「ババアはいらねぇ」「死んじまえ」 ディズニーランドの“キャラクター出演者”がパワハラ巡り訴訟 原告が「ゲストの夢最優先してきたが限界」と涙の訴え

11月13日(火)13時23分 ねとらぼ

被害者弁護団の長を務める渚法律事務所の廣瀬理夫弁護士

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 東京ディズニーランド(千葉県浦安市)で“キャラクター出演者”としてショーやパレードに出演してきた女性社員2人が11月13日、オリエンタルランドの「安全配慮義務違反」を訴え、千葉地方裁判所で意見陳述を行いました。原告は上司から「病気なのか。それなら死んじまえ」といった暴言を浴びせられたと訴えている他、重いコスチュームなどが原因で「胸郭出口症候群」を発症するなどしたとして合計約755万円の損害賠償を求めて7月19日、提訴に踏み切っていました。
 原告AさんとBさんはともにディズニーランドでコスチュームを着用する“キャラクター出演者”として働いていた女性。Aさんは年間パスポートを自費で購入し、休日にもディズニーランドを訪れてキャラクターの動きを研究するなど熱心なキャストです。
 意見陳述では「ゲスト(お客さん)の笑顔を支えにしてきました。この仕事が好きで、ずっと続けたいと思っていました」と振り返るも、「この仕事は過酷です」「熱が出たりケガをしたりして休業すれば白い目で見られます」「仕事を休む場合は自分で代替者を確保すルールがありました」と業務実態を語りました。
 また2016年11月ごろからは腕などに違和感が出始めたと言い、2017年1月には左腕の付け根から指にかけてしびれや激痛が走る症状が出たというAさん。2017年1月10日には「胸郭出口症候群」と診察され、同年8月10日、船橋労基署で労災認定(上肢障害)を受けました。
 「胸郭出口症候群」を発症することとなった原因についてAさんは、「毎日いきいきとした出演者を演じるためには腕や肩を無理な姿勢に保つ必要があり、負担がかかります」と明かし、「業務の質・量の改善」「コスチュームの軽量化」「代替者の確保」などを求めたい考えと語りました。
 Bさんは13年8カ月にわたりオリエンタルランドで勤務してきた女性。キャラクター出演者として勤務する際、ゲストとのふれあい時に右手薬指を故意に反対側にひねられてねんざを負うという事象が発生し、上司に労災を申し出たところ「エンター(エンターテイナー)なんだからそのくらい我慢しなきゃ。君は心が弱い」と一蹴されたと訴えます。
 またふれあい時のケガのショックから別の配役への変更を申し出た際には「わがままには対応できない。解雇対象になる」と言われたとも明かした他、過呼吸の症状が出た際には「次に倒れたらやめてもらうから」との暴言があったと言います。
 Bさんが特に問題視しているのは「閉鎖された狭い空間でのイジメの発生」で、うわさ話や悪口がはびこる職場について「ディズニーランドで働き続けたいからこそ環境を変えなくてはいけないと考えています」「長年耐えてきましたが、我慢するだけでは何も変わりません。パワハラがない、安心して働き続けられる職場になるのが私の夢です」と涙を流し、この言葉にはAさんも目元をハンカチで拭っていました。
 裁判後、AさんBさん、被害者弁護団は記者会見を開き、訴訟に至った心境を語りました。冒頭、被害者弁護団からは「7月19日に訴状を提出したが、裁判直前になってAさんとBさん双方にオリエンタルランド側から『あなた方は従業員である以上、会社のプライバシー保護、秘密事項や会社の業務等をする必要がある』という内容の通知書が送達されてきました。『裁判に影響するものではなく全ての従業員に求めるものの確認』とのことですが、このタイミングでの送付は『あなた方の身分に影響しますよ』と言わんばかりで異常です。オリエンタルランド側に誠意を持って臨むという姿勢が見られないと感じました」との意見がありました。
 続いてAさんは「私たちの業務には多くの守秘義務があり、労災が認定されるまで医師にもどのような就業実態なのかなどを話せませんでした。私以外にもケガをしている人はいます。今回の訴訟を起こしたことにより、私は『長く守られてきた人々の夢を壊した』と言われていて、現場に戻るのは難しいのではと思っています。裁判を起こすのはとても勇気が必要でしたが、声をあげることが現場で良くしてくれた方への恩返しだと思っています」と涙ながらに複雑な心境を吐露しました。
 Bさんは、「物心ついたころからディズニーの世界が好きで、24歳でやっとディズニーランドで働く夢がかないました。入社してからはイジメが繰り返される環境でしたが、ゲストの笑顔で救われていました。ひどくなっていくイジメについて、上司に相談しても耳を貸してもらえず、毎日悪口が飛び交う職場で、仕事が好きなのに辞めていく同僚を見て、この環境で最高のパフォーマンスができるかを考えました。今回提訴している内容はごくごく一部でもっとひどいこともたくさんありましたが、『ゲストの夢を守る』ことを最優先してきたので、裁判をおこすのはちゅうちょしてきました。しかし、私はこの仕事が大好きで、ディズニーの世界が大好きなので、安心して働ける職場になってほしいと願って訴訟に踏み切りました」とコメント。最もつらかった上司からの暴言は「30歳以上のババァはいらねーんだよ。辞めちまえ」「病気なのか。それなら死んじまえ」 という言葉だったと振り返りました。
 Aさんは現在休職中ですが、職場復帰に挑戦した際、涙が止まらなくなるなどの症状が出たため現在は心療内科に通院しているとのこと。継続したケアを行いながら復職を目指しています。
 Bさんは別件でパレード中に首を負傷したため労災申請を行い現在休職中。「すぐにでもゲストに会いたい」という思いからケガが治れば復職したい考えと明かしました。
 オリエンタルランドは今回の裁判で、Aさんについて「過重な重量業務で、上肢障害を発症した」安全配慮義務を欠いたとして約425万円の損害賠償(治療費、2017年1月10日から4月末までの休業損害、慰謝料含む)請求を、Bさんについて「従業員に対してのパワハラの防止教育」「パワハラ発生時には調査して内容を把握する義務」「被害者の苦悩を取り除くための措置義務」(安全配慮義務)を怠ったとして約330万円の損害賠償請求を受けています。
 これを受けてオリエンタルランドは、「労災が認められたということは認めるが、認定されたからといて安全配慮義務違反があるということではありません」との姿勢を被害者弁護士談に示し、裁判の棄却を求めています。
(Kikka)

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