阿部・巨人が獲得のオドーアはV奪回の使者になるか MLB通算178本塁打に隠れた“小さくないリスク”とは?
プルヒッターとしてパンチ力は確かなものがあるオドーア。彼が興味深い大物助っ人なのは間違いないが……。(C)Getty Images
捲土重来を期する名門の助っ人補強が注目を集めている。巨人が昨季途中までパドレスに所属していたルーグネッド・オドーアの獲得に合意したと、米紙『New York Post』の敏腕記者ジョン・ヘイマン氏が伝えた。
阿部慎之助監督による新体制で球団創設90周年となる節目の一年を迎えた巨人は、大物助っ人獲得に動き出した。メジャー通算178本塁打の実績を誇るオドーアは、レンジャーズ時代の16年に、自己最多の33本塁打を記録するなど実績は十分。本塁打が出やすい東京ドームだけに、持ち前のパンチ力が活きる可能性はある。
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巨人にとっては待望の長距離砲だが、実は「穴」も少なくない。
確かにメジャーリーグでシーズン30本塁打以上を3度も達成しているポテンシャルは高い。29歳という年齢を考えてももうひと伸びする可能性もある。ただ、一方で近年は4年連続打率.210以下、OPS.700未満と典型的なフリースインガーぶりを露呈。出塁率もMLB通算.288と図抜けているわけではない。
最後に30本塁打を記録した19年も、打率.205、出塁率.283で、178三振と安定感を欠いた感は否めず。さらに同年は走攻守の成績を総合的に評価する指標「WAR」もマイナス0.3とチーム貢献度は極端に低くかった。あくまで数字上だが、オドーアは、年間30本の本塁打を打っても、他のプレーが“足かせ”となるリスクがある。
また、起用法も難題だ。すでに日本の複数媒体はライトでの起用を指摘しているが、オドーアはセカンドが本職。外野での守備機会はメジャーとマイナーの通算1520試合でもわずか9試合しかないうえに、守備力が抜群に優れているわけではない。DH制のないセ・リーグにおいてはこちらも不安材料と言えよう。
もっとも、今オフに中田翔が退団した巨人にあっては、坂本勇人、岡本和真を除いて、中軸を担える長距離砲が不在。メジャーリーグでも屈指のパンチ力を秘めるオドーアがハマれば、一気に打線に厚みが産まれるのは確かだ。そういう意味では、攻守におけるプレーの粗さに多少は目をつぶっても、獲得のメリットがゼロというわけではない。
近年は大物助っ人獲得が功を奏していない印象もある巨人。果たして、リスクを承知で獲りに動いたオドーアはV奪回の使者となり得るか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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