悩み抜いて決めた復帰…横浜FMアカデミー育ち、高野遼が念願の日産デビュー
サッカーキング2019年3月2日(土)20時50分
2試合連続で先発フル出場した高野遼 [写真]=金田慎平
ベガルタ仙台戦の83分、横浜F・マリノスの左サイドバック高野遼はピッチ中央にポジションを取り、味方とのパス交換から前線へと疾走。前線の選手を追い越してDFの裏を取り、決定的なシーンを迎えた。惜しくもシュートは外れたものの、ホームのサポーターを沸かせると同時に、成長した姿を見せつけた。
ガンバ大阪戦で初のJ1開幕スタメンに抜擢されると、第2節の仙台戦でも先発に名を連ねた。課題を口にしながらも「前回よりもいいプレーができた」と一定の手応えを掴んだ。開幕2戦連続での先発出場について「正直、すぐに出られるとは思わなかった」と苦笑いを見せるも、ここまでは期待に応えるパフォーマンスを披露していると言えるだろう。
高野は今季のキャプテンの一人である同期・喜田拓也とともに、横浜FMのプライマリーからジュニアユース、ユースへとステップアップ。しかし喜田が18歳でトップチーム昇格を勝ち取った一方で、高野は狭き門をくぐることができず、日本体育大学でサッカーを続ける道を選んだ。それから4年、高野は特別指定選手を経て2017年に横浜FMに加入。再びトリコロールのユニフォームに袖を通したが、十分な出場機会を得られずシーズン途中にヴァンフォーレ甲府に期限付き移籍。それから1年半にわたって武者修行を続けた。
プロ3年目となる2019シーズン、高野はキャリアの岐路に立たされた。別のJ1クラブからオファーが届き、そこに移籍するか、それとも横浜FMに戻るか悩んだ。その段階では不動のレギュラーだった山中亮輔(現浦和レッズ)が在籍しており、「移籍に気持ちが傾いていた」。しかし、横浜FMから「熱意を持って『戻ってこい』と言ってもらって、悩んだ末に復帰することを決めた」
そして2019年3月2日、アカデミー時代から憧れていた日産スタジアムのピッチに初めて立った。「目標としていた場所。喜田と同じピッチでプレーしたいとずっと言っていて、それが現実になり、勝つこともできてめちゃくちゃうれしい」。大興奮とはいかないまでも「やっぱりすごい場所だと改めて思った」と感慨深げに語った。
アンジェ・ポステコグルー監督のもとでは、サイドバックはライン際に張るだけでなく、流れによって中央にポジションを取ることも要求される。「(天野)純くんやマルコス(ジュニオール)の状況を見て、間に入っていくことを求められているけど、中央は景色が全く違って難しい」。それでも「ようやく見慣れてきた」ことで冒頭のシュートシーンが生まれた。また、後半は何本か効果的な縦パスでチャンスを演出した。50分には中央から斜めに入ってきた三好康児にキレイに縦パスを通したが、「あのシュートの形も、ああいう縦パスも、狙ってはいたけど、実際にできたのはおそらく初めて」。実戦に勝るものはない、とはまさにこのこと。試合の中で成長の跡を見せた。
もっとも、高野のポジションは約束されたものではない。横浜FMは昨季ヴィッセル神戸でプレーしたタイ代表のティーラトンを獲得した。負傷によりチームから離脱していたものの、すでに練習に復帰。「足元がうまいし、キック精度も高い」と称える強力なライバルとの熾烈なバトルが始まろうとしている。甲府では「ポジショニングやセンターバックとの距離感、相手への寄せ方など、守備の基本的なことをたたきこまれた」。そしてコンスタントにプレーを重ね、「自信を得られた」。定位置争いにおけるストロングポイントを問うと、「体の強さ、運動量、スピード。フィジカルの部分では負けていない」と豪語する。
少年時代からの想いを成就させ、日産スタジアムでのキャリア第一歩を踏み出した背番号16には、これから大きな壁が立ちはだかる。しかし2試合で掴んだ自信と勢いは大きな助けになるはず。本人も現状に満足することなく、「もっともっとこのピッチに立ちたい」と固く誓う。
文=安田勇斗
ガンバ大阪戦で初のJ1開幕スタメンに抜擢されると、第2節の仙台戦でも先発に名を連ねた。課題を口にしながらも「前回よりもいいプレーができた」と一定の手応えを掴んだ。開幕2戦連続での先発出場について「正直、すぐに出られるとは思わなかった」と苦笑いを見せるも、ここまでは期待に応えるパフォーマンスを披露していると言えるだろう。
高野は今季のキャプテンの一人である同期・喜田拓也とともに、横浜FMのプライマリーからジュニアユース、ユースへとステップアップ。しかし喜田が18歳でトップチーム昇格を勝ち取った一方で、高野は狭き門をくぐることができず、日本体育大学でサッカーを続ける道を選んだ。それから4年、高野は特別指定選手を経て2017年に横浜FMに加入。再びトリコロールのユニフォームに袖を通したが、十分な出場機会を得られずシーズン途中にヴァンフォーレ甲府に期限付き移籍。それから1年半にわたって武者修行を続けた。
プロ3年目となる2019シーズン、高野はキャリアの岐路に立たされた。別のJ1クラブからオファーが届き、そこに移籍するか、それとも横浜FMに戻るか悩んだ。その段階では不動のレギュラーだった山中亮輔(現浦和レッズ)が在籍しており、「移籍に気持ちが傾いていた」。しかし、横浜FMから「熱意を持って『戻ってこい』と言ってもらって、悩んだ末に復帰することを決めた」
そして2019年3月2日、アカデミー時代から憧れていた日産スタジアムのピッチに初めて立った。「目標としていた場所。喜田と同じピッチでプレーしたいとずっと言っていて、それが現実になり、勝つこともできてめちゃくちゃうれしい」。大興奮とはいかないまでも「やっぱりすごい場所だと改めて思った」と感慨深げに語った。
アンジェ・ポステコグルー監督のもとでは、サイドバックはライン際に張るだけでなく、流れによって中央にポジションを取ることも要求される。「(天野)純くんやマルコス(ジュニオール)の状況を見て、間に入っていくことを求められているけど、中央は景色が全く違って難しい」。それでも「ようやく見慣れてきた」ことで冒頭のシュートシーンが生まれた。また、後半は何本か効果的な縦パスでチャンスを演出した。50分には中央から斜めに入ってきた三好康児にキレイに縦パスを通したが、「あのシュートの形も、ああいう縦パスも、狙ってはいたけど、実際にできたのはおそらく初めて」。実戦に勝るものはない、とはまさにこのこと。試合の中で成長の跡を見せた。
もっとも、高野のポジションは約束されたものではない。横浜FMは昨季ヴィッセル神戸でプレーしたタイ代表のティーラトンを獲得した。負傷によりチームから離脱していたものの、すでに練習に復帰。「足元がうまいし、キック精度も高い」と称える強力なライバルとの熾烈なバトルが始まろうとしている。甲府では「ポジショニングやセンターバックとの距離感、相手への寄せ方など、守備の基本的なことをたたきこまれた」。そしてコンスタントにプレーを重ね、「自信を得られた」。定位置争いにおけるストロングポイントを問うと、「体の強さ、運動量、スピード。フィジカルの部分では負けていない」と豪語する。
少年時代からの想いを成就させ、日産スタジアムでのキャリア第一歩を踏み出した背番号16には、これから大きな壁が立ちはだかる。しかし2試合で掴んだ自信と勢いは大きな助けになるはず。本人も現状に満足することなく、「もっともっとこのピッチに立ちたい」と固く誓う。
文=安田勇斗
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