ポッツォ体制で16人目の指揮官…ワトフォードのホジソン新監督について知っておきたい7つのこと
サッカーキング2022年2月4日(金)16時55分
ワトフォードのホジソン新監督 [写真]=Getty Images
プレミアリーグで19位に沈むワトフォードは先月24日、クラウディオ・ラニエリ前監督を解任。翌25日にロイ・ホジソン氏を新監督に招へいした。
2012年にポッツォ家に買収されて以降、ワトフォードを率いる16人目の監督。御年74歳のホジソン新監督は、昨季限りでクリスタル・パレスの監督を退任して以降、現場から離れていた。
初陣は5日に適地で行われるバーンリー戦。残留争いのライバルから勝ち点を奪うことはできるだろうか。監督歴46年にして新たなチャレンジに臨むホジソン新監督について、知っておきたい7つのトピックを紹介する。
■プレミアの最高齢監督記録を自ら更新
5年前、プレミアリーグにおける最高齢での監督就任記録を打ち立てたのは、ホジソン監督自身だった。2017年9月に「70歳」でクリスタル・パレスの監督に任命されたホジソン監督。2015年に69歳でチェルシーの監督に就任したフース・ヒディンク氏を抜いて、最高齢でプレミアリーグの監督の座に就いた人物となった。今回、自らの記録を更新したホジソン監督。「74歳」という年齢は、就任時だけでなく、プレミアリーグで指揮を執った監督としても最高齢記録になるという。
なお、70歳を過ぎてから同リーグで監督を務めたのは、ホジソン氏の他にはブライアン・ロブソン氏(71歳、ニューカッスル)、アレックス・ファーガソン氏(71歳、マンチェスター・U)、ニール・ウォーノック氏(70歳、カーディフ)、そして先日解任されたラニエリ氏(70歳、ワトフォード)の4人だけとなっている。
■引退宣言をしなかった理由
引退宣言をしなかったのは正解だったようだ。昨季の終盤、同シーズン限りで4年近く率いたクリスタル・パレスを退任すると発表したホジソン監督。年齢を考慮すれば、それは勇退を意味すると多くの人が予想したはずだ。生まれ故郷であるクロイドン(クリスタル・パレスの本拠地)で惜しまれつつ第一線から身を引けば、完璧なキャリアの締め括りになったはずだ。しかしホジソン監督は、「多くの人が派手に引退して、極めて短期間で再び表に出てくるのを見てきた。そのようなことはしたくない」と引退宣言を拒否。その選択は間違っていなかった。1年も経たずしてプレミアリーグのテクニカルエリアに戻って来ることになったのだから。ワトフォードからの誘いは「寝耳に水」だったというが、「このチャレンジを引き受ける準備があると強く感じた」と力強く語ったホジソン監督。百戦錬磨の老将の現場復帰に、残留争いのライバルたちは戦々恐々としているかもしれない。
■ワトフォードは17つ目のクラブ
1976年にスウェーデンのハルムスタッズで監督業をスタートさせたホジソン監督にとって、ワトフォードは監督を務める17つ目のクラブとなる。これまで欧州6カ国の計16クラブで指揮を執り、スイス、UAE、フィンランド、イングランドの代表チームも率いた経験を持つ。プレミアリーグでは、ブラックバーン、フルアム、リヴァプール、ウェスト・ブロムウィッチ、クリスタル・パレスに続いて6クラブ目。フルアム時代の2009-10シーズンにはヨーロッパリーグ(EL)で大躍進。決勝で延長の末にアトレティコ・マドリードに敗れたものの、就任時には残留争いに苦しんでいたチームをELファイナリストに育てたホジソン監督の手腕は高く評価された。
なお、プレミアリーグで6つのクラブを率いるのは、サム・アラダイス氏、マーク・ヒューズ氏に続いて3人目とのこと。5日バーンリー戦が同リーグでは365試合目、キャリア通算では1214試合目の指揮となるホジソン監督。残留争いにおいても、サポーターの心を掴むためにも、大きな意味を持つ試合となりそうだ。
■残留請負人
ホジソン監督に課せられた使命は当然のことながら残留だ。監督歴46年のホジソン監督は、残留争いの経験も豊富。2007-08シーズンの途中で引き継いだフルアムでは、降格圏に沈んでいたチームを見事に残留に導いた。最後までスリリングな展開が続いた同シーズンは、最終的に18位レディングと勝ち点で並んだものの、得失点差が運命を分けた。さらに2010-11シーズンには就任時に17位だったウェスト・ブロムウィッチを最終的に11位まで引っ張り上げたホジソン監督。2017年にはプレミアリーグで4連敗スタートを切ったフランク・デ・ブール氏の後任として、クリスタル・パレスの監督に就任。見事にチームを立て直し、最終的に11位でフィニッシュを飾った。今回、降格を免れることができれば、数百万ポンドのボーナスが約束されているとも報じられている。“残留請負人”は今回も任務を全うすることが出来るだろうか。
■ポッツォ家との確執
ホジソン監督がワトフォードのオーナーであるポッツォ家と共に仕事をするのはこれが初めてではない。2001年の夏に同ファミリーが所有するウディネーゼの指揮官に就任したホジソン監督。同年12月、セリエAで9位につけ、コッパ・イタリアでもベスト8に進んでいたにもかかわらず、あるインタビューがきっかけで契約を打ち切られることになる。メディアに引用された問題発言は「このレベルのフットボール界に戻って来ることが出来てとても嬉しいが、もっと良いクラブを選ぶこともできた。本当に奇妙なクラブだ」というもの。ホジソン監督は記憶にないと弁解したが、激怒したジャンパオロ・ポッツォ氏は即座に監督交代を発表した。
今回の監督就任後、ポッツォ親子との関係を問われ、「あの時から20年以上も時が経っているし、(ワトフォードのオーナー)ジーノ(・ポッツォ)とは何度も話をしてきた。彼の父ともね」と絶縁していたわけではなかったと明かしたホジソン監督。「もう昔の話。彼らと再び一緒に仕事をするという誘いを受けるのに影響は全くなかった」と語っている。20年以上ぶりの復縁はハッピーエンドを迎えることができるだろうか。
■マスコットとの不仲説
ワトフォードにはもう一人(?)、ホジソン監督との確執が心配される人物がいる。スズメバチをモチーフとしたクラブの名物マスコット、“ハリー・ザ・ホーネット”だ。ピッチサイドに陣取り、レフェリーへの抗議やゴールセレブレーションにも参加する“ちょい悪”系のマスコット。2016年12月のクリスタル・パレス戦では、同クラブのFWウィルフレッド・ザハがシミュレーションでイエローカードを提示された際に、そのシーンを再現するパフォーマンスを披露。激怒したサム・アラダイス当時監督が、イングランド・サッカー協会(FA)に処分を求める騒ぎとなった。その後、クリスタル・パレスを率いたホジソン監督。ワトフォードとの対戦前に、ハリーの行為を「リスペクトに欠ける振舞い」だった非難し、「もしもクリスタル・パレスのマスコットが挑発行為をしていたら私は止めるだろう」とけん制していた。
しかし先日、ハリーについて問われると「なぜそんな質問をされるのか分からない」と受け流したホジソン監督。「サム・アラダイスとハリー・ザ・ホーネットが喧嘩をしたのであれば仲直りしたことを願うよ」とジョークで返したところを見ると、わだかまりはないようだ。
■アシスタントコーチは暗黒時代の監督
ホジソン監督を支えるアシスタントコーチには、レイ・ルウィントン氏が就任した。2007年にフルアムで初めてホジソン監督の補佐を務めたルウィントン氏。酸いも甘いも噛み分けてきたベテラン監督から信頼を勝ち取り、その後もイングランド代表とクリスタル・パレスでも同監督の右腕を務めてきた人物だ。ホジソン監督のアシスタントを務める前は、自身が監督としてクラブを率い、最も長く指揮を執ったのがワトフォードだった。エルトン・ジョン氏がオーナーの座を離れた2002年から約3年間、当時2部で戦っていたワトフォードで監督を務め、厳しい予算内でのチーム編成を強いられながら、FAカップとリーグ・カップで1度ずつベスト4を果たした実績を持つ。元イングランド代表ウインガー、アシュリー・ヤングをプロデビューさせたのも同氏だった。ワトフォードの暗黒時代を知る名アシスタントコーチの存在は、チームにとって重要な“補強”となるはずだ。
(記事/Footmedia)
2012年にポッツォ家に買収されて以降、ワトフォードを率いる16人目の監督。御年74歳のホジソン新監督は、昨季限りでクリスタル・パレスの監督を退任して以降、現場から離れていた。
初陣は5日に適地で行われるバーンリー戦。残留争いのライバルから勝ち点を奪うことはできるだろうか。監督歴46年にして新たなチャレンジに臨むホジソン新監督について、知っておきたい7つのトピックを紹介する。
■プレミアの最高齢監督記録を自ら更新
5年前、プレミアリーグにおける最高齢での監督就任記録を打ち立てたのは、ホジソン監督自身だった。2017年9月に「70歳」でクリスタル・パレスの監督に任命されたホジソン監督。2015年に69歳でチェルシーの監督に就任したフース・ヒディンク氏を抜いて、最高齢でプレミアリーグの監督の座に就いた人物となった。今回、自らの記録を更新したホジソン監督。「74歳」という年齢は、就任時だけでなく、プレミアリーグで指揮を執った監督としても最高齢記録になるという。
なお、70歳を過ぎてから同リーグで監督を務めたのは、ホジソン氏の他にはブライアン・ロブソン氏(71歳、ニューカッスル)、アレックス・ファーガソン氏(71歳、マンチェスター・U)、ニール・ウォーノック氏(70歳、カーディフ)、そして先日解任されたラニエリ氏(70歳、ワトフォード)の4人だけとなっている。
■引退宣言をしなかった理由
引退宣言をしなかったのは正解だったようだ。昨季の終盤、同シーズン限りで4年近く率いたクリスタル・パレスを退任すると発表したホジソン監督。年齢を考慮すれば、それは勇退を意味すると多くの人が予想したはずだ。生まれ故郷であるクロイドン(クリスタル・パレスの本拠地)で惜しまれつつ第一線から身を引けば、完璧なキャリアの締め括りになったはずだ。しかしホジソン監督は、「多くの人が派手に引退して、極めて短期間で再び表に出てくるのを見てきた。そのようなことはしたくない」と引退宣言を拒否。その選択は間違っていなかった。1年も経たずしてプレミアリーグのテクニカルエリアに戻って来ることになったのだから。ワトフォードからの誘いは「寝耳に水」だったというが、「このチャレンジを引き受ける準備があると強く感じた」と力強く語ったホジソン監督。百戦錬磨の老将の現場復帰に、残留争いのライバルたちは戦々恐々としているかもしれない。
■ワトフォードは17つ目のクラブ
1976年にスウェーデンのハルムスタッズで監督業をスタートさせたホジソン監督にとって、ワトフォードは監督を務める17つ目のクラブとなる。これまで欧州6カ国の計16クラブで指揮を執り、スイス、UAE、フィンランド、イングランドの代表チームも率いた経験を持つ。プレミアリーグでは、ブラックバーン、フルアム、リヴァプール、ウェスト・ブロムウィッチ、クリスタル・パレスに続いて6クラブ目。フルアム時代の2009-10シーズンにはヨーロッパリーグ(EL)で大躍進。決勝で延長の末にアトレティコ・マドリードに敗れたものの、就任時には残留争いに苦しんでいたチームをELファイナリストに育てたホジソン監督の手腕は高く評価された。
なお、プレミアリーグで6つのクラブを率いるのは、サム・アラダイス氏、マーク・ヒューズ氏に続いて3人目とのこと。5日バーンリー戦が同リーグでは365試合目、キャリア通算では1214試合目の指揮となるホジソン監督。残留争いにおいても、サポーターの心を掴むためにも、大きな意味を持つ試合となりそうだ。
■残留請負人
ホジソン監督に課せられた使命は当然のことながら残留だ。監督歴46年のホジソン監督は、残留争いの経験も豊富。2007-08シーズンの途中で引き継いだフルアムでは、降格圏に沈んでいたチームを見事に残留に導いた。最後までスリリングな展開が続いた同シーズンは、最終的に18位レディングと勝ち点で並んだものの、得失点差が運命を分けた。さらに2010-11シーズンには就任時に17位だったウェスト・ブロムウィッチを最終的に11位まで引っ張り上げたホジソン監督。2017年にはプレミアリーグで4連敗スタートを切ったフランク・デ・ブール氏の後任として、クリスタル・パレスの監督に就任。見事にチームを立て直し、最終的に11位でフィニッシュを飾った。今回、降格を免れることができれば、数百万ポンドのボーナスが約束されているとも報じられている。“残留請負人”は今回も任務を全うすることが出来るだろうか。
■ポッツォ家との確執
ホジソン監督がワトフォードのオーナーであるポッツォ家と共に仕事をするのはこれが初めてではない。2001年の夏に同ファミリーが所有するウディネーゼの指揮官に就任したホジソン監督。同年12月、セリエAで9位につけ、コッパ・イタリアでもベスト8に進んでいたにもかかわらず、あるインタビューがきっかけで契約を打ち切られることになる。メディアに引用された問題発言は「このレベルのフットボール界に戻って来ることが出来てとても嬉しいが、もっと良いクラブを選ぶこともできた。本当に奇妙なクラブだ」というもの。ホジソン監督は記憶にないと弁解したが、激怒したジャンパオロ・ポッツォ氏は即座に監督交代を発表した。
今回の監督就任後、ポッツォ親子との関係を問われ、「あの時から20年以上も時が経っているし、(ワトフォードのオーナー)ジーノ(・ポッツォ)とは何度も話をしてきた。彼の父ともね」と絶縁していたわけではなかったと明かしたホジソン監督。「もう昔の話。彼らと再び一緒に仕事をするという誘いを受けるのに影響は全くなかった」と語っている。20年以上ぶりの復縁はハッピーエンドを迎えることができるだろうか。
■マスコットとの不仲説
ワトフォードにはもう一人(?)、ホジソン監督との確執が心配される人物がいる。スズメバチをモチーフとしたクラブの名物マスコット、“ハリー・ザ・ホーネット”だ。ピッチサイドに陣取り、レフェリーへの抗議やゴールセレブレーションにも参加する“ちょい悪”系のマスコット。2016年12月のクリスタル・パレス戦では、同クラブのFWウィルフレッド・ザハがシミュレーションでイエローカードを提示された際に、そのシーンを再現するパフォーマンスを披露。激怒したサム・アラダイス当時監督が、イングランド・サッカー協会(FA)に処分を求める騒ぎとなった。その後、クリスタル・パレスを率いたホジソン監督。ワトフォードとの対戦前に、ハリーの行為を「リスペクトに欠ける振舞い」だった非難し、「もしもクリスタル・パレスのマスコットが挑発行為をしていたら私は止めるだろう」とけん制していた。
しかし先日、ハリーについて問われると「なぜそんな質問をされるのか分からない」と受け流したホジソン監督。「サム・アラダイスとハリー・ザ・ホーネットが喧嘩をしたのであれば仲直りしたことを願うよ」とジョークで返したところを見ると、わだかまりはないようだ。
■アシスタントコーチは暗黒時代の監督
ホジソン監督を支えるアシスタントコーチには、レイ・ルウィントン氏が就任した。2007年にフルアムで初めてホジソン監督の補佐を務めたルウィントン氏。酸いも甘いも噛み分けてきたベテラン監督から信頼を勝ち取り、その後もイングランド代表とクリスタル・パレスでも同監督の右腕を務めてきた人物だ。ホジソン監督のアシスタントを務める前は、自身が監督としてクラブを率い、最も長く指揮を執ったのがワトフォードだった。エルトン・ジョン氏がオーナーの座を離れた2002年から約3年間、当時2部で戦っていたワトフォードで監督を務め、厳しい予算内でのチーム編成を強いられながら、FAカップとリーグ・カップで1度ずつベスト4を果たした実績を持つ。元イングランド代表ウインガー、アシュリー・ヤングをプロデビューさせたのも同氏だった。ワトフォードの暗黒時代を知る名アシスタントコーチの存在は、チームにとって重要な“補強”となるはずだ。
(記事/Footmedia)
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