豊田章男オーナー「優勝に届かなかったけど、手応えがありそうでよかった」WRC開幕戦後コメント全文
1月20日から23日にかけて、モナコを中心にWRC世界ラリー選手権開幕戦モンテカルロが開催され、2021年王者として新シーズンに臨んだTOYOTA GAZOO Racing WRTは、セバスチャン・オジエ/ベンジャミン・ヴェイラ組が『トヨタGRヤリス・ラリー1』のデビュー戦で2位表彰台を獲得した。また、チームメイトのエルフィン・エバンスとカッレ・ロバンペラ、TOYOTA GAZOO Racing WRT・ネクストジェネレーションから参戦の勝田貴元を含めた全4台のGRヤリスが完走を果たし、各々シリーズポイントを獲得している。この結果を受け、チームオーナーである豊田章男氏からコメントが発表された。
2022年のラリー・モンテカルロは、シリーズが新しい車両規定“ラリー1”レギュレーションを採用して迎えた最初のイベントとなり、トヨタとライバルチームのヒュンダイ、Mスポーツ・フォードがプラグイン・ハイブリッドシステムを搭載した新型車両を投入して挑む最初のラリーとなった。
昨シーズン、ドライバー/コドライバー/マニュファクチャラーの3冠を達成したチームは、引き続きヤリ-マティ・ラトバラ代表の指揮の下、各選手権の連覇を狙い『トヨタGRヤリス・ラリー1』のデビュー戦に臨んだ。そのなかで、2021年限りでフル参戦ドライバーから退いたオジエが初日からトップ争いを繰り広げ、最終日の残り2SSまで総合首位に立っていた。
しかし、最後から2番目のステージとなったSS16でタイヤのパンクに見舞われ、週末をとおして好バトルを繰り広げてきたセバスチャン・ローブ(フォード・プーマ・ラリー1)にポジションを奪われてしまう。最終ステージでの逆転勝利に懸けたオジエだったが、ジャンプスタートによる10秒ペナルティもあり同郷の“レジェンド”に一歩及ばず。それでも新車のデビュー戦で総合2位表彰台を獲得してみせた。
豊田氏はこの結果に対し、「優勝に届かなかったけど、新たな相棒のベンジャミンとのスタートは手応えがありそうでよかった」と新しいコドライバーとの初陣で2位を獲得した8冠王者の活躍を労った。また、新型ハイブリッドラリーカーを“ちょっと気難しい奴”と表現し、そんなニューマシンを相手にしても「誰とでもすぐに仲良くなれるセブを尊敬します」と敬意を評している。
豊田チームオーナーのコメント全文は以下のとおりだ。
■サービスから静かに出ていくラリーカーには、少し物足りなさを感じます(笑)
* * * * *
セブ、惜しくも9度目のラリー・モンテカルロ優勝に届かなかったけど、新たな相棒のベンジャミンとのスタートは手応えがありそうでよかったです。我々が準備した新たな相棒“GRヤリス・ラリー1”とのドライブもフィーリングは悪くなさそうでした。持続可能なラリーを目指す新レギュレーションにより電動化された新たな相棒は「力は強いけど扱いには繊細な配慮が必要……」という感じだったかと思います。そんな“ちょっと気難しい奴”とも、セブはすぐに仲良くなってくれていたみたいでした。誰とでもすぐに仲良くなれるセブを尊敬します。
また、歴史と伝統ある世界ラリー選手権が、電動化・新燃料というカーボンニュートラルの実現に向けて進みだしたこと、FIAのリーダーシップ、準備に携わられたプロモーターなど関係されたすべての皆さまに敬意を表します。他のドライバーたちも新しい相棒との相性に少し苦労していましたが、デイ3ではすべてのSSで誰かがベストタイムを出してくれていました。毎戦毎戦、みんなとGRヤリス・ラリー1が、どれだけ仲良くなっていくか……今シーズンのWRCは新しい楽しみが増えました。ただ、サービスから静かに出ていくラリーカーの姿には、まだ、少し物足りなさを感じてしまいます(笑)。
今までのベース車はヤリスでした。今年からはGRヤリスです。「モータースポーツで勝つための市販車をつくろう」そう言いながら、久々に自分たちの手でつくることができたスポーツカーです。今回、そのクルマがやっと本当の戦いの道を走り出しました。本当に嬉しいです。一緒にGRヤリスをつくってきたみんなにもお礼を言いたいと思います。そのGRヤリスから“GRヤリス・ラリー1”をつくったメンバーも相当の苦労をしたと聞いています。ヤリ-マティの下で心をひとつに頑張ってくれたフィンランドのみんな、そしてケルンからもサポートしてくれたメンバーにも、心からのお礼を言わないといけません。本当にありがとう! シーズンははじまったばかりですが、これからもよろしくお願いします。
ファンの皆さま、今シーズンもTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamを応援いただきありがとうございます。引き続き、応援よろしくお願いいたします。
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男
追伸
エルフィンと貴元がコースオフをした時、崖から一緒にクルマを引き上げてくれた沿道のファンの皆さま。SNSでその様子をみました。皆さまの力で2台は走り続けることができました。ありがとうございました!
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