ふるさと納税を利用し虐待された児童へ支援 日本の寄付意識をシステムで促す
被虐待児童支援を行うため新設された「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」と自治体が連携した、ふるさと納税による寄付受付を開始。これに際し、日本電信電話公社を経て、現KDDIを共同創業した千本倖生氏と、北海道・東川町長の菊池伸氏、新財団理事を務める髙田治氏が11月8日に記者発表会を開き、児童虐待防止支援事業への新たな取組について説明した。
千本氏は、神奈川県の養護施設に行った際に食事すら与えられない子供が存在することを知ったという。こうした日本の現状について「虐待を受けている子の数が先進国の中で一番組織化、予算化されていない」と問題点を指摘。実際、諸外国など特にアメリカは寄付に対する意識が高いとのこと。
千本氏は「日本は寄付に対して教育もされていないし、仕組み化もされていない、なかでも虐待に対する寄付は特に少ない。この虐待に寄付できる仕組みにすることでちょっとでも日本の寄付に対する意識を変えたい」との想いから経済界から発足したのが、「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」だという。
髙田氏曰く、児童虐待の相談件数は年々増加しているとのこと。ネグレクトを経て育った子どもは、周りを警戒しながら生き、人に頼らず、恐怖を感じると攻撃的になり、自分を守ることに精一杯なため、新たな挑戦をすることが困難になるという。そういった子どもたちが施設での生活を経て、考え方を変えて地域に戻り、やがては親の世代になったときに虐待件数が減っていくのが狙いとのことで、そのために施設側への支援を行っていると話した。
理事の長年の虐待児童への診療治療の経験が反映された川崎子供心理ケアセンター「かなで」では、約6人の子供に対して4人の大人が施設と子ども達を管理している。しかし、1週間で働ける時間はひとりあたり8時間で合計40時間。24時間働くとなると人手が足りない状況に陥いっているという。
こうした支援が十分に行き届かない現状を鑑みて、「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」が次に繰り出した一手が、地方自治体との連携。その一弾となるのが、子どもをメインに据えた政策によって30年間で人口が約1600万人増加させた実績を持つ北海道・東川町との取り組みである。
東川町は、町を応援するための投資制度として「ひがしかわ株主制度」を設けている。寄附者を株主とし、投資したい事業に寄付することで税金控除や東川町の宿泊優待を受けることが可能という制度だ。対する「ふるさと納税」も、寄附者は税金控除や土地の生産物を貰うことができる。「ひがしかわ株主制度」を個人版、「ふるさと納税」を企業版と分け、寄付金の一部を「一般財団法人こどもたちと共に歩む会」の財政へと充てるとのこと。寄付金は全国の児童福祉施設や自動たちへの支援、また一部が町の経費に活用される。 日本と海外で広がる寄付意識への格差を埋めるため、新たに生み出された新制度。子どもたちが安心・安全に暮らせる未来のためのシステムが機能するのか続報が待たれる。
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