山本敦の広がるつながるスマート家電 第1回 シャープ「AIoT」の現在地、スマート家電の普及はどこまで進む?

11月24日(日)19時11分 マイナビニュース

この連載では、スマート家電によって豊かになる暮らしの最先端を追いかけていきたいと思っています。今回は2019年10月中旬に開催されたCEATEC 2019にブースを出展した、シャープのAIoTスマートライフの実現に向けた取り組みをレポートします。
○2020年に累計400機種以上までAIoT家電を増やす

シャープは、AI(人工知能)とIoTのテクノロジーを結び付けた独自の「AIoT」というコンセプトを、2015年のCEATECで発表しました。国内の家電メーカーとしては特に、スマート家電とその周辺を取り巻くサービスの開発に力を入れています。

2019年10月には、独自に築いてきたAIoTプラットフォームを、他社のスマート家電とサービスとより広く深く連携させるために、AIoTクラウドという子会社を設立。今回、新会社の取締役副社長に就任したシャープの白石奈緒樹氏に、これからのAIoTスマートライフが目指す方向について聞いています。

シャープは2016年に、インターネットにつながって様々な便利機能が使えるAIoT家電を発売しました。当初は26機種だったラインナップは、2019年10月時点で累計292機種にまで増えています。

実際にユーザーの家庭でインターネットに接続して使われている台数は、65万台に到達しているそうです。白石氏は「対応するデバイスの数とユーザー数が増えれば、サービスを提供する事業者のモチベーション向上にもつながる」として、2020年には累計400機種以上まで、AIoT家電を拡大するという目標を掲げています。
○AIoTプラットフォームは他社連携にも広がる

シャープのAIoT家電には、カテゴリー別に独自のクラウドサービスを用意しており、インターネットに接続すると付加的な機能が使えるようになります。

例えば、ウォーターオーブン「ヘルシオ」と、水なし自動調理鍋「ホットクック」が連携するクラウドサービス「COCORO KITCHEN」です。COCORO KITCHENには、手軽に調理できる食材をインターネットで注文して、自宅に届けてもらえる「ヘルシオデリ」のサービスがあります。

ほか、クラウドサービス「COCORO AIR」に対応するエアコンは、設定温度の履歴をクラウド側で学習。曜日や時間帯ごとに、自動で最適な温度設定してくれる機能が使えます。

2019年の5月には、新しいアプリサービス「COCORO HOME」がスタート。シャープのAIoTプラットフォームに対応する家電を、カテゴリーや機種、企業を超えて連携させるものです。COCORO HOMEの発表時は、セコム、KDDI、関西電力といった企業が参画しました。COCORO HOMEアプリは、スマート家電の利用履歴をサービスと絡めて参照したり、複数のAIoT家電を「シーン連携」したりといった機能を実装しています。

着実に進歩しているように思えますが、白石氏は、スマート家電(コネクテッド家電とも呼ばれます)の本質的な価値は「シーン連携のようなホームオートメーションを実現することが最終的なゴールではない」と指摘します。

「今後もユーザーが必要とする製品やサービスを届けつつ、他社様が展開する『暮らしの見守り』といった様々なサービスも、AIoT家電につないでいきます。AIoT家電が集めた家族のライフサイクルに関するデータをもとに、ユーザーの役に立つサービスを充実させていくことが、今後の大事な目標です」(白石氏)
○鍵を握るのは「クラウド連携」

シャープは現在、経済産業省が推進する「LIFE UPプロモーション」に参画し、KDDIやセコムなど計7社と組む「シャープコンソーシアム」の中で、異業種企業間でIoTの技術を結び付けていくプロジェクトを展開しています。プロジェクトの目的は、ユーザーの同意を得たうえで取得する生活データを活用しながら、利用価値の高いスマートライフサービスを事業として提供していくことです。

「これまでは、異なるメーカーの家電とサービスをつないで価値あるスマートライフを実現するには、各メーカーが共通利用するプロトコルを先に決める必要があると考えられてきました。シャープコンソーシアムでは現在、別のアプローチに着目しています。参加各社がユーザーに提供する、クラウドをベースとしたスマートサービスのプラットフォームを、相互につないで連携網を確立します。このほうが、より効率的なんです」(白石氏)

各社が持つクラウドプラットフォームのWeb APIを結び付けていくことによって、家電機器やサービス本体の変更とその負担は最小限で済みます。各社の家電機器やサービスが競争領域を確保していくためにも、都合の良い仕組みであると白石氏は説明します。

シャープコンソーシアムでは各社のクラウド同士が円滑にコミュニケーションを図れるように、異なっていたデータの定義を統一した「高次化フィルター」を作るために長い時間をかけてきたといいます。

現在はJEITA(電子情報技術産業協会)が中心になって、データカタログとして定義の取りまとめを進めています。「今後、コンソーシアムに参加を希望するメーカーやサービス事業者が増えても、培ってきたノウハウを応用しながらスムーズにプラットフォームの拡大を実現できるでしょう」(白石氏)
○スマート家電はいま「買い時」を迎えている

異なる企業が展開するスマートサービスのクラウド連携をわかりやすく示す事例として、CEATECのブースにシャープとKDDI(au HOME)のサービスを結び付けた「睡眠モニター」が紹介されていました。

睡眠モニターから出力される睡眠サイクルのデータを、シャープのエアコンが対応するCOCORO AIRのクラウドサービスが識別できる形に「翻訳(=変換)」して、心地よい眠りが得られる室温に自動制御するという睡眠支援のサービスです。2019年10月下旬に発売されたシャープのプラズマクラスターエアコン「Xシリーズ」から実装されます。

白石氏は、最近は特に一般消費者が、スマート家電やサービスによって便利になる暮らしに興味を持ち始めたという手応えを感じているそうです。今後は、AIoT機器とサービスを多くの人が気軽に体験できる機会をさらに増やしたいと、抱負を語っていました。もしも家電製品の買い換え・買い増しを考えているのであれば、そろそろスマート家電を積極的に選択肢として考えても良さそうです。

著者プロフィール山本敦ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。独ベルリンで開催されるエレクトロニクスショー「IFA」を毎年取材してきたことから、特に欧州のスマート家電やIoT関連の最新事情に精通。オーディオ・ビジュアル分野にも造詣が深く、ハイレゾから音楽配信、4KやVODまで幅広くカバー。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。

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