プロスト、セナのドキュメンタリー映画を“偽物”と批判「素晴らしいストーリーを伝えていない」
4度のF1世界チャンピオンであるアラン・プロストは、F1の伝説であるアイルトン・セナの生涯と死を描いた2010年のドキュメンタリー映画は“偽物”だと述べている。
2010年に公開されたドキュメンタリー映画『Senna(邦題:アイルトン・セナ〜音速の彼方へ)』に関し、プロストはこの映画のプロデューサーたちと意見の不一致があったことを明かした。プロストは、この映画はふたりのドライバーの真の関係を十分に描くことができておらず、素晴らしいストーリーを伝える機会を逸したと主張している。
さらにプロストは、自身がふたりの有名な確執において“バッドボーイ”の役どころを割り当てられたと考えている。
「出来上がった映画を不愉快だと思った」とプロストは、今月、パリのオリンピア劇場で行われたコンファレンスの壇上で話した。
「本当なら、彼らは素晴らしいストーリーを伝えることができたはずだ。なぜなら我々がレースをしていた時期にも、私が引退した後にも、素晴らしい出来事があったからだ」
「この映画では、彼の最後のメッセージ『アラン、君がいなくて寂しい』は嘘だとされているが、私はあの映画が偽物だと思っている」とプロストは語った。
その言葉は、1994年のサンマリノグランプリで、解説を務めていたプロストに対して、セナが無線で送ったメッセージだ。このグランプリで、セナはアクシデントに遭い、命を落とした。
しかし、この無線の部分は映画には含まれておらず、プロストはプロデューサーたちが意図的に省略したものと受け止めている。
「残念なことだ。なぜならこのスポーツの歴史上、このようなストーリーはそう多くは見られないからだ」とプロストは語った。
「これはスポーツのストーリーというだけでなく、人間のストーリーでもあったのだ」
プロストとセナは1993年シーズン最終戦で和解した。オーストラリアGPのレース後に、セナがプロストを表彰台の最上段に引き上げたことは有名だ。
「あの表彰台でのことがあった後、アイルトンは私と再び話すようになった」とプロストは振り返った。
「彼は週に1、2回電話をかけてきたものだった。特に用事がないときもあれば、アドバイスを求めることもあった。それはイモラまで続いた」
「我々は親しい友人になった。実現するとは思っていなかったような、新しい年月の始まりだった。私にはそういう素晴らしい思い出があるのだ」
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