平野美宇らで話題の“暗黙ルール”に変化? 中国選手が語った敬意の在り方「生死を懸けた戦いをしている」【卓球】
日中で話題となった卓球界の不文律は時代とともに変化しているようだ。(C)Getty Images
卓球界における“不文律”が話題となっている。
キッカケとなったのは、現地時間2月18日、韓国・釜山で開催されている世界選手権団体戦の女子1次リーグにおける日本の圧勝劇だった。
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この日に南アフリカと対峙した日本は、第1試合に登場した木原美悠(木下グループ)、第2試合の平野美宇(木下グループ)がともに第1ゲームを11-0で完封。第3試合の早田ひなは完封勝ちとはいかなかったが、セットカウント3-0でストレート勝ちを収めた。
地力の差を考えれば、必然の快勝。しかし、ここで“ある問題”がクローズアップされた。それは木原と平野が披露した1点も許さない11-0の完封だ。というのも、卓球界では相手の面子を考慮し、故意にミスをしてでも1点を与えるという暗黙のルールが存在するためだった。
結果的に独特の不文律を無視する形となった日本の2選手によるシャットアウトに苦言を呈するファンもいたのは事実だ。しかし、この不文律を遵守しなければならないというルールはない。ゆえに彼女らが問題を問われる義理はない。
不文律とは、ありとあらゆるスポーツに存在する。野球においても「大差でリードしているチームはカウント3-0から打ちにいってはならない」などがあり、これを犯した選手の行為は何かと話題となる。一方で、ルールブックには記載されてはいないため、近年ではそうした“タブー”に対する考えが改められるケースも少なくない。
卓球界でも空気は変わりつつある。現地時間2月21日に行われた女子団体戦の決勝トーナメント2回戦でタイと対戦した中国の1番手を務めた陳夢も11-0で3ゲームを連取する完封勝利を記録。チームのベスト8進出に貢献した。
この試合後、中国メディアでも「なぜ慈悲を見せなかった」「容赦なく圧勝」(いずれもポータルサイト『捜狐』)と強調された東京五輪の金メダリストは、「今は決勝ラウンド。1点だろうと気を緩める勇気はないです。すべてのポイントを真剣に受け止める必要があり、集中力には非常に満足していた」と宣言。常に真剣プレーを貫く姿勢こそ相手へのリスペクトであるという考えを示した。
この意見に世界ランク1位の名手も同調する。中国代表のエースであるの孫穎莎も中国メディア『北青体育』で「決勝ラウンドは生きるか、死ぬかの戦いになる。私たちは生死を懸けた戦いをしているんです。試合に出場するかどうかに関係なく、私たちはすべての試合に向けて全力で準備する」と訴えている。
日本でも小さくない話題となった卓球界の不文律。しかし、その「掟」に対する考え方は、時代とともに捉えられ方は変わっている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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