細田守監督「驚きの連続」と絶賛、『ウルフウォーカー』監督と対談実施
シネマカフェ2020年10月20日(火)19時20分
映画『ウルフウォーカー』の公開を記念し、来年3月開催の「東京アニメアワードフェスティバル2021」のプレイベントとして、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』の細田守監督と本作のトム・ムーア/ロス・スチュアート監督とのスペシャル対談が10月19日に行われた。
「東京アニメアワードフェスティバル」は、“東京がアニメーションのハブになる”を合言葉に、次世代のアニメ制作の人材発掘と育成、文化と産業の発展・振興を図ること、東京の観光振興に資することを目的に、2014年から開催されている国際アニメーション映画祭。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』がグランプリを受賞したことをきっかけに、本作の監督らから、同じ“狼とこども”をモチーフにした作品を手掛けた細田監督へのラブコールがあり、スタジオ地図、東京アニメアワードフェスティバル事務局、そしてアイルランドの3か所を繋ぎ、本企画が実現したという。
元々、細田監督の大ファンだというムーア監督とスチュアート監督。対談にあたり、事前に『ウルフウォーカー』を観た細田監督は、「本当に素晴らしい作品でした。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』は誰も見たことのない様なアニメーションで感動しましたが、この作品も期待を上回りました。当たり前なカットがない。1カット1カットが驚きの連続で、森と町との対比が素晴らしかった」と絶賛。「児童文学的な要素も含まれた、叙事史的な物語がとても力強かった。どんな風にして作ったのですか」と尋ねると、「アクション満載の映画にしたいと思ったんです。これまでの作品で学んだテクニックを詰め込んだんです」(ムーア監督)、「民話的なムード、古典的なムードは狙って作ったんです。町は檻に閉じ込められている様に見せるために平面的に描いて、森では自由な印象を与える様な線を意識して描いたんです。線にエネルギーを残すということも意識しました」(スチュアート監督)と説明していた。
また司会者から、お互いの作品がオオカミや人が何かに変身するという部分が共通するということについて話題が振られると、細田監督は「オオカミがワルモノにされたのはヨーロッパ的な人間中心主義のせいです。人間が発展していく上で動物を森に追いやる必要があった。でも僕は、追いやられたオオカミや動物のほうに興味があるし、肩入れしたくなる」と答え、ムーア監督は「自然との付き合い方、人間の中にある“野生”をもう1回我々は抱き直す必要があるのかもしれない。またアイルランドと日本は、アミニズムという観点から似ている気がします」と共通する理由を話し、そしてスチュアート監督も「古い民話には共通点があって、何かしら普遍性があるのかもしれない。アイルランドでは昔からオオカミと人間は共存する関係性だったのですが、キリスト教が浸透してからそれが変わってしまった。古の考え方が今後人間が生き残るために必要なのかもしれない」と語った。
さらに細田監督から、「カートゥーン・サルーン」の今後の制作に関してCGを使っていく予定かを問われたムーア監督は「個人的には手描きにこだわっていきたいが、CGを使うことで表現の豊かさが増えるので必要なところでは使っていきたい」と答えた。
一方、ムーア監督からはアニメを作る上で大切にしていることを聞かれると、細田監督は「家族をテーマに作品を作ることが多いけど、本当に描きたいのは、どうやって子供は成長していくのか、ということなんです」と言い、スチュアート監督からは、企画は並行して進めることがあるのかなど、次々と質問があがった。
また対談では、ちょうど次回作の絵コンテが終わったところだということも明かした細田監督。スペシャル対談は盛況の内に幕を閉じた。
なお、今回の対談の様子は編集後、10月25日(日)にYouTubeプレミアにて無料配信される予定だ。
『ウルフウォーカー』は10月30日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。
「東京アニメアワードフェスティバル」は、“東京がアニメーションのハブになる”を合言葉に、次世代のアニメ制作の人材発掘と育成、文化と産業の発展・振興を図ること、東京の観光振興に資することを目的に、2014年から開催されている国際アニメーション映画祭。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』がグランプリを受賞したことをきっかけに、本作の監督らから、同じ“狼とこども”をモチーフにした作品を手掛けた細田監督へのラブコールがあり、スタジオ地図、東京アニメアワードフェスティバル事務局、そしてアイルランドの3か所を繋ぎ、本企画が実現したという。
元々、細田監督の大ファンだというムーア監督とスチュアート監督。対談にあたり、事前に『ウルフウォーカー』を観た細田監督は、「本当に素晴らしい作品でした。『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』は誰も見たことのない様なアニメーションで感動しましたが、この作品も期待を上回りました。当たり前なカットがない。1カット1カットが驚きの連続で、森と町との対比が素晴らしかった」と絶賛。「児童文学的な要素も含まれた、叙事史的な物語がとても力強かった。どんな風にして作ったのですか」と尋ねると、「アクション満載の映画にしたいと思ったんです。これまでの作品で学んだテクニックを詰め込んだんです」(ムーア監督)、「民話的なムード、古典的なムードは狙って作ったんです。町は檻に閉じ込められている様に見せるために平面的に描いて、森では自由な印象を与える様な線を意識して描いたんです。線にエネルギーを残すということも意識しました」(スチュアート監督)と説明していた。
また司会者から、お互いの作品がオオカミや人が何かに変身するという部分が共通するということについて話題が振られると、細田監督は「オオカミがワルモノにされたのはヨーロッパ的な人間中心主義のせいです。人間が発展していく上で動物を森に追いやる必要があった。でも僕は、追いやられたオオカミや動物のほうに興味があるし、肩入れしたくなる」と答え、ムーア監督は「自然との付き合い方、人間の中にある“野生”をもう1回我々は抱き直す必要があるのかもしれない。またアイルランドと日本は、アミニズムという観点から似ている気がします」と共通する理由を話し、そしてスチュアート監督も「古い民話には共通点があって、何かしら普遍性があるのかもしれない。アイルランドでは昔からオオカミと人間は共存する関係性だったのですが、キリスト教が浸透してからそれが変わってしまった。古の考え方が今後人間が生き残るために必要なのかもしれない」と語った。
さらに細田監督から、「カートゥーン・サルーン」の今後の制作に関してCGを使っていく予定かを問われたムーア監督は「個人的には手描きにこだわっていきたいが、CGを使うことで表現の豊かさが増えるので必要なところでは使っていきたい」と答えた。
一方、ムーア監督からはアニメを作る上で大切にしていることを聞かれると、細田監督は「家族をテーマに作品を作ることが多いけど、本当に描きたいのは、どうやって子供は成長していくのか、ということなんです」と言い、スチュアート監督からは、企画は並行して進めることがあるのかなど、次々と質問があがった。
また対談では、ちょうど次回作の絵コンテが終わったところだということも明かした細田監督。スペシャル対談は盛況の内に幕を閉じた。
なお、今回の対談の様子は編集後、10月25日(日)にYouTubeプレミアにて無料配信される予定だ。
『ウルフウォーカー』は10月30日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。
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