ベッテル、かつてF1タイトルを争ったアロンソに敬意を示すも「互いのことをあまりよく知らない」と明かす
セバスチャン・ベッテルは、フェルナンド・アロンソをドライバーとして高く評価しているが、コースを離れたところで彼と親しくしたことはほとんどないと認めている。
F1を引退したばかりのベッテルは、長年にわたってアロンソと多くの素晴らしいバトルを展開していた。ベッテルがレッドブルでチャンピオンだった時期、アロンソは最も手ごわいライバルのひとりだった。2010年から2013年の間にベッテルは4回世界チャンピオンになったが、アロンソはそのうちの3シーズンでベッテルに次いで2位につけていた。
「僕は彼のことをドライバーとして高く評価していると思う」とベッテルは『Formula1.com』のトム・クラークソンのポッドキャスト『Beyond the Grid』で語った。
「彼はおそらく最も手ごわい相手だった。特に最初の数年はね。それに2010年と2012年のチャンピオンシップの終わりはすごい接戦だった。それは今でも僕のお気に入りの思い出のひとつかもしれない」
「2012年のブラジルGPの朝に、高まる緊張感といったらね。あそこにいた人たちについては知らないが、彼らはもっとリラックスしていたかもしれない。でも僕にとってはすごい緊張感があったし、僕たちはふたりともとても神経を尖らせていたと思う」
ふたりはコースで接戦を繰り広げており、アロンソはベッテルの重要なライバルだったが、奇妙なことにベッテルはアロンソのことをよく知らないと認めている。
「ドライバーとしてフェルナンドを本当に高く評価している。彼は生まれつきの才能に、信じられないほどの決断力、素晴らしいレース本能を持ち合わせていて、それらは何も失われていないと思う。彼がレースを愛していることがわかる。彼はとても情熱的だ」
「でも人として、僕は彼のことをあまりよく知らないんだ。仲が悪かったということではない。僕たちは互いに尊敬しあっていると思う。でも本当にお互いを理解しあったり、(一緒に)時間を過ごしたり、レース外で多くのことを話したりすることは一度もなかった」
ベッテルは、F1においてアロンソと彼の間には、コース上でクラッシュして対立したり火花を散らすようなことがなかったからではないかと考えている。ルイス・ハミルトンとの間には、2017年のアゼルバイジャンGPのような出来事があり、それをきっかけに彼と親しくなったという。
「おそらくルイスの時のように、僕たちを結びつける瞬間がなかったのかもしれない。彼は素晴らしいライバルで、これまでで最も手ごわい相手かもしれない。彼はいつもそこにいて決して引き下がらないからだ。でもホイール・トゥ・ホイールのレースの時には、彼は本当に敬意を払ってくれるんだ。僕はとても楽しめた」
「でも人として僕たちは最高の関係を築いているわけではない。僕たちは互いのことをあまりよく知らないからだ」
ベッテルは、ふたりのドライバーを自然と引き離すことになったもうひとつの要因は、それぞれの性格にあると考えている。
「僕たちは性格が違いすぎるのかもしれない。僕たちを興奮させる共通の情熱としてレースがある。でもこの年月においてお互いのことを本当に知ることはなかった。学校や仕事場のようなものかもしれない。尊敬している同僚がいても、その人のことをよく知らないということはある」
「ルイスとうまくやっている限り、僕たちは話しをしたり、考えを共有したりする。フェルナンドともそういう機会があったかもしれないが、親しみを深めることにはならなかった」
「だから人生において同じ大きな情熱を持ってはいても、僕たちはふたりのまったく違う人間なのかもしれない」
それにもかかわらず、ベッテルは35歳の自身と41歳のアロンソは、その年齢と、F1のベテランという立場から、自然と親しくなるはずだと考えている。
「年齢的には今、僕たちは近づいているかもしれないと思う。もちろん年齢差は常に同じだけれど、20歳で今日入ってきた誰かよりは、明らかに彼の方に近いと言えるよ」
「でもおそらく僕たちはふたりの異なる人間だ。長年にわたって一緒にレースをしてきたけれど、それでも人生のまったく異なる節目にいるんだ」
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