5GとWi-Fi 6の相互補完で生まれるメリット - クアルコムのプレゼンから

10月29日(火)15時31分 マイナビニュース

無線LANの新しい規格である「Wi-Fi 6」(IEEE802.11ax)、すでに対応ルーターや子機が増えてきています。iPhone 11もWi-Fi 6対応です。このWi-Fi 6が5G時代に必要な技術と指摘するのはQualcommで、Wi-Fi 6と5Gの関係について解説しています。

携帯通信に関して長い歴史を持つQualcommですが、Qualcomm TechnologiesのConnectivity部門シニアバイスプレジデントでジェネラルマネージャーのRahul Patel氏は、「我々は世界最大のWi-FiとBluetoothのサプライヤー」と話しています。SoCのSnapdragonにはWi-FiとBluetooth機能が搭載されるなど、QualcommのSoCを搭載した機器は自然とWi-Fi・Bluetoothに対応するからです。

Wi-Fi 6は、標準規格としては「IEEE802.11ax」と呼ばれる無線LANの規格です。OFDMA、1024QAM、MU-MIMO、160MHzチャネルなど、さまざまな技術仕様を投入したことで、超高速(最大約9.6Gbps)、多数接続などを実現しています。

これまで、携帯通信と無線LANはライバル視されることも多かった技術です。ライセンス不要で使える無線LANに対して、携帯通信のための周波数は基本的に各国のライセンスにもとづきます。しかし、ライセンス不要の周波数帯(アンライセンスドバンド)を使う携帯通信が規定され、携帯通信と無線LANのどちらにメリットがあるか、といったつばぜり合いもありました。

5Gでは、工場などの限定した場所だけをエリア化するプライベートネットワークの仕組みがあり、まさに無線LANのように利用できます。多数接続によってマッシブIoTのように大量のデバイスを同時接続できる点からも、無線LANを置き換えようとも考えられています。

しかしQualcommは、5GとWi-Fi6で携帯通信と無線LANの共存をアピールします。Mobile Connectivity and Compute部門のバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのDino Bekis氏は、2017年から2022年にかけて、世界のモバイル通信はデータ量が7倍になり、現在は通信全体で約50%の動画データトラフィックは、4/5まで拡大するといいます。2022年には全IPトラフィックの70%がワイヤレス経由となり、59%は無線LAN接続にオフロード……と予測されています。

携帯ネットワークが5Gに進化しようとしているいま、Wi-Fiも同様の技術を使った進化が求められています。その結果が、OFDMAやMU-MIMO、1024QAMといった技術の採用です。こうした技術によって、高速・大容量、多数接続、低遅延といったWi-Fi 6の特徴が実現しており、5Gとも親和性が高くなってきました。

Qualcomm TechnologiesのWireless Infrastructure and Networking部門のバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのNick Kucharewski氏は、「現在、自宅に20〜40のWi-Fiデバイスがあり、スタジアムでは1万ユーザーが同時接続するという状況を、Wi-Fiは想定していなかった」と指摘。Wi-Fi 6は、こうした過密なトラフィック状況も考慮して設計されています。高速性はもちろん、多数のユーザーが同時接続でき、アパートの部屋といった隣接する場所に置かれる複数のアクセスポイントも区別して、干渉しないといった特徴を備えています。

同様の性質を備えた5Gは、上述のように、プライベートIoTなどで「限定エリアの5Gネットワーク化」というWi-Fiに近い使い方も想定されています。そこで、5GとWi-Fiは補完的な立場にある、というのがQualcommの考えです。

Bekis氏は、携帯通信が5Gへと向かうなか、無線LANへのオフロードが拡大する点を強調。Wi-Fi 6を含めた広義の無線LANは、家庭や職場だけの技術ではなく、さまざまなシーンで活用される技術だとしています。無線LANは、5Gとシームレスに使い分けられる点が重要で、それを可能にするのは、携帯と無線LAN、Bluetoothといった通信機能を1チップ化したQualcommの優位点と主張します。

いずれにしても、無線通信が主流になっていくと、日本のように光回線が普及している国では特に、オフロード先として無線LANの重要性は変わりありません(携帯通信のオフロード先として光回線は十分な能力)。かつて無線LANは、有線LANに比べてスピードが劣るという課題がありましたが、Wi-Fi 6は9.6Gbpsという理論値を実現しています。実効速度はもっと低くなりますが、たいていの光回線よりも実効速度は高いはずで、無線LAN(Wi-Fi 6)がボトルネックになりません。

Qualcommのデモでは、Wi-Fi 6で1.6Gbpsを超える速度をたたき出しています。その高速性に加えて、Wi-Fi 6で使われるOFDMA技術による低遅延とともに、5Gと同様に利用できるWi-Fi 6のメリットが紹介されていました。

Wi-Fi 6が実現するのは、単なるWi-Fiの高度化だけではありません。5G時代においては5Gと補完し合うことで、さまざまなエリアのネットワークを安定させられます。海外では、固定回線のラストワンマイルに5Gを使い、それをルーターが受けて宅内にWi-Fiでネットワークを構築する、という使われ方が出てきました。Wi-Fiメッシュネットワークも有効で、浸透性の薄いミリ波の5G電波に乗せた通信を自宅やオフィスの奥まで届かせるには、Wi-Fiが重要になります。

これに加えて、Wi-Fiには60GHz帯を使ったRFセンシング技術も検討されています。60GHz帯はミリ波に属する電波で、高速大容量、低遅延、省電力といった特徴を持ちます。これとWi-Fiメッシュネットワークを組み合わせると、例えばユーザーが宅内のどの部屋に移動したかも識別でき、それぞれの部屋でスマートスピーカーが最適な動作をする……といった利用法も考えられます。

5GとWi-Fi 6は、似ているようで異なる技術ですが、無線ネットワークとして使い分けることで相乗効果が生まれます。5GとWi-Fi 6の双方を高度にカバーできるSoCを提供していることが、Qualcommの大きな強みといえるでしょう。

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