FIAがF1新体制を検討中。競技・技術の総責任者候補に元アルピーヌのブコウスキーが浮上
FIAのF1レースディレクター、マイケル・マシとシングルシーター技術責任者ニコラス・トンバジスは、現在FIAが公開している組織図のなかに名前が掲載されていないが、現在も契約は継続しており、その職務に当たっている。ふたりが更迭されるといううわさもあるものの、FIAはふたりを残留させる形で新たな体制を形成するかもしれない。
2021年12月にFIA会長としてモハメド・ビン・スライエムが新たに就任した後、彼をトップとする新しい組織図が公開された。ジャン・トッド前会長の時代に含まれていたマシとトンバジスの名前が新組織図から消えていたため、彼らが外されたという説が流れ始めた。
一部の人々は、メルセデスが2021年F1最終戦アブダビGPに関する上訴手続きを取りやめることと引き換えに、FIAはふたりを降ろしたのではないかと推測している。トンバジスが外されるといわれる理由は不明だが、マシはアブダビ決勝終盤、セーフティカーの運用をレギュレーションに反する形で行い、結果的にこれがルイス・ハミルトンのタイトル獲得を阻んだ。
いずれにしても、メルセデスとFIAの間にこのような密約がかわされたというのは根拠のないうわさにすぎない。ただ、ビン・スライエム新FIA会長がリーダーシップをとり、自身のビジョンに従って組織変更に取り組んでいるのは事実だ。現時点での組織図では、モータースポーツ事務総長のピーター・バイヤーがモータースポーツにかかわる全部門のトップであり、F1を含むシングルシーター部門の責任者の欄にも単独で名前が記されている。
マシとトンバジスはいずれもFIAとの契約下にあり、2022年シーズンに向けた準備を行っている。2022年には新しいF1技術レギュレーションが導入されるため、これについての各チームからの問い合わせに応じ、疑問に答え、規則の抜け穴を作らないよう努めているのはトンバジスだ。
ビン・スライエムFIA新会長は、各F1チーム代表との面談を開始し、『BBC』は、すでにメルセデスF1チーム代表トト・ウォルフとの会合は済ませたと伝えている。会談の内容は明かされていないが、今後のF1レースのディレクションのあり方について意見がかわされたのではないかと考えられる。
ウォルフは、マシが単独でこれまでどおりのF1レースディレクターの職務をこなしていけるとは考えておらず、レースディレクターをそばで支える存在を加えて体制を強化し、レースディレクターには安全面の問題に集中させるべきだという意見を持っている。それについては他のほとんどのチーム代表も同じ考えだ。
FIAは、2月のF1コミッションにおいてアブダビGPの一件についての詳細な分析を提出し、最終結果は3月18日の世界モータースポーツ評議会において発表するプランを示している。2月初めのF1コミッションで、今後F1レースを取り仕切る新体制についての提案がなされ、すべてが明確にされることが期待されるなか、新たなうわさが浮上した。
それはマシとトンバジスの上司として、先日アルピーヌを離れたばかりのマルチン・ブコウスキーが抜擢されるという説だ。FIAの技術部門責任者としての経験を持つブコウスキーは、アルピーヌでエグゼクティブディレクターを務めていたが、1月13日付けでチームを離れることが発表された。
ビン・スライエムFIA会長は、F1の技術と競技両面を取り仕切ることができる人物を求めており、ブコウスキーに目を向けているのではないかといわれる。
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