【RQインタビュー】日本レースクイーン大賞も受賞したトップレースクイーンの神尾美月「いちばん大好きなチームで卒業したいと思った」
レーシングドライバーが第一線を退く時がくるように、レースクイーンも卒業を迎える瞬間が必ずくる。以前はシーズンの最終戦で発表するケースが多かったが、最近では新体制が発表された時に「今年いっぱいで卒業します」とアナウンスするレースクイーンも増えてきた。今年で言うと、ARTA GALSを務める神尾美月さんがそうだ。
神尾さんがレースクイーンデビューを果たしたのは2016年。あのエヴァンゲリオンレースクイーンで真希波マリ・イラストリアス役でピンクのコスチュームを着て登場。スーパーGTのみならず、鈴鹿8時間耐久ロードレースでもレースクイーンを務め、大きな注目を集めた。
アニメのエヴァンゲリオンが好きだった神尾さんは、それがレースクイーンデビューのきっかけとなったと語る。
「もともとアニメが好きだったのですが、私の地元の九州でエヴァンゲリオンのイベントをやっていて『エヴァンゲリオンのレースクイーンがいるんだ!』というのを知りました。それが……最初のきっかけでしたね。オーディションを受けるとなると、事務所に入らなきゃいけないので、ギャルズ・パラダイスを見て探しました」
そう語る神尾さん。ちなみに推しのキャラクターはマリではないようだ。
「本当はマリって言いたかったんですけど……推しはアスカなんですよ(苦笑)。性格的にもアスカだねと周りからずっと言われていて『アスカがいいなぁ』と思っていたら……最終的にマリでした(笑)。それでも、すごく嬉しかったです」と、当時のことを話してくれた。
“エヴァンゲリオンつながり”でサーキットに来ることとなった神尾さん。当時はレースでの業務以外に専用のステージイベントや物販ブースでのサイン会もあるなど、忙しい週末を過ごしていたが、楽しい思い出ばかりだったという。
「初めてサーキットにきて『すごいな』と思いましたし、『レースクイーン楽しいな』って、毎回ワクワクしていました。エヴァの時もステージイベントがあったりして、ファンの皆さんもみんなエヴァが大好きな人で、ずっとエヴァの話ばかりしていました」
「あと、鈴鹿8耐にも応援にいきました! ナイトピットウォークがあって、エヴァのレースクイーンたちは水着のコスチュームとか、そこでしかお披露目されないようなものもあり、そこにたくさんのお客さんがきてくれて……なつかしいですね!」
「当時はお祭りみたいなレースが多くて、夜遅くまでサーキットにいることもあり、すごく楽しかったです。そう考えると、今はコロナ禍でイベントも減って、少し寂しいです」
翌年からは有名ユニットである「ドリフトエンジェルス」の一員となったほか、スーパーフォーミュラなど様々なカテゴリーでもレースクイーンを務め、活躍の場を広げていった神尾さん。2018年に WAKO’S GIRLSを務め、再び“ドリエン”となった2019年には日本レースクイーン大賞を受賞する。
「ドリエンの頃とかは『青春』でした。ダンスでもいつも叱られていましたし、当時のメンバーはレースの時以外にも会っていて、自主練で頑張った時もありました。時には漫才の練習もしたりして……本当に青春でしたね」
「その時は『なんでこんなに忙しいんだろう?』と思う時もありますけど、それがあるから今のスケジュールにも全然耐えられるし、体力の母体はできたと思います」と、当時を思い出しながら笑顔で振り返る。
そんな神尾さんに転機が訪れたのは、2020年。ARTA GALSの一員として選ばれたのだ。ここから、次第にレースのことにも興味を持ち、チームの応援にも熱が入っていく。
「レースのことが好きになったのは、ARTAに来てからですね。エヴァの時や、そのあとにドリエンをやった時も、基本的にレース中はステージイベントがあったりとかして、全然レースを見れていなかったんです」
「それこそ、ファンの人に『今何周目?』とか『今何位?』というのを確認していました。あの時も、レースのことは気になっていましたが、(ステージでの)ダンスのことで精一杯になっていましたね」
2020シーズンはコロナ禍が始まり、レースクイーンの活動にも様々な制限が出てしまったが、そのシーズンに神尾さんは“初めての1番”をチームとともに経験。それが、チーム愛をさらに加速させる瞬間にもなった。
「いちばん印象に残っているのは、2020年のもてぎ戦で8号車が優勝した時ですね。私がスーパーGTでレースクイーンをやっていて、応援しているチームが初めて1位になったんですよ」
「その時は『優勝するチームの一員なんだ』というのをすごく実感したのを覚えています。レースクイーン人生で初めてポールポジションのグリッドボードを初めて任されたのも、ARTAでした。こんなチームにいられるのは凄いことなんだなと思いました」
「レースを知らない人でも鈴木亜久里さんとか、土屋圭市さんのことを知っている人は多いと思います。『あのチームでレースクイーンをやっているんだ、すごいね!』という反応がくるくらいで、改めて名門チームだなと感じます」
「もちろん速いですし、すべてにおいてプロフェッショナルだなと思うことが多くて……。本当に『スゴい!』という言葉しか出てこないですね。だからこそ、私も応援を頑張らなきゃなと思うし、毎回レースになると気合いが入っています!」
「本当は5年くらいでレースクイーンを辞めるつもりだったんですけど、ARTAが好きで……『もう1年!もう1年!』ってやっているうちに、ここまで伸びちゃいました(笑)」
気がつけばARTA GALS 3年目を迎えた神尾さんだが、ついに一区切りをつけることを決断。昨シーズン、同ユニットを最後にレースクイーンを卒業した綾瀬まおさんと同じように“大好きなチームでレースクイーンを終えたい”という気持ちが強いのだという。
「辞めようかどうしようか迷った時期もありましたけど、まおちちゃん(綾瀬まおさん)みたいに、大好きなチームで(RQを)辞めたいなと思っていました。そして、それはシーズンの最初にきっぱりと言おうと決めていました」
「最近は、コロナ禍の影響もあって、多くのファンの人がサーキットに行く機会が減りつつあるなと感じています。そこで『今年が最後だから!』と言うことで、またサーキットに来てくれて、レースクイーンとしては最後となる私を見てほしいなという思いがありました。だから、シーズン前に自分から発表することにしました」
「改めて振り返ると、本当に楽しい7年間でした。毎回サーキットに行くのが楽しみで、その前の用意とかもワクワクしていましたが、来年からどうやって土日を過ごそうか……。そう考えると寂しいですね(苦笑)」
神尾さんがレースクイーンとして臨むサーキットも、残り1戦となった。大好きなARTAの優勝を願いつつ、笑顔でシーズンを終えたいと、神尾さんは力強く語った。
「最後はあまり泣きたくないので、笑顔で楽しく終わりたいですね。そして、最終戦はARTAに優勝をしてほしいです!」
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