【ライターコラムfrom名古屋】“本気”のジョーにチームメイトも驚き…新背番号7がもたらす戦いの幅とは
サッカーキング2018年3月1日(木)21時5分
J1開幕戦で大きなインパクトを残した [写真]=J.LEAGUE
チームメイトが一番、驚いているようである。ガンバ大阪との明治安田生命J1リーグ開幕戦で1得点1アシストを記録し、それ以外のプレーでも“さすがセレソン”と思わせるだけのプレーを披露した、ジョーについてだ。もちろんプレシーズンの練習中にも能力の高さを示していたわけだが、どうやら彼は本番でやるタイプの選手でもあるらしい。「練習で見ていたジョーとは全然違った」。佐藤寿人の感想は、名古屋の選手全員が思ったことでもあった。
仲間たちを最も驚かせたのは、ジョーの献身性とポストプレーヤーとしての質の高さだ。確かにキャンプ中の練習試合などでもその体格を生かしたプレーというのは随所に発揮していたが、G大阪戦で見せた動きは比較にならないほどのものだった。空中戦ではほぼ無敵、屈強なセンターバックを背負ってもまるで揺るがないポストワークは周囲の連動力を引き出すに十分で、佐藤もベンチで「やばいな、ジョー」と話し合っていたという。そのジョーと同じ1トップをサブ組で務めている押谷祐樹も「これは交代はないな」と出番を意識するのを一旦止め、「今日はブラジル人がすごかったですね」と純粋すぎる感想を述べたほどだった。
ジョーが見せたハイレベルなプレーは、チームの戦い方をいい意味で変えつつある。昨季のJ2でよく見られた光景の一つが、名古屋のボール保持を逆手にとったハイプレス戦術だった。その分野にある意味で特化したジェフユナイテッド千葉や徳島ヴォルティスといった相手に対し、前者はシーズン2敗、後者にも1分け1敗と、かなりやりこめられている。パスをつないで前進していくスタイルを追求してきた中でDFの背後は狙いつつも、そこをシンプルに狙うということはあまりしてこなかったが故の落とし穴だったが、それもジョーの登場で解決の道が見えてくる。シャドーポジションを務める長谷川アーリアジャスールはその点について、次のように説明する。
「“二つ持っている”のはいいことだと思いましたね。開幕戦をやってみて、ジョーにあんなにボールが収まるんだなっていう安心感を一つ持てたことで、次は余裕が変わってくるじゃないですか。変な話、何かあれば一回ジョーに預けてキープしてもらって、それに対してオレたちが前向きでプレーすることができる。それ以外の場面では今までやってきたこと、中盤でオレや(和泉)竜司や(小林)裕紀が絡みながらやっていくという、その二つを持てるわけです。相手がものすごく前から守備をやってくるなら、1回ジョーに当てて裏返しにしてしまえばいい。それはやっぱりいいことだなと思うんですよ」
和泉もその意見に同意する。「攻撃はジョーから見ていくことで相手も嫌がるし、ジョーは逃げ道にもなってくれる」。あまりクロスは多くないチームでもあるが、「ジョーがいるのでそれも一つの手だと思います。そこで相手の対応も変わってくる」とも。開幕戦で出番がなかったのは16年ぶりという佐藤も、「あれだけ身体を張れて攻守に大きな貢献ができる選手なので、そことは違ったところで自分を出していかないと」と危機感を滲ませつつ、「あれだけ起点になってくれれば、自分はその先を見れる」とジョーとの連係に意欲を見せた。公式戦の空気が規格外のセンターFWの目を覚ましたことは、名古屋というチームにまた新たな進化のきっかけを与えたようだ。
そのジョー自身にしても、「フィジカルコンディションは80%くらい。これから実戦をしていくことでそれは100%になっていく」と語っており、あのインパクトですら本領発揮ではないというから恐ろしい。彼に引っ張られるようにしてガブリエル・シャビエルの動きもより鋭さを増し、リスクマネジメントに神経を使いっぱなしのDFラインも「困ったらジョーでいい」という安心感を得ることができている。未知数のヴェールに包まれていた“15億円の男”は、その自己紹介を素晴らしい形で済ませることができた。「形がないことが我々の形」と風間八宏監督はこのチームの在り方を定義するが、ボール保持とパスワークのイメージがあったチームにパワーを付与するジョーは最高のアクセントと言えるだろう。背番号7に引っ張られつつも、うまく使いこなすことで、名古屋はさらに強くなれる。
文=今井雄一朗
仲間たちを最も驚かせたのは、ジョーの献身性とポストプレーヤーとしての質の高さだ。確かにキャンプ中の練習試合などでもその体格を生かしたプレーというのは随所に発揮していたが、G大阪戦で見せた動きは比較にならないほどのものだった。空中戦ではほぼ無敵、屈強なセンターバックを背負ってもまるで揺るがないポストワークは周囲の連動力を引き出すに十分で、佐藤もベンチで「やばいな、ジョー」と話し合っていたという。そのジョーと同じ1トップをサブ組で務めている押谷祐樹も「これは交代はないな」と出番を意識するのを一旦止め、「今日はブラジル人がすごかったですね」と純粋すぎる感想を述べたほどだった。
ジョーが見せたハイレベルなプレーは、チームの戦い方をいい意味で変えつつある。昨季のJ2でよく見られた光景の一つが、名古屋のボール保持を逆手にとったハイプレス戦術だった。その分野にある意味で特化したジェフユナイテッド千葉や徳島ヴォルティスといった相手に対し、前者はシーズン2敗、後者にも1分け1敗と、かなりやりこめられている。パスをつないで前進していくスタイルを追求してきた中でDFの背後は狙いつつも、そこをシンプルに狙うということはあまりしてこなかったが故の落とし穴だったが、それもジョーの登場で解決の道が見えてくる。シャドーポジションを務める長谷川アーリアジャスールはその点について、次のように説明する。
「“二つ持っている”のはいいことだと思いましたね。開幕戦をやってみて、ジョーにあんなにボールが収まるんだなっていう安心感を一つ持てたことで、次は余裕が変わってくるじゃないですか。変な話、何かあれば一回ジョーに預けてキープしてもらって、それに対してオレたちが前向きでプレーすることができる。それ以外の場面では今までやってきたこと、中盤でオレや(和泉)竜司や(小林)裕紀が絡みながらやっていくという、その二つを持てるわけです。相手がものすごく前から守備をやってくるなら、1回ジョーに当てて裏返しにしてしまえばいい。それはやっぱりいいことだなと思うんですよ」
和泉もその意見に同意する。「攻撃はジョーから見ていくことで相手も嫌がるし、ジョーは逃げ道にもなってくれる」。あまりクロスは多くないチームでもあるが、「ジョーがいるのでそれも一つの手だと思います。そこで相手の対応も変わってくる」とも。開幕戦で出番がなかったのは16年ぶりという佐藤も、「あれだけ身体を張れて攻守に大きな貢献ができる選手なので、そことは違ったところで自分を出していかないと」と危機感を滲ませつつ、「あれだけ起点になってくれれば、自分はその先を見れる」とジョーとの連係に意欲を見せた。公式戦の空気が規格外のセンターFWの目を覚ましたことは、名古屋というチームにまた新たな進化のきっかけを与えたようだ。
そのジョー自身にしても、「フィジカルコンディションは80%くらい。これから実戦をしていくことでそれは100%になっていく」と語っており、あのインパクトですら本領発揮ではないというから恐ろしい。彼に引っ張られるようにしてガブリエル・シャビエルの動きもより鋭さを増し、リスクマネジメントに神経を使いっぱなしのDFラインも「困ったらジョーでいい」という安心感を得ることができている。未知数のヴェールに包まれていた“15億円の男”は、その自己紹介を素晴らしい形で済ませることができた。「形がないことが我々の形」と風間八宏監督はこのチームの在り方を定義するが、ボール保持とパスワークのイメージがあったチームにパワーを付与するジョーは最高のアクセントと言えるだろう。背番号7に引っ張られつつも、うまく使いこなすことで、名古屋はさらに強くなれる。
文=今井雄一朗
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