インスタ顔の時代

12月20日(金)18時0分 GIZMODO


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Image: Barcroft TV

この10年で一番変わったもの、それは人間の顔。

「インフルエンサーの95%はFaceTune加工顔で、その95%は整形」(業界人)と言われるほど、リアル顔をデジタル顔に変える美容整形ビジネスが世界で大流行! ボトックスがヘアカット感覚で語られるまでになっています。

現実の軸足が動いてリアルとデジタルが交わったのがこの10年だとすれば、ニュースと並んで顔も忘れちゃならないなあ、と思います。

自撮りブームで美女フィルターが大ブームInstagramは2010年、SnapChatは2011年生まれ。前者は世界をありのまま切り取る写真シェア、後者はつまらない世界をフィルターでおもしろくの写真次元シェアで、空前のセルフィ—ブームを巻き起こしました。なめらかな肌、大きな目、プルンとした唇の映え顔に一瞬で変身できるFaceTuneが生まれたのは2013年のこと。セルフィ—とフィルターは地震と津波みたいに抱き合わせで全世界を席巻しました。

インスタ顔セレブが5年前から増えるキム・カンダーシアン(いまだに美容整形見本リクエスト世界No.1。インスタ顔整形ブームのグラウンドゼロ)の主治医など、ハリウッドのゴッドハンドを回った感想をThe New YorkerのJia Tolentino記者が10年の計特集で書いているのですけれど、セレブメイクアップアーティストの Colby Smithさんが冒頭のコメントをしていて、う、うへえ…となりました。

Smithさんが異変に気付いたのはここ5年のことです。前はプルンとした唇を作るのが仕事だったのに、今は最初からシワひとつないので、塗るだけで終わるんだって。おでこもツルン。こういう顔をまとめて「Instagram Face(インスタ顔)」と呼んでいて、2050年のアメリカ人はみなそういう「彫刻みたいな、ありえない盛り顔」になるだろう、と予言しています。

ボトックス解禁でメスなしプチ整形が一般化アメリカではボツリヌス菌毒素のボトックス(しわ取りの神器)が2002年に医薬品認可され、数年置いてヒアルロン酸皮膚注入薬材のJuvéderm(アラガン製)やRestylane(英Galderma製)も解禁に。これで鼻、あご、ほおもメスなしで形を整える施術が可能になって相場が大下落。半年〜1年おきにしわ取り注入するボトックスライフを、セレブ以外の一般人もお手頃価格で送れるようになりました。

米国美容整形外科学会によると、米国人が2018年に受けたしわ取り注入は年間750万回以上、フィラー注射は250万回以上で、美容整形全体は年間165億ドル(約1兆8000億円超)の一大産業となっています。

整形はもはや隠すことではないハリウッドセレブの整形医の間では、クライアントの名前を表に出すことは長年タブーとされてきたのですが、今は受付カウンターに芸能人からの感謝状が麗々しく飾ってあるんだそうですよ? 

ビフォー&アフターの写真公開に応じてくれる人が増え、有名医がそういうプロセスを紹介するアカウントや番組も登場。整形で人生変わった人たちが「別に悪いことしてるんじゃない」と胸を張って体験をシェアする空気が生まれ、整形は「隠すもの」から「ヘアカット感覚で語るもの」へと急速に意識が変わったとTolentino記者は書いています。

シリコンバレーでは職場の年齢差別で整形ブーム確かに、ここシリコンバレーでも年齢差別が激しいので、ボトックスで若作りしている人が多いという話はよく聞きます。このトレンドに初めて光を当てたのは、The New RepublicのNoam Scheiber記者が書いた2014年の記事でした。

ボトックス施術数全米No.1を誇る整形医は、ハリウッドではなくサンフランシスコのDr. Seth Matarassoでありまして、その数なんと年間20万本。前は「同窓会に行く、浮気された、これから浮気する」が主な整形理由だったのが、今は「首にならないように目と口と首のしわを取る」に変わってるんだそうですよ。同じ仕事やビジネスプランでも、若い方が伸び代が高く評価される世界なので、会社の福利厚生でボトックスがカバーされていたり、もっと切実です。

ハーバード大を中退してFacebookを立ち上げ、「若いほうが頭がいい。チェスの棋士を見ろ」と2007年にスタンフォード大の講演で言い放った22歳のマーク・ザッカーバーグも現在30代。自らの名言が呪詛の言葉に変わる妙齢に差し掛かっています…。

日本はまだかわいいほう日本でも2009年にボトックスが解禁になっているので、水面下では同じことが起こっているかもしれませんけど、盛り顔ブームはまだデジタルの文脈で語られています。週刊ダイアモンドが「日本固有の文化かも」な〜んて結論付けていますけど、いやいやいやいや、こっちはデジタルぶっとんで整形ですから、美しくありたいという願望は世界共通かと思います。

あ、ちなみに一番上の写真は英国のインフルエンサーのLevi Jed Murphy君(23歳)。「インスタのフィルターで目と唇をリフトアップした自分の顔を見慣れてしまって、フィルター抜きでは違和感を覚えるようになって整形フィラーした」人です。もともとかわいい顔なのに、ネットの心ないコメントを間に受けて、こんな痛い思いして…。あんた何してんのよ、お母さん、もっと言ってやれよ!ってさすがに思っちゃいましたが…。

かく言う自分も、夜取らなくていいマスカラつけて娘が帰ってきて、フィルター顔ですやすや寝てるの見てグウの音も出ないまま、2010年代が暮れていきます…。

Sources: The New Yorker, The New Republic

GIZMODO

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