2020年のICT分野の10大トレンドはなにか? - TrendForceが予測を公開

10月4日(金)17時41分 マイナビニュース

市場動向調査会社である台TrendForceは、2020年のICT分野における10大トレンドについての予測結果を発表。AI、5G、自動車などの産業が半導体需要を牽引する役割を担うとの見解を披露した。

○1:半導体需要を後押しするAI、5G、自動車

2019年の半導体市場は、米中貿易紛争の影響などもあり低迷が続いている。紛争の解決に向けた道筋なども立っていないことなどから、2020年についても需要見通しが不透明な状態が続いているが、TrendForceは、5G、AI、および自動車分野における高い需要を背景に、市場が徐々に回復することが期待されるとしている。2020年、ファブレス企業の戦略は、主に次世代IPコアの導入と、半導体チップのカスタマイズとASICの開発に関連する機能の強化が中心になると見られるほか、7nm EUVリソグラフィや5nmなどの次世代プロセステクノロジーの採用を加速すると見られている。

一方のファウンドリ側は、7nmプロセスに対応するウェハの投入が増加し続けるほか、5nmの量産、そして3nmのR&Dスケジュールが明確化されることが見込まれる。さらに、さまざまな機器のエレクトロニクス化の進展に伴い、SiC、GaN、GaAsといった化合物半導体材料の開発と使用にもますます注目が集まるともしている。

半導体実装に関しては、より小さなプロセスピッチとより高い計算能力を特徴とする半導体製品への需要が継続するため、ICパッケージング技術はSiPへとシフトが進む。SiPアーキテクチャは、SoCアーキテクチャに比べて柔軟性が高く、低コストであるため、AI、5G、および自動車アプリケーションの要件を満たしていると同社では分析している。
○2:半導体メモリのトレンドはEUV活用

DRAMは、プロセス技術の開発がより微細な10nmクラス(1X nm、1Y nm、および1Z nm)に移行するにつれて、チップサイズを縮小しても、供給ビットが増加しないだけでなく、コスト削減もますます難しくなっている。

DRAMサプライヤは現在、1Y nmおよび1Z nmプロセステクノロジーを使用して、チップあたりの記憶密度を従来の8Gビットから16Gビットに増加させることを目指しているが、これにより高密度モジュールの市場浸透率が高まっていくことが期待される。特に1Z nmプロセス世代では、EUVリソグラフィ装置の活用により、液浸ArFによる複数回露光を1回露光に置き換える可能性があり、DDR5/LPDDR5の登場とあわせ、世代交代が進む可能性が高いという。

一方のNANDは、2020年にいよいよ100層超の製品の登場が期待されるようになり、チップあたりの記憶容量も引き上げられることが期待される。こうした傾向は、主に5G、AI、およびエッジコンピューティングの分野におけるデータ活用ニーズに対応するためで、より大きなストレージ容量をより小型化したフォームファクタで実現することが求められている。例えばスマートフォンでは、UFS 2.1からより高速通信が可能なUFS 3.xにインタフェースが更新される可能性が高い。また、サーバ/データセンター向けストレージであるエンタープライズSSDでは、2020年にPCIe Gen4対応品が登場する見込みであるという。
○3:5Gの商用アプリの範囲が拡大

2020年の電気通信産業は、5Gを中心にして発展することが期待される。主要な通信チップメーカー(Qualcomm、中HiSilicon、Samsung、MediaTekなど)および通信機器プロバイダー(Huawei、Ericsson、Nokiaなど)は、5G市場で競合するさまざまなソリューションを提供するようになると見られるほか、ネットワークアーキテクチャ開発では、スタンドアロン(SA)5Gに重点が置かれるため、5G New Radio(NR)機器およびコアネットワークソリューションの需要の増加が予想される。

また、2020年前半にR16標準の開発が予定どおり完了した後、世界各国の通信会社は5Gインフラの本格的な展開を開始することとなる。人口の多い大都市圏での5G網の展開から準じ、対応範囲が拡大していくことから、2020年には多くの5G機器と無線基地局が市場に登場することが予想される。
○4:スマートフォン - 5Gでの中国勢シェアは50%に

2020年のスマートフォン(スマホ)のデザインの焦点は、表示領域を最大限に活用して、可能な限り完全なフルスクリーンを実現することである。また、フルスクリーンデザインの最適化は、ディスプレイ内指紋センサの採用の拡大、スクリーンが側面に曲がる角度の増大、およびディスプレイ内カメラの開発のさらなる進歩につながる。

このほか、スマホメーカーでは、オンボードメモリとフロントカメラ、リアカメラの改良も進めている。メモリは、DRAMおよびNANDの記憶容量の増加が続くほか、カメラについては解像度を高めるほか、より洗練されたマルチカメラ機能の導入が期待されるという。

また5Gに関しては、スマホメーカー各社が積極的に対応モデルを展開していくであろうが、中国政府が積極的に5G網ならびに付帯する関連サービスの商用化を積極的に推進していることもあり、2020年における5Gスマホのシェアは全体の15%以上となり、中国メーカーによる端末がそのうちの半数以上を占めるものとTrendForceでは予測している。ただし、ユーザーが5Gスマホそのものを購入するかどうかについては、5G網の普及具合や提供されるデータプラン、スマホ本体の価格などの要件次第となるともしている。
○5:FPD - タブレットがMini LEDとOLEDの戦場に

スマホのパネルは、これまで有機EL(OLED)と液晶ディスプレイ(LCD)が活用されてきた。5Gでもその傾向は変わらないが、よりリアルタイムに広帯域な伝送が可能になるため、90Hz/120Hzのパネル需要が高まると見られる。

また、eスポーツ関連では、既存の高リフレッシュレートパネルに加えて、Mini LEDをバックライトに採用することでコントラストを高めるハイエンド製品が登場してきたほか、2020年のiPadにMini LEDバックライトとOLEDが導入されるといううわさもあり、タブレット市場での新規技術の導入が市場拡大の好機となる可能性が出てきた。
○6:マイクロLEDはブルーオーシャンとなるのか?

Mini LEDよりも小型のMicro LED(マイクロLED)を用いたディスプレイに関しては、ガラスバックプレーンを備える方式が増えてきているものの、歩留まりに問題があるため、現在、その最大サイズは12型であり、それ以上にサイズを大型化するためにはガラスを継ぎ合わせる必要があるという。

また、マイクロLEDのコストは短期的には高止まりするものの、さまざまな活用が期待されることもあり、将来的なビジネス機会の拡大につながり、供給過剰が続くディスプレイ業界におけるブルーオーシャンの市場を切り開く可能性があるという。例えば折りたたみディスプレイでは、材料構造が堅牢で、多くの保護層と偏光を必要としないため、適切なソリューションになる可能性があるとする。
○7:3D センシング - ToF方式の適用範囲が拡大

モバイル3Dセンシングの分野でタイムオブフライト(ToF)方式は多くの企業が提供しており、低コスト化が進んでいることもあり、スマホの背面カメラをマルチカメラ化する際のオプションの1つとなると考えられるという。

ただし、2020年の成長率はそれほど高くはないものの、同年中にToFモジュール搭載スマホを提供するメーカーそのものは増加する見通しで、将来のスマホ市場での普及拡大に向けた準備段階になる可能性があるとする。

もしスマホにToFモジュールが搭載されると、ARの機能強化につながり、ARアプリに対するユーザーの需要が高まり、アプリ開発が促進されることが期待されるという。
○8:IoT - 本格活用時代における収益性確保が重要に

IoTはすでに試験導入や本格導入が各所で進められており、それによってどのように収益をあげるのか、といった話が具体性を持って語られるようになってきた。しかも、その適用分野は製造業、小売、農業、医療などと広範にわたっており、そうした産業に変革をもたらす役割を担うようになってきた。

より高度なセンシングを実現するためには、センサ機能の向上やAIアルゴリズムの改善が必要となるが、それによりさらなる学習機会が与えられ、より高度なAIによる推論処理が可能になる。TrendForceでは、近い将来、AIとエッジコンピュータのエンドデバイスへの統合が推進されると見ており、ハードウェア、ソフトウェアともにアップグレードの機会が訪れることが期待できるとしている。
○9:自動車 - 自動運転の実用競争が激化

2020年における自動運転技術については、商用車での活用、特定の配送・運行ルートでの活用、地域固有の課題に対する活用、といった3つの活用が期待できるという。

ほとんどのOEMメーカーがレベル4の自動運転の実現を目指した開発を進めており、2020年には、その実現に向けた商用アプリケーションの量と種類の増加が期待できるという。その後押しとなるのがNVIDIAが提供しているような自動運転向けプラットフォームの増加・拡充であるとTrendForceでは説明しているが、その一方で、自動運転技術の開発コストは増大していくため、OEMやエンジニアは、コストの最適化などに向けた可能性を探る必要性があることも指摘しており、最適なビジネスモデルを見つけることも2020年の焦点となるとしている。
○10:太陽光発電 - コストパフォーマンスが焦点に

太陽光発電に関する技術革新は常に進められている。2018年以前の発電モジュールは標準的な60/72セルで構成されるものが一般的であったが、2019年にはセルレイアウトが変更されたものが登場するなど、新たな動きを見せつつある。それに併せてモジュールあたりの出力電力も増加する傾向にあるが、その競争力の核となるのは、電力平準化コスト(LCOE)であり、TrendForceでは発電量を増やし、製品の長期的な信頼性を確保するために、LCOEを削減する必要があるとしている。

LCOEを削減するためには、セルの効率向上とモジュールの発電出力を高める必要があるが、販売業者にとって重要なのはコストパフォーマンスとなるため、モジュールベンダは製品価格の主導権を握ることは難しくなるため、そうした点を踏まえたモジュール開発を進めていく必要があるとしている。

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