何だか気まずいものです。センサーが稼働時に立てる粉砕音が会話のきっかけになるという見方もありますが、「気にしないで、この料理を食べて死なないか知りたいだけなの」なんてさらっと言ってしまった日にはメチャクチャ嫌な奴に見えてしまうかも。検査は5分ほどかかるので、料理を触らず、ウェイターとバツの悪い会話をしなくて済むように願いながら待つ5分間になります。もし重度のアレルギーにならその価値があるかもしれませんが、検査は思うほどすぐに分かるものではありません。

Nimaセンサーが290ドルにふさわしいかどうかは食物アレルギーの重さ、そしてどれくらいの安心感を求めるかによると思います。それに、ウェイターに質問する、メニューをよく見る、前もって友人や家族に食物アレルギーを知らせるといった適切な注意を払っているなら、Nimaのセンサーを使うのは年に数回ほど、確信がない時だけになるでしょう。例えば、メニュー上のアレルギー表示は多くの国で異なるので、頻繁に海外旅行をして、現地の言葉を話せない場合にはセンサーが役に立つかと。つまるところ、食べ物をダブルチェックする手順を加えることで、アレルギーに関する不安を取り除けるかどうかの問題です。そうでなければ、常識で事足りるでしょう。

まとめ

グルテンとピーナッツ用の持ち運べるセンサー。 ごく少量の食べ物のサンプルをカプセルに砕き入れて5分待てば、アレルゲンの有無を教えてくれる。

センサーが230ドル、カプセルが12個で60ドル。初期費用は290ドルかかる。それでもエピペンや救急医療室送りになるよりは安い。

アプリには検索可能な、レストランや料理のマップがある。

クランクなしではカプセルを締めにくい。エラーになることも。

レストランでカプセルに料理を詰めるのは気まずい。 それに結果を待つ間、粉砕音を聞くのも奇妙。死ぬよりはマシ。

Source: the cut, Nima(1, 2), NBC, GoodPx, Amazon, Science Direct, Journal of Food Protection, FARE,

GIZMODO

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