マツダがみせた奇跡。3周遅れから挽回し、2年連続となる表彰台獲得/デイトナ24時間
1月30〜31日、世界三大耐久レースのひとつに数えれられるデイトナ24時間レースがアメリカ、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで行われ、総合優勝を目指してレースに挑んだマツダモータースポーツの55号車マツダRT24-P(オリバー・ジャービス/ハリー・ティンクネル/ジョナサン・ボマリート組)は、数々の試練を受けながら最終的に総合3位でフィニッシュした。
2021年シーズンも引き続きIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の最高峰カテゴリーであるDPiクラスに参戦しているマツダモータースポーツ。今季は体制の縮小により1台でのエントリーとなっており、55号車がデイトナ初制覇に挑んだ。
その55号車マツダは前周の“ロア(咆哮の意/IMSA公式テスト)”のなかで行われ予選レースで2番手となり、決勝スタートグリッドのフロントロウを獲得した。
迎えた30日の決勝、15時40分のローリングスタートに向けたフォーメーションラップが開始されたものの、あろうことかジャービスが乗り込んだマシンが動き出せない。ギアセレクターが正常に作動しなかったのだ。システムのリセットによって症状は回復。2番手グリッドから一転して最後尾スタートとなったものの、なんとか最悪の事態は回避された。
また、スタート直前にGTクラスで混乱があり、スタート10分後に早くもフルコースコーションが導入されたことで、55号車は7番手でDPiクラスの隊列に追いつくことができた。
その後、最初のルーティンピット時にピットレーンでの速度違反をとられドライブスルーペナルティを受けた55号車だったが、スタートから2時間後には総合5番手にポジションアップを果たしている。
しかし、深夜2時過ぎにテールランプが切れかかっていることを指摘され、ピットでの修復を余儀なくされる。この作業で6分を失ったマツダはトップグループから3周遅れとなってしまった。
この遅れをとり戻すべくペースを上げた55号車は明け方、ティクネルのスティントで2周差にギャップを縮めると、ピットイン時にフロントブレーキのアッセンブリー交換を行い、さらに速いペースでライバルたちとの差を縮めていく。
10時過ぎ、ポールシッターの31号車キャデラックDPi-V.Rがギアボックストラブルのため脱落。これでふたたび5番手となったマツダはコーションの度に1周、また1周とギャップを縮め、ついにリードラップへの復帰を果たす。
■ジャービス「優勝争いに戻るため、チームは懸命な努力をしてくれた」
31日の正午を過ぎ、レースは最終盤へ。ボマリートからアンカーを務めるジャービスへとバトンをつないだ55号車は、22時間を迎える直前のタイミングでのリスタートで4番手から2番手にジャンプアップ。ジャービスは首位を走る10号車アキュラARX-05を捉えにかかる。
その後、最後のピットストップを終えた時点で3番手となったマツダだったが、先行していた01号車キャデラックDPi-V.Rが残り8分でパンクに見舞われ、優勝争いから脱落したことでふたたび2番手に。
マツダRT24-Pは再度トップを追いかける立場となるも、反対に後続の小林可夢偉駆る48号車キャデラックDPi-V.Rに交わされ3番手に後退してしまう。最終的に55号車を含むトップ3はそのままの順位でフィニッシュ。2020年は首位と65秒差の2位となったマツダは今回、優勝車からわずか6.5秒差の3位で長丁場のレースを終えることとなった。
「マツダにとって力強い(シーズンの)スタートになった」と語るのは、ドラマチックなレースをふたりのチームメイトとともに戦い抜いたティンクネルだ。
「今回の24時間レースは浮き沈みが激しかった。僕たちはレースを通じて多くのポイントで最速だったため、優勝できなかったのは残念だ」
「だが、我々はすでに目標を次に移している。それはセブリングで昨年11月に飾った勝利を守ることだ」
スタートならびにフィニッシュドライバーを務めたジャービスは「僕たちは最後には勝利があるのではないかと考えていた」とコメント。
「チームはレース後半に3周差を挽回するために信じられないほどの努力をし、僕たちを優勝争いの場に戻してくれた」
惜しくも悲願のデイトナ初勝利とはならなかったジャービスだが、彼もまたすでに次のセブリングを見据えている。
「僕たちの焦点はいま、セブリングでの勝利にシフトしているんだ」
そのセブリングでのレースは既報のとおり、併催予定だったWEC世界耐久選手権の開幕戦セブリング1000マイル(8時間レース)の中止が発表されているものの、メインイベントであるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第2戦セブリング12時間は現在のところ、予定どおり3月17〜20日に開催される予定だ。
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