元王者ローブ、初日首位のオジェを逆転。デイ2もセバスチャン対決続く/WRC第1戦モンテカルロ
WRC世界ラリー選手権開幕戦モンテカルロは1月21日、デイ2のSS3〜8が行われ、前日の競技初日を総合2番手で終えたセバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)が、4本のSSでベストタイムをマークする走りで総合首位に躍り出た。2022年シーズンも最高峰クラスにフル参戦している勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)はひとつ順位を上げ、総合8番手につけている。
モナコを基点に開催されているラリー・モンテカルロ。その競技2日目は、モナコの北西部に広がるフランスの山岳地帯で3本のステージを各2回走行する予定が組まれ、計6本のSSの合計距離は97.86kmと今大会最長となった。
初日をトップから6.7秒差の2番手で終えた“レジェンド”ことローブは、朝のSS3で今大会初のベストタイムを記録すると、続くSS4、さらにSS5でも勢いそのままに連続トップタイムをマーク。午前中のループを終えた時点で、前日の首位セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)を逆転し総合首位に立った。
元選手権9連覇の偉業を誇るレジェンドの快進撃は午後のSS6でも継続された。ローブは4連続ステージウインを飾り、2番手に順位を上げたエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)に14.5秒のリードを築いてみせる。
1日の終盤となったSS7とSS8では、プーマ・ラリー1にメカニカルトラブルが生じたことからタイムを失ってしまうが、それでも両ステージでトップ4タイムを記録し総合首位の座を守っている。
「最初の4つのステージは本当に素晴らしかった」と自画自賛のローブ。終盤の失速については「僕たちのクルマはハイブリッドに少し問題を抱えていた」と説明している。
初日の2SSを制し好スタートを切ったオジエだったが、デイ2は総合2番手に後退した。彼は午前中、凍結した路面に対して慎重にアプローチし、一時はローブだけでなくチームメイトのエバンスにも交わされ3番手となった。しかし、午後のループでは挽回をみせ、SS7で僚友を再逆転し2番手に浮上。SS8では今大会3度目となるベストタイムをマークした。ローブとのギャップは9.9秒だ。
チームメイトと2番手争いを繰り広げたエバンスは、1日をとおして安定した走りを見せていたが、最後のSS8では慎重になりすぎたことが大幅なタイムロスにつながった。この影響でオジエとの間には12.1秒のギャップができている。
■Mスポーツのフルモーが大クラッシュ
4番手につけたのは、ヒュンダイのティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 Nラリー1)だ。6番手でデイ2を迎えた彼は激しい4番手争いのなか、午前中のループを終えた時点で4番手に浮上した。クルマのバランスの悪さを「悪魔」と表現したベルギー人は、競技2日目終了時点でトップから47.8秒遅れている。
そんな彼のチームメイトであるオット・タナク(ヒュンダイi20 Nラリー1)は、SS8でクレイグ・ブリーン(フォード・プーマ・ラリー1)を2.5秒差で逆転しトップ5入りを果たした。ヌービルとのギャップは8.9秒だ。
ハイブリッドシステムのトラブルを抱え総合7番手となったガス・グリーンスミス(フォード・プーマ・ラリー1)にとって、この日は特別な1日となった。今季、フル参戦2年目を迎えた彼は、SS7でオジェとローブのセバスチャンコンビを抑えてステージベストタイムを記録。自身初となるステージウインを飾った。
一方、チームメイトのアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)はラリー1規定採用後のリタイア第1号となってしまった。フランスの新星はSS3の12km地点で左コーナーを曲がりきれず、ハイスピードのまま土手に激突。その勢いでクルマは崖下に転げ落ち、無残な姿となった。彼とコドライバーのアレックス・コリアに怪我がなかったのが幸いだ。
TOYOTA GAZOO Racing WRT・ネクストジェネレーションから今季のWRCにフル参戦する勝田は、前日からひとつポジションアップの総合8番手で2日目のラリーを無事に終えた。総合9番手はカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)、オリバー・ソルベルグ(ヒュンダイi20 Nラリー1)が続くトップ10オーダーとなっている。
22日(土)のデイ3は、競技2日目よりもさらに遠く西に離れたフランスの山岳地帯で合計5本のSS(SS9〜13)を走行する予定だ。このうちSS11と再走ステージのSS13では路面の積雪、または凍結が予想されている。なお、デイ2に続きデイ3も日中のフルサービスは設定されず、タイヤフィッティングゾーンでの作業のみ許可されている。そんな競技3日目に行われるSSの合計距離は92.46km、リエゾン(移動区間)を含む1日の総走行距離は592.85kmだ。
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