コンテナ、Kubernetes、サーバレスは日本にどれくらい普及した? IDCのアナリストが解説

12月5日(木)5時5分 ITmedia NEWS

IDC Japanの入谷光浩氏

写真を拡大

 さまざまな企業でデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けた取り組みが加速している現在、スピーディーな事業展開を支えるクラウドサービスは各社に欠かせない存在になりつつある。それに伴い、コンテナやサーバレスコンピューティングなどの技術を活用した“クラウドネイティブな”(=クラウド利用を念頭に置いて設計した)アプリケーションの開発・利用も活発化している。
 調査会社の米IDCの予測によると、2022年までにグローバルで新しく開発されるアプリの90%はマイクロサービスアーキテクチャを採用し、本番稼働しているアプリの35%はクラウドネイティブになる見込みだという。
 こうした潮流の中、日本市場では、コンテナやサーバレスなどの技術はどの程度企業に浸透しているのだろうか。IDC Japanがこのほど記者説明会を開催し、国内企業を調査した結果を発表した。説明会には同社の入谷光浩氏(ソフトウェア&セキュリティー リサーチマネージャー)が登壇し、分析結果を基に現状と今後の展望を解説した。
●コンテナを利用する企業、その理由は
 同社が今年、国内企業468社のコンテナ利用状況を調査したところ、本番環境で利用している企業は9.2%、PoCを含む導入・構築/テスト/検証段階の企業が16.7%、将来的な使用を計画・検討している企業が11.1%だった。計約40%の企業が、コンテナの導入に対して何らかのアクションを起こしていることが分かった。
 裏を返せば、約60%の企業は使わないと判断しているわけだ。この比率は、18年の調査時から大きく変わっていないという。入谷氏は「日本では、企業がコンテナの導入を考えるフェーズは終わり、利用を決めた企業と、使わないことを決めた企業がはっきり分かれた状況だ」と説明した。
 今後の見通しについては、「現状では、先進的な技術を取り入れている企業がアーリーアダプターとしてコンテナを導入しているケースが多い。20年ごろからは、導入準備を行っている企業が本番環境で利用するようになり、本格的な普及期に入っていくものとみている」(入谷氏)と述べた。
 では、コンテナを使うと決めた企業は、どのようなメリットを感じているのだろうか。IDC Japanが「本番環境で使用中」「導入・構築/テスト/検証段階」とした企業121社に調査したところ、「インフラの使用効率向上とコスト削減」(34.7%)が最も高い割合を占めた。
 その他、「開発者の生産性向上」「アプリ自体の信頼性・運用効率の向上」「リリーススピードの向上」——などがコンテナ導入の大きな要因になっていた。
 「モバイルアプリケーションは、VMware、Hyper-Vなどの仮想化基盤を用いた環境は必要としないため、コンテナを活用して1つのインフラの中でより多くのアプリを動かすという発想になってきている」(入谷氏)
 コンテナ導入が進んでいる業界は、SIerなどIT業界の他、金融業界も該当するという。この理由について入谷氏は「DXの波の中で、バンキング、ペイメント、保険の契約など金融サービスがモバイル化に突き進む中、サービスの開発のスピード・運用効率を高めるためだろう」との見方を示した。
●Kubernetesがオーケストレーションツールのデファクトスタンダードに
 コンテナ利用企業を対象に、使用しているコンテナオーケストレーションツールを聞いた結果、「Kubernetes」を利用している企業が45.5%を占めた。次点は「Red Hat OpenShift」で19.8%だった。
 Red Hat OpenShiftもKubernetesベースであるため、Kubernetesがオーケストレーションツールのデファクトスタンダードになりつつあるようだ。
 「今後はさらに、ソフトウェアベンダーが提供するKubernetesディストリビューションの採用が拡大していく」と入谷氏はみている。19年時点のコンテナディストリビューション市場の規模は29億円程度だが、今後は年平均62.8%で成長し、23年には151億円にまで拡大していくという。
 「エンタープライズのシステムでコンテナを利用しようとすると、ネイティブのものでは導入・運用のハードルが高い。企業では、ベンダーのディストリビューションを導入して、サポートを得ながらエンタープライズ向けの拡張版を使うのが一つの流れになっている。OpenShiftのサポートを行う声明を出している大手SIerもあり、エンタープライズへの導入は加速していくだろう」(入谷氏)
●ユースケースが明確なサーバレスはコンテナよりも速く普及
 コンテナだけでなく、サーバレスも重要なクラウドネイティブ技術の一つだ。サーバレスとは、サーバのリソースに依存することなく、イベントやリクエストに応じてコードを実行する機能を提供するもので、FaaS(Functions as a Service)とも呼ばれている。
 開発者がインフラやアプリケーション実行環境を意識することなくコーディングに専念できるため注目されている技術で、大手ベンダーからは「AWS Lambda」「Azure Functions」「Google Cloud Functions」などが提供されている。
 IDC Japanの調査によると、サーバレスの導入率自体はコンテナとほぼ変わらないが、導入・構築/テスト/検証段階にある企業の割合がコンテナよりも多く、コンテナより速いスピードで導入が進んでいるという。
 この要因について入谷氏は、「コンテナよりも柔軟性は低いが、モバイルやIoTのバックエンド処理、API連携、バッチ処理などユースケースがはっきりしているため、導入の意思決定がしやすいのでは」と分析している。
 サーバレスに関しても、導入準備を行っている企業が本番環境での利用を始める20年ごろから本格的な普及期に入るようだ。
 入谷氏は「今後は、仮想基盤上のWebアプリケーションや業務アプリケーションの周辺・拡張モジュールなど、既存のアプリケーションをいかにクラウドネイティブ化していくかにも注目が集まるだろう」と語る。
 クラウドネイティブ技術は今後、どのように発展・普及するのだろうか。20年もその動向から目が離せない。

ITmedia NEWS

「コンテナ」をもっと詳しく

「コンテナ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ