広がる車載カメラの応用範囲、高まる高解像度ニーズ

12月8日(水)6時45分 マイナビニュース

自動車のE/Eアーキテクチャ(電気/電子化)の進展が、安心・安全、低燃費、環境負荷低減といったニーズから急速に進んでいる。そうした流れの1つに、ADAS(先進運転支援システム)があり、カメラの役割が重要となっている。この車載カメラ分野で存在感を発揮しているのがonsemiで、同社の最新車載イメージセンサ「AR0820」は8.3MPと高い解像度を有している。従来、車載イメージセンサは1〜2MPほどの解像度が主流であった中、なぞ高解像度化に舵を切っているのか、今後の方向性を含め、話を聞いた。
自動運転時代に必須の高解像度車載カメラ
実はAR0820の存在そのものは2018年には明らかにされていた。実際に生産が開始されたのは最近のことで、搭載される車両の登場時期は2025〜2026年ころが想定されているものの、すでに中国AutoX社のGen5自動運転プラットフォームの主要機能に採用されたりと、その解像度、HDR(ハイダイナミックレンジ)、低照度環境下における高感度(高SNR)といった特性が評価される形で、これからの自動運転時代の車載カメラとして注目されるようになっているという。
現在、自動車に搭載されるカメラとしては、走行中の前方物体認識を担うフロントセンシグ、側方や後方などを含め、車両の周辺状況を認識する全周囲センシング、そしてドライバの居眠りやバイタルの監視などを担う車室内(In Cabin)など、その応用範囲が広がっている。フロントセンシングや全周囲センシングの現状の主流のカメラの解像度は1〜2MPほどだが、これが高解像度化するとどうなるのか。例えばフロントセンシングの場合、2MPの広視野角カメラで45m先の自転車に乗った子供を検知しようと思うと、縦15ピクセルほどの画像となるという。路面状況や天候などで、条件は変わるが、より早い段階で認識し、安全な走行を実現するためには、さらに遠い距離での識別が必要であり、そのためにはより高い解像度ではっきりと識別できるようになる必要がある。
そのためonsemiでも、制限付き自動運転におけるフロントセンシングでは8MP、自動運転レベル4もしくは5では12MP以上の解像度が必要となるとして開発を進めてきたという。また、自動車分野においては解像度だけでは勝負ができない。例えば、完全自動運転車が本格的に市場に普及する時代では、スマホのアプリで空いてる自動車を呼んで、好きな時間に使うことができるようになることが想定される。そうなると、自動車は常に稼働を続けることが求められるようになり、その伸びた稼働時間は1年間で8000時間(米国の場合)とも試算されており、それに耐えられるだけの信頼性を担保する必要がでてくる。
同社でもそうしたニーズが出てくると見て、すでに信頼性を向上させることを目的に、半導体以外の部分、例えばカラーフィルタの紫外線による劣化データの取得とその対応策の模索、製品ライフサイクルの長寿命化に向けた自動車メーカーが要求する以上の厳しい試験の実施、システム統合としての機能安全やセキュリティ機構の取り組みなどを進めているとする。
また、イメージセンサがどういったエラーを起こすのか、先にそういう不具合を顧客に提供することで、開発工数の削減や不具合対策のカバレッジを向上してもらう取り組みや、イメージセンサが有すべきサイバーセキュリティ機構の取り込みなども進めているという。
車載で必須となるHDRの拡張
CMOSイメージセンサの解像度を向上させる方法としては、大きく2つ。画素サイズはそのままに、イメージセンサのサイズを大きくして画素数を増やす方法。もう1つは画素サイズを小さくし、イメージセンサのサイズを従来と同様にしつつ画素数を増やす方法である。前者のイメージセンサのサイズを大きくするのは、搭載システムのサイズや、1枚のウェハから取れる数が減ることによるコストアップなどを招いてしまい現実的ではない。かといって、後者の手法の場合、画素に入ってくる光の量は減り、せっかく解像度を高めても暗所での映像取得条件が厳しくなってしまうという課題があり、この暗所での対応が車載イメージセンサでの重要なポイントの1つとなる。
多くの車載イメージセンサメーカーがデモで見せるのが、暗い地下駐車場やトンネルでの認識精度と、そういった暗所から明るい場所に移動した際のハレーションの抑制。AR0820は2.1μmピッチで8.3MPを実現しており、10lux程度の低照度環境でも高画質での撮像が可能だという。しかし、1.4luxといったさらに暗い条件になると、既存の4.2μmピッチの1.7MP品と比べると、やはり暗い画を撮像することとなってしまう。そこで同社では、画素加算モードを用意。隣同士の画素データを組み合わせることで、解像度は1/4に低下するものの、4.2μmピッチと同等以上の明るさを実現できるようにした。通常モードと画素加算モードは1フレームごとに処理を使い分けることができるため、交互にモードを切り替えてそれぞれの強みを組み合わせることが可能だという。
またより映像をはっきりと映し出すことを目指し、既存の車載イメージセンサの多くが120dBのダイナミックレンジであったところを140dB/24ビットまで拡張(120dBモードと140dBモードを切り替えて使うことも可能)。これにより、暗い環境の中でも細かな部分までよりはっきりと映し出すことを可能としたとする。
これからの車載イメージセンサの方向性
来るところまで来た感のある車載イメージセンサであるが、onsemiではまだ妥協している部分が残っているとして、すでに妥協しない1つ上のレベルを実現することを目指した次世代製品の開発を進めているという。
次世代製品としては画素サイズはAR0820と同じ2.1μmピッチを採用するが、新たに2.1μm Super Exposureピクセルを採用する計画だという。これを活用することで、現行の3μmや3.75μmピッチプロセスと同程度のSNRを達成できることを確認したとするほか、夜間において路上にある大きな石を何m先から発見できるのかというシミュレーションでも、3μmピッチの5MP品の150mを超す170m先で把握することが可能であることも確認したという。
また、HDRでは複数の画像をつなぎ合わせる際に、SNRが劣化するポイントが発生する場合が現行のイメージセンサではあるとするほか、競合他社が採用しているような複数ピクセルでHDRを実現する場合、SNRが20dBを下回る現象も見受けられるが、HDRトランジションSNRの落ち込みを少なくする工夫を採用することで、ジャンクション温度が125℃の時でもSNRを25dB以上にキープすることをシングルピクセルで可能とし、高画質を維持できるようにしたとする。
なお、この次世代イメージセンサ製品はすでにアルファサンプルの提供を開始しており、最大155dBを超すダイナミックレンジのサポートを実現するとともに、3μmピクセルイメージセンサと同等の低照度性能も提供できそうとのことで、このまま開発を継続していくとしている。

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