航空機の技術とメカニズムの裏側 第453回 最近の時事ネタ(12)ロシア軍機Il-38メイの領空侵犯事案
2024年10月1日(火)9時5分 マイナビニュース
Il-38とは
Il-38はその名の通り、旧ソ連のイリューシン設計局が開発した哨戒機。いってみれば「ソ連版P-3オライオン」である。コードネームはMay(5月のMayである)。哨戒機ないしはそれに類する機体にはMで始まるコードネームをつけることになっているので、こんなコードネームになった。
Il-18というターボプロップ輸送機がもともとあり、そこに所要の改設計を施して、潜水艦を捜索するためのミッション機材を搭載することで、哨戒機に変身させた。この辺の経緯も、エレクトラ旅客機を哨戒機に変身させたP-3オライオンと同じである。
尾部が少し尖って見えるのは、磁場の変化で潜水艦の存在を探知するためのMAD(Magnetic Anomaly Detector)を搭載しているため。以前に第429回で取り上げたように、MADは鋭敏なセンサーだから、できるだけ機体から離して設置したい。そのため、固定翼の哨戒機では尾部に設置するのが業界の恒例。ここもまた、P-3と同じである。
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