CEATEC 2019で見つけた、おもしろいモノ

10月24日(木)20時1分 マイナビニュース

今年も「CPS/IoTの総合展」CEATEC 2019が開催されました。かつては家電見本市といわれていたCEATEC JAPANですが、CPS/IoTの総合展として新たな舵を切ったのが2016年。そして今年は、CEATEC JAPANからCEATECと名称を変更しました。

その新生CEATEC、2018年までIoT TOWNとして行われていた主催者企画が、今年はSociety 5.0 TOWNに。より「共創型」となり、各企業が持つ強みを出し合って、サービスや商品を創るという動きが出ています。また、新生CEATECには従来なら出展しなかったような企業もブースを構え、多様性が増した印象です。

○作業安全のための見守りと技術活用

CEATEC 2019には、土木建築業の企業が多く出展(大林組、清水建設、大成建設、戸田建設、中日本高速道路、東日本高速道路)。

興味深かったのは東日本高速道路で、コンクリート検査を省力化する展示です。コンクリート内部の劣化をチェックするため、従来はハンマーで軽く叩いて音で判断していました。これは経験が必要な上に、ハンマーでコツコツ叩くのは作業員の疲労につながります。トンネル内の検査では足場を組む必要があって、渋滞の原因になるだけでなく、足場を組んでも手が届きにくい場所があります。

そこで実用化したのが、ハンマーの代わりとなるローラーです(コロコロeyeという名前で販売中)。コンクリートの上でローラーを転がすことで、点から線へと診断範囲が拡大され、作業負担も減ります。

加えて現在検証中なのが、熟練の作業者でなくても異常を判断しやすくする機器です。外部の騒音を減らすノイズキャンセル機能によって、交通量の多いトンネル内でも異常を判断しやすくします。将来的には、ローラーを持たせたロボットを使って、検査を省力化する試みが検討されているようです。

○インフラ補修を支援

高度成長期に作られた橋やトンネルの、検査と補修の必要性が増大するといわれています。例えば、1964年の東京オリンピックを機会に作られた東京の首都高速も現在、大規模な修繕工事中です。この先、工事が増えても作業員を増員することは難しいため、効率アップと合わせて、熟練者でなくても各種の判断ができる仕組み作り要求されています。今回のCEATECでは、「作業者の安全見守り」の展示が多く見られました。

一例として、工事現場で作業する人が熱中症になる前にアラートを出すという課題。作業員の体表面の温度や湿度、運動状況などをモニタリングして、リモートで現場事務所や所属企業にアラートを出すという取り組みです。

ここでも共創が行われており、センシング技術やICTを持つ企業と建築土木系の会社がコラボレーション。お互いの意見を取り入れた製品やサービスを開発しています。

○先祖がえり? シャープブース

家電製品をズラっと展示していたのが今年のシャープ。展示の中心は、AIoTプラットフォームや、他社との共創、スマートホームです。

家電以外にも「液晶のシャープ」を印象付ける「120V型サイズ8Kディスプレイ」を参考展示。価格は未定も「1,000万〜3000万くらい」とのこと。少なくとも家庭で買えるような価格とサイズではなく、サイネージやパブリックビューイング用途ですね。そのとなりでは、60V型の4Kディスプレイ×4枚を組み合わせた展示も行っており、こちらは「1台120万×4台」とリーズナブルさ(?)をアピールしていました。

また、サイネージ用途として、液晶のバックライトユニットを外して、その後ろに商品を並べて説明をしている展示もありました。「各社の製品が4Kにシフトしている大型ディスプレイですが、90V型のフルHDディスプレイを現在もラインナップしていることのアピール」(説明員)とのこと。透過型のサイネージ利用ならばフルHD解像度でも十分でしょう。4Kにすると透過率が落ち、裏の商品への照明を強くしなければならないので、バランスを考えたという説明でした。

○人気のMaaS

SaaS(software as a service)から始まり、様々なものをサービスとして提供する動きが一般的になりつつあります。Microsoftも「Windows as a service」を掲げていますね。一方で、ICTを活用して交通をクラウド化し、複数の交通手段による移動を1つのサービスとして捉えるのがMaaS(Mobility as a Service)です。

CEATECでの目玉企画の1つが、無人運転による公道走行実験でした。「1回に8名×1日に6回×CEATEC会期の4日=192人」(最終日のみ7回だったのでトータル200人)しか乗れず、非常に狭き門。1日に3回、体験者を募集していたので、最終日に3回とも並んでみましたが乗れませんでした。

別のMaaS企画もありました。日本では珍しい「乗り合いタクシー」です。午後2時半から公式アプリ経由で予約することで、1人1,800円で千葉県の西船橋駅まで行けるというもの。幕張メッセ(CEATEC会場)の最寄り駅は海浜幕張駅ですが、イベント終了後は大変混雑するため、幕張本郷駅までバスで行くという人もいます。

西船橋駅は、JR東日本の総武本線・武蔵野線・京葉線、東京メトロの東西線、東葉高速鉄道の東葉高速線と、多くの乗り入れがある駅。交通の便が良いというメリットがあります。ただ、幕張メッセでこのイベントに気づいてのぞいてみたところ、閑散とした様子。係員に聞いてみると、知名度が少ないのかあまり利用客がいない(CEATECの2日目)ということでした。

○話題の量子コンピュータも

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構のブースでは、量子コンピュータの展示がありました。現在「真の量子コンピュータ」とされる量子ゲートを利用したものは研究段階にあり、日本の企業はその前段階で実用化しやすい量子アニーリングマシンと呼ばれているものをおもに開発しています。

量子アニーリングマシンは「組み合わせ最適化問題」しか解けないのですが、多数のパラメータを組み合わせた最適化問題を従来のコンピュータで解くのは時間がかかるので、実用的な意義があります。

富士通と日立が作っている量子コンピュータは、現在のLSIで使われているCMOS半導体を利用するもので、ブースには日立のチップを使った小型ボードが動いていました。通常のCMOS半導体ゆえに、室温で使えるというのが魅力。日立の小型ボードはIoTにも利用可能な小ささも特徴です。

一方、超電導素子を使う量子コンピュータは、非常に低い温度でないと動作しません。NECの超電導パラメトロン素子を使用したものが展示してありましたが、この素子を動作させる温度は10mk。「℃」でいうと、-273.14℃以下に冷やさないとノイズが多くて使えないのです。

おそらく、模型のほとんどは配線と冷却機構に費やされていて、計算を行う超電導パラメトロン素子は数ミリ角のもの。将来、量子コンピュータが実用化されても、このような大がかりな装置が必要になるのでしょう。

○小型スピーカーやヘッドフォンの音質向上のために

個人的にとても興味深かったのは、ソシオネクストのブースにあった技術展示。低音が出にくい小型ヘッドフォンやスピーカーの信号に倍音成分を入れることで、低音が出ているように聞こえる……つまり高音質を実現する技術です。ソシオネクストは動画のエンコード・デコードに関する事業を長年手がけており、当然ながら音響のデコード技術にも長けています。

実際に小型スピーカーのデモを聞く限り、この技術のオンとオフで明らかに音質の改善を感じました。加えて、少ない演算負荷で実現できるのもポイント。最近は完全ワイヤレスイヤホンが人気ですが、このような技術が採用されることで、リーズナブルで高音質の製品が増えるのではないでしょうか。

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