青森山田を卒業し、プロの世界へ…古宿理久「中村俊輔さんや松井さんにも絶対負けない」
サッカーキング2020年1月16日(木)17時21分
青森山田の古宿理久 [写真]=野口岳彦
「自分たちが目指している前からのプレッシャーで高い位置でボールを取れて、ショートカウンターやサイドチェンジも出せたし、前半の入りは悪くなかった。でも90分を通しての継続という意味ではできなかった。(静岡学園は)外すことだったり、タメを作るのがうまい選手がいっぱいいて、無理に飛び込めなかったですね。今までやってきた中で一番うまいチームだったと思います……」
令和初の成人の日。青森山田と静岡学園が相まみえた埼玉スタジアムには高校サッカー選手権史上最多、5万6025人もの観客が詰めかけた。大会連覇を狙った青森山田は前半のうちに2点リードを奪うも、前半終了間際に失点。その後は個人技に秀でる静岡学園に2点を奪われ、2-3とショッキングな逆転負けを喫してしまった。
中盤を統率するMF古宿理久(3年/横浜FC入団内定)は試合展開を悔やんだ。ポゼッションで上回る相手に対し守勢に回る中、体力的に追い込まれてしまった。
「Jユースとやる時もポゼッションをされることは多いですけど、選手権で戦ったチームの方が攻守の切り替えが速かった。Jユースはボールを奪った時、あまり来ないんで、自分が自由に回せるんですけど、今大会は厄介なチームがいっぱいいましたね。そこで90分間、走れる体力があったかと聞かれたら『まだまだ』と言うしかない」と課題を口にした一方で、「自分は何でもできるボランチを目指しているので、守備も攻撃もできて対人に強くてヘディングでも勝てるっていうオールラウンドな選手になっていきたいと思います」と、高校生活ラストの大舞台を飾れなかった屈辱感をJリーグで生かそうとしている。
古宿が加入する横浜FCは今季、13年ぶりのJ1に挑む。ジュニアユース時代を過ごし、ユース昇格見送りという辛い経験をしながら這い上がり、背番号32を託されたルーキーも一員として「トップ10」という目標に向かっていく。ジュニアユース時代の同期・斉藤光毅はすでにトップで実績を残し、一歩リードされているが、負けるつもりはない。
「練習会に行った時は『本当に高校生なのか?』っていう感じのプレーをしてました。高2からJの試合に出ている選手なので、高校生らしくないっていうか、すっかりプロに染まってる感じがした。自分も早く染まんなきゃいけないですね」
そう意気込む古宿だが、ボランチ競争は熾烈を極めるだろう。今季の陣容を見ると、中村俊輔、松井大輔という元日本代表の両ベテランに加え、佐藤謙介、田代真一、新戦力の手塚康平ら多彩な面々が揃っている。実力者たちとのポジション争いに参戦し、出場機会を手にするのは容易ではない。
「横浜FCというチームは経験豊富な選手が多いですし、学ぶことが多い年になってくると思います。プロの世界には『クビ』もあるし、いられる時間に吸収できることはしないといけない。『中村俊輔さんや松井さんにも絶対負けない』『出た試合は結果を残してやろう』って気持ちでやっていきたいです」
古宿には展開力や戦術眼といった大きな武器がある。一方で、選手権決勝で直面した走力などのフィジカル面、球際の強度や寄せの速さなど、守備力を向上させていかなければいけない。昨季加入した中村俊輔も、新人時代はラスト15~20分で送り出され、徐々にインテンシティーを高めていった1人だ。古宿もコツコツとチャンスをつかんでいけば、大先輩のように大きな飛躍を遂げられる可能性は少なからずある。横浜FCの福田健二強化ダイレクターも「課題は沢山あるけど、光るものを持った逸材」と期待を寄せている。
将来を嘱望される大器が見据える先には、青森山田の先輩・柴崎岳がいる。かつて黒田剛監督に「この子は将来、日の丸を背負ってワールドカップに出る」と断言された男は、2018年ロシアW杯のピッチに立ち、日本の16強入りの原動力になった。その雄姿を現場で見守った黒田監督も感涙にむせぶ姿を見せた。恩師を感動させた偉大なボランチとコンビを組んでプレーすることが、9つ年下の古宿の夢だ。
「代表のいろんな試合を見ますけど、岳さんはホントにボールを奪われないですし、見て学ぶことが多い。でも逆に自分には岳さんにない者があると思う。そういう長所を伸ばして、真似するところは真似して、自分のプレーを突き詰めていきたい。いつか一緒にプレーできるようになりたいです」と彼は目を輝かせた。
強度が上がるJリーグで戦い抜くためのフィジカル、メンタル、戦術眼をまずは身に着けること。そこからスタートしてほしい。青森山田の緑から横浜FCのブルーを身にまとう若きボランチの堂々たる雄姿を見られる日が待ち遠しい。
文=元川悦子
令和初の成人の日。青森山田と静岡学園が相まみえた埼玉スタジアムには高校サッカー選手権史上最多、5万6025人もの観客が詰めかけた。大会連覇を狙った青森山田は前半のうちに2点リードを奪うも、前半終了間際に失点。その後は個人技に秀でる静岡学園に2点を奪われ、2-3とショッキングな逆転負けを喫してしまった。
中盤を統率するMF古宿理久(3年/横浜FC入団内定)は試合展開を悔やんだ。ポゼッションで上回る相手に対し守勢に回る中、体力的に追い込まれてしまった。
「Jユースとやる時もポゼッションをされることは多いですけど、選手権で戦ったチームの方が攻守の切り替えが速かった。Jユースはボールを奪った時、あまり来ないんで、自分が自由に回せるんですけど、今大会は厄介なチームがいっぱいいましたね。そこで90分間、走れる体力があったかと聞かれたら『まだまだ』と言うしかない」と課題を口にした一方で、「自分は何でもできるボランチを目指しているので、守備も攻撃もできて対人に強くてヘディングでも勝てるっていうオールラウンドな選手になっていきたいと思います」と、高校生活ラストの大舞台を飾れなかった屈辱感をJリーグで生かそうとしている。
古宿が加入する横浜FCは今季、13年ぶりのJ1に挑む。ジュニアユース時代を過ごし、ユース昇格見送りという辛い経験をしながら這い上がり、背番号32を託されたルーキーも一員として「トップ10」という目標に向かっていく。ジュニアユース時代の同期・斉藤光毅はすでにトップで実績を残し、一歩リードされているが、負けるつもりはない。
「練習会に行った時は『本当に高校生なのか?』っていう感じのプレーをしてました。高2からJの試合に出ている選手なので、高校生らしくないっていうか、すっかりプロに染まってる感じがした。自分も早く染まんなきゃいけないですね」
そう意気込む古宿だが、ボランチ競争は熾烈を極めるだろう。今季の陣容を見ると、中村俊輔、松井大輔という元日本代表の両ベテランに加え、佐藤謙介、田代真一、新戦力の手塚康平ら多彩な面々が揃っている。実力者たちとのポジション争いに参戦し、出場機会を手にするのは容易ではない。
「横浜FCというチームは経験豊富な選手が多いですし、学ぶことが多い年になってくると思います。プロの世界には『クビ』もあるし、いられる時間に吸収できることはしないといけない。『中村俊輔さんや松井さんにも絶対負けない』『出た試合は結果を残してやろう』って気持ちでやっていきたいです」
古宿には展開力や戦術眼といった大きな武器がある。一方で、選手権決勝で直面した走力などのフィジカル面、球際の強度や寄せの速さなど、守備力を向上させていかなければいけない。昨季加入した中村俊輔も、新人時代はラスト15~20分で送り出され、徐々にインテンシティーを高めていった1人だ。古宿もコツコツとチャンスをつかんでいけば、大先輩のように大きな飛躍を遂げられる可能性は少なからずある。横浜FCの福田健二強化ダイレクターも「課題は沢山あるけど、光るものを持った逸材」と期待を寄せている。
将来を嘱望される大器が見据える先には、青森山田の先輩・柴崎岳がいる。かつて黒田剛監督に「この子は将来、日の丸を背負ってワールドカップに出る」と断言された男は、2018年ロシアW杯のピッチに立ち、日本の16強入りの原動力になった。その雄姿を現場で見守った黒田監督も感涙にむせぶ姿を見せた。恩師を感動させた偉大なボランチとコンビを組んでプレーすることが、9つ年下の古宿の夢だ。
「代表のいろんな試合を見ますけど、岳さんはホントにボールを奪われないですし、見て学ぶことが多い。でも逆に自分には岳さんにない者があると思う。そういう長所を伸ばして、真似するところは真似して、自分のプレーを突き詰めていきたい。いつか一緒にプレーできるようになりたいです」と彼は目を輝かせた。
強度が上がるJリーグで戦い抜くためのフィジカル、メンタル、戦術眼をまずは身に着けること。そこからスタートしてほしい。青森山田の緑から横浜FCのブルーを身にまとう若きボランチの堂々たる雄姿を見られる日が待ち遠しい。
文=元川悦子
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