現生人類とネアンデルタール人との違いを示す太古の貝殻 名大などの研究

8月31日(土)9時39分 財経新聞

レヴァント地方の内陸乾燥域におけるネアンデルタール人と現生人類の資源獲得行動の違い。現生人類の特徴は居住域から離れた異なる環境とのつながりがあり、それを示す小型貝殻という象徴品を用いていたこと。(画像:名古屋大学発表資料より)

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 ヨルダンの遺跡において、55km離れた紅海の貝殻を、現生人類が象徴品として用いていた証拠が見つかった。近い年代に同地域に暮らしていたネアンデルタール人には見られない行動であり、両者の相違を示す明確な証拠として貴重な事例である。

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 研究は、名古屋大学博物館の門脇誠二講師、大学院環境学研究科の廣瀬允人博士後期課程学生、木田梨沙子博士前期課程学生、産業技術総合研究所の田村亨主任研究員(兼東京大学客員准教授)、東北大学の佐野勝宏教授、千葉県立中央博物館の黒住耐二上席研究員、明治大学の若野友一郎教授、東京大学の大森貴之特任研究員らの共同研究によるもの。

 貝殻が見つかったのは4万年〜4万5,000年前頃の現生人類の居住地だった遺跡である。この年代は、ネアンデルタール人やデニソワ人などの古代型人類がぎりぎり残っており、現生人類と「共存」していた時期にあたる。

 現生人類と古代型人類の間にどのような関係があったのかについては非常に難しい問題なのだが、現時点で明瞭な証拠がある事実としては、一部の集団には交雑があったということが遺伝的証拠から明らかになっている。

 しかし同時に、古代型人類は現生人類を残して全て消滅し、現生人類1種を残すのみとなった、というのもまた事実である。それは何故なのか。現状、大きく言えば謎は深まるばかりと言ったところなのだが、今回の研究は、現生人類とネアンデルタールの「相違」にスポットを当てたものだ。

 ヨルダンのワディ・アガル遺跡は内陸部の遺跡である。食糧事情などの問題として、海岸部と接点を持つことは色々の意味で好ましかったと考えられる。また、発見された貝殻は食用としてはほとんど価値のないものであったことから、何らかの象徴的意味合いで所持されていたものと考えられる。あるいは装飾品であったのかもしれない。

 距離55kmであるため、直接移動して貝殻を運んでいたのか、それとも複数の集団の間で物資のやりとりのようなことがあったのかまでは分からない。しかし、現生人類と絶滅人類の明確な違いを表す一つの証拠として、今回の研究は興味深いものであるといえよう。

 研究の詳細は、Journal of Human Evolutionに掲載されている。

財経新聞

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