【GR010ディテールウォッチ2】単一仕様とL/D規定で変わる空力コンセプト。18-19年仕様で見られた“流路”も復活
1月15日に発表されたトヨタGAZOO Racingの新型ル・マン・ハイパーカー『GR010ハイブリッド』。3月に予定されているWEC世界耐久選手権2021年シーズン開幕戦・セブリング1000マイルレースでのデビューが待たれるところだが、ここでは公表されたマシン各部の写真から、その個性を紐解いてみたい。
前回のコクピット編に続くこの第2弾では、マシンの空力面に目を向けてみる。
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TS050ハイブリッドはフォーミュラカーのような細いノーズの両サイドにカウルを伸ばして左右フロントフェンダーとのあいだをつないでいた。この構成が、いかにもプロトタイプカー然とした表情をかたち作っていた。
ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に合致させて設計したGR010ハイブリッドは、デルタウイング状のパネルが左右フロントフェンダーを結んでおり、TS050とは異なるイメージを生んでいる。
フロントのクラッシャブルストラクチャーをうまく隠した処理であり、市販バージョンとの共通性を意識した処理だろう。光源にLEDを使用するヘッドライトのグラフィックは、「親」であるTS050をそのまま受け継いでいる。目元がそっくりで顔が似ているのはそのためだ。
LMP1時代は空力性能を徹底的に追求することができたが、LMH規定ではダウンフォースとドラッグ(空気抵抗)の比で導き出される空力効率(L/D)を定められた範囲に収める必要がある。
開発コストを抑えるのが狙いで、空力パッケージは1仕様に限定。前シーズンまでのようにル・マンに特化したロードラッグ仕様と、それ以外のサーキットに適したハイダウンフォース仕様を用意することはできない。
たとえるなら、昨季までのハイダウンフォース仕様ですべてのコースに対処する格好。性能の絶対値を追うのではなく、以前の記事で村田久武チーム代表が言及しているように、「前のクルマに追い付いたらダウンフォースが抜けることなく一気に抜ける」し、「雨でも強い」特性にするのが空力開発の狙いだ。
GR010ハイブリッドの表情を特徴づけるデルタウイング状のパネルは、フロントカウルと重なるような配置となっており、下から上に空気が抜ける構造になっている。スプリッター(フロントアンダーパネル)の効率を高める狙いだろう。フロントの開口部は大きく、フラップを備えたスプリッターの働きは良さそうだ。
■『フリー』規定で生まれた迫力満点のリヤディフューザー
サイドから眺めるとフロントフェンダーの前面は大きくラウンドしているのが分かる。フロントの大きな開口と合わせ、どちらかというとドラッグ低減よりもダウンフォース増を意識した処理だ。TS050の最終仕様はリヤビューミラーをフロントフェンダーと一体化させていたが、GR010ハイブリッドはコンベンショナルなウイングミラーを採用している。
下部をえぐって空気の流路を確保した処理はTS050のDNAを強く感じる部分だ。そして、その後方に注目である。リヤタイヤの前方に開口部があり、ディフューザー上面に向けて貫通している。
これはTS050の17年仕様で採用し、18-19年仕様まで使い続けた処理だ。サイドポンツーン側面に沿った空気をディフューザー上面開口部に向けて流すことで、ディフューザーの効果を高めるのが狙いだ。
その流れでリヤに目を移すと、ディフューザー上面開口部は大きく、リヤカウルが大きく跳ね上がっていることが推察できる。フロントと同様に、ダウンフォースを意識した処理だ。LMHの技術規則ではディフュザーを「フリー」と規定している。LMP1時代の終盤は最大幅1000㎜、最大高さ150㎜に規定されていた。
GR010ハイブリッドのディフューザーはどう考えてもそれより大きく(とくに高さ方向)、迫力満点である。追い抜き時の後ろ姿で鮮烈な印象を残しそうだ。
TS050はリヤフェンダー後端をストンと裁ち落とした形状としていたが、GR010ハイブリッドはラウンドした形状としている。これも性能ではなく、市販車との共通性を意識した結果だろう。
リヤウイングはシャークフィンで支えず、スワンネック型の2本のステーで支持する構造。エンジンの吸気を取り込むルーフ上のインダクションポッドはTS050より大型だ。ルーフの前端ではなく後端にあるのは、市販車との関連だろうか。空気取り入れの効率を高めるため、ルーフにガイドを設けているのが目を引く。
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