WRC:トヨタ率いるトミ・マキネン、第2戦制したタナクの走りは「20年前の自分を見ているよう」
2月14〜17日に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデン。ワークスチームとして3台のトヨタ・ヤリスWRCを送り込んだTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナクが53.7秒の大量リードでシーズン初優勝を挙げた。またシリーズランキングでは、今回の勝利でドライバー、マニュファクチャラーともにポイントリーダーにつけている。
北欧スウェーデンを中心に隣国ノルウェーも行程に組み込む形で争われるラリー・スウェーデン。雪と氷に覆われた道を舞台に争われるシリーズ唯一のフルスノーイベントだ。
16日に行われた競技3日目を終えた時点で54.5秒リードでトップにつけたタナクは、充分なマージンをもとに競技最終日序盤をリスクを避けた走りで乗り切り、SS17でステージ5位、SS18でステージ9位に入る。
総合2番手に対するアドバンテージを48.8秒として迎えた最終SS19は、ステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージということもあり、タナクは前の2ステージとは一転した全開アタックを披露する。
結果、タナクはステージ2位に入ったティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)を3.5秒引き離す圧倒ぶりでステージ優勝。最終的に53.7秒までリードを広げて今シーズン初、キャリア通算7勝目を手にするとともに、自身初のラリー・スウェーデン制覇を成し遂げた。
トヨタにとっても2019年シーズン初勝利となり、2017年のシリーズ復帰から通算8勝目。ラリー・スウェーデンは復帰初年度の2017年以来の制覇となった。
総合6番手で競技最終日に臨んだクリス・ミークは、後方から迫るセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)を抑えて総合6位入賞を果たした。
今大会でWRC史上最多となる通算197戦目を迎えていたラトバラは競技2日目にデイリタイアして上位争いからは脱落。最終リザルトこそ総合21位だったものの、SS9、17でステージ優勝を飾るなど速さをみせた。
ランキングでは、優勝+パワーステージ制覇を遂げたタナクは47ポイントで自身初のポイントリーダーに浮上。ランキング2位のヌービルとは7ポイント差をつけている。
各チームが走らせるマシンのうち、上位2台の獲得ポイントで争われるマニュファクチャラーズランキングでは、1位と6位に入ったトヨタが33ポイントを上積みして58ポイント。ランキング2位のヒュンダイに対し1ポイント差でトップに立った。
そのほか、この第2戦にプライベーターとして参戦し、4台目のトヨタ・ヤリスWRCを走らせたマーカス・グロンホルムは総合38位で完走を果たしている。
■トミ・マキネン「タナクは今、本当に強いドライバー」
チームの指揮を執るトミ・マキネンは、「今シーズン2戦目で優勝し、両選手権をリードするなど素晴らしいラリーになった」と週末をふり返る。
「オットは週末誰よりも速く、このような難しいコンディションでどのように走ったら良いのかを皆に示していた。彼は今、本当に強いドライバーだと思うし、タイトルを取るために集中していた20年前の自分を見ているようだ」
「クリスとヤリ-マティにとっては困難な週末になったが、彼らもまた我々のクルマのスピードと、信頼性の高さを証明してくれたと思う」
ランキングトップに立ったタナクは「今日はパワーステージのためにタイヤを温存し、パワーステージでは思い切りプッシュした。自分でも良い走りができたと思うし、すべてがうまく進んだからリラックスしてドライブすることができた」と語っている。
トヨタ移籍2戦目も入賞を果たしたミークは「今週末の暖かな気候により、路面は僕がテストで走った時と大きく異なり、そのため力を充分に発揮できなかった。それでも、最後はチームのためにポイントを獲得できたので良かったと思う」とコメント。
悔しい結果に終わったラトバラは「気持ちはすでに切り替わり、今はもう次のラリー・メキシコを楽しみにしている」と第3戦での復調を誓った。
2019年シーズンの第3戦は3月7〜10日に行われるラリー・メキシコ。第2戦とは一転し、灼熱の高地であるメキシコを舞台に争われるグラベル(未舗装路)イベントだ。
ラリー・メキシコは最高地点の標高が2737メートルに到達するなど、空気の薄さが特徴で、通常大会よりエンジン出力が20%ほど低下すると言われている。1戦で、空気が薄いことからエンジン出力が低下する。さらにこの時期のメキシコは気温30度前後の暑さとなることから熱害対策が重要となる1戦でもある。
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