シリコンバレー101 第819回 Pantoneが選んだ来年の色は「クラシックブルー」

12月18日(水)9時1分 マイナビニュース

Pantoneが発表した2020年のカラーオブザイヤーは「クラシックブルー」(19−4052)だった。

ファッションやコスメ、インテリア、社会・経済など様々な要素を考慮して選出される同社のカラーオブザイヤーは、数年後にふり返ってみると「なるほど」と思わされるものが多い。例えば、一昨年の「ウルトラバイオレット」はブルーを基調とした紫だった。新しいテクノロジーや宇宙開発、芸術表現やスピリチュアルな思考に至るまで、これから進むべき道を照らし出す色というのが選出理由。その時はピンとこなかったが、今考えると確かに2018年はウルトラバイオレットという印象だ。一昔前なら近未来のイメージはシルバーやホワイトだった。でも、AI技術が私達の生活を変える未来が現実味を帯びてきた今、もっと人間らしさを混ぜ合わせた色に近未来を覚える。

これまでのカラーオブザイヤーでブルー系はそれほど多くはない。ターコイズ系の色を入れても、セルリアンブルー(2000)、アクアスカイ(2003)、ブルーターコイズ(2005)、ブルーアイリス(2008) 、セレニティ(2016)、ウルトラバイオレット(2018)である。

クラシックブルーは、落ち着いたブルートーンで、日が沈んだ後の広大な空を連想させるような色だ。テクノロジーの発展に伴う変化に戸惑うことも多い今、私達は「信頼」と「信用」を必要としている。ソリッドで深みのあるクラシックブルーは安らぎと安定を伝える。「私達の視野を広げ、活発なコミュニケーションを促す」としている。

景気に関連づけて流行色が語られることがある。過去の流行色の流れを見ると、不況時には着回ししやすいベーシックカラーが選ばれ、好況時には明るい色や個性的な色に挑戦する余裕が生まれる傾向があった。でも、そうした流行色と、その時代を色で表現するようなカラーオブザイヤーは異なる。だから、商品をクラシックブルーにしたら2020年に売り上げが伸びるかというと、そうなるとは限らない。だが、クラシックブルーが選ばれた背景に合致する目的だったら、クラシックブルーは大きな効果を発揮しそうだ。
言葉ではなくビジュアルで伝える時代

今月初めにAppleがApp Storeの「ベストオブ2019」を発表し、ベストに選ばれたアプリ/ゲームの開発者によるデモを体験できるイベントに参加した。いずれもユニークなアプリ/ゲームの中で最も印象に残ったのは、Apple TVのベストアプリに選ばれた「The Explorers」だった。

その開発者が語っていたのが「目的を持つビジュアルの強み」である。

The Explorersは地球環境の保護を目的としている。探検家、サイエンティスト、アーティストなどが参加するコミュニティで、写真やビデオによる「地球インベントリー」を作っていく……と説明しても、どんなサービスなのか想像できないだろう。

ざっくり説明すると、The Explorersは普通の人達が一生訪れるチャンスがないような地球の自然や場所をExplorersチームが撮影し、写真や映像を共有する。「それだけ…」と思うかもしれない。それで「地球環境保護が進むのか?」と思うかもしれない。だが、説得力があるのだ。

ビデオは4K HDR以上、高品質にこだわっており、Apple TV 4Kで観るExplorersチームの映像はとても美しく雄大だ。これは実際に体験してもらわないと伝わらない感動である。

海洋生物の保護が社会問題になっても、ほとんどの人は海に潜ることはない。そのため、自然で生きる生物に実際に触れて感動した人と、触れる機会のない多くの人達では、海の保全に対する温度差が大きく、本当の共感を得にくい。だから、海に潜って自然に触れる体験に少しでも近づけるような映像を、触れる機会のない人達に提供する。水中世界の素晴らしさを伝える映像は、どんな言葉よりも強力な説得力を持つというわけだ。難点を挙げるなら、Webサイトやアプリのデザインだ。The Explorersこそ"人々の視野を広げ、活発なコミュニケーションを促す"クラシックブルーが良く似合う。

ビジュアルの持つ影響力は大きい。言葉だけでは伝わらないものを感じさせ、想像力をかき立て、感動を生み、行動を促す。今はそれを簡単に共有して広められる術があり、ミレニアルズやZ世代は言葉よりも写真やビデオで感情を伝えている。

しかも、若い世代の消費者ほど社会問題への意識が高い。手頃な価格で良い商品を提供していても、価値観を共感できない企業やブランドは選ばない若者が増えている。だからこそ、目的を持ったビジュアルが重要になる。企業や組織の価値観、ブランドストーリーなどを伝える写真やビデオが飾りや言葉を補うためだけのビジュアルになってはいないだろうか。言葉も大事だが、ミレニアルズやZ世代の共感を得たいなら、雄弁なビジュアルのインパクトには適わない。

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